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編集部特選!

新渡戸文化高等学校(東京都中野区)

キャリアに向かい力を養う
~新しい新渡戸文化は三本の柱で学ぶ~

経済が低迷する日本では大学生の就職難が続いており、一方、就職してもすぐに離職する若者も多い。
自分に適した職業をしっかりと見極める力が重要な時代が到来しているのだ。
東京・中野区にある女子校、新渡戸文化高校では平成25年度に従来の普通科を
「キャリアデザインコース」「医療系進学コース」に再編した。
高校時代から職業についての関心を持ち、将来を描く力を養う教育を実践する同校を取材した。


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同校の母体である新渡戸文化学園は1927(昭和2)年の創設だ。
初代校長の新渡戸稲造は国際連盟の事務次長を務め、著書『武士道』は日本人の精神を紹介する名著として世界で読み継がれている。国際人であり、人格者であった新渡戸の精神を受け継ぎながら、幼稚園から短期大学までを建学してきた。
新渡戸文化高校では普通科教育に基礎を置き、社会人としての人間力を養う取り組みを従来から行ってきた。
また、4年制大学に200人ちかくの指定校推薦入学の枠を確保し、生徒たちが受験勉強に翻弄されず、
じっくりと学べる仕組みづくりに力を入れている。だが、一般的には有名大学への合格実績で高校の質が評価される傾向にある。
同校の佐藤善一校長はこう語る。「高校は大学に入れるだけを考え、大学は定員を埋めることを考えています。
しかし、高校時代にこそ、自分が大学を出た先にどんな職業に就くかを真剣に考えるべきだと思います」佐藤校長は平成23年度の着任後、同校がこれまで取り組んできた人間力の育成をベースにしながら、高校生が将来の仕事を具体的に考えられるように従来の普通科を「医療系進学コース」「キャリアデザインコース」に再編。どちらのコースも従来の50分授業を45分に短縮しつつ、1日を6時限から7時限へと増やすことで、週に5コマを新設した。本年度からのカリキュラムでは、この枠で「キャリア科目」を実施しているのである。


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大学の専門家から医療職の基礎を学ぶ
医療系進学コースは、看護師や薬剤師、歯科医師、臨床検査技師など医療にまつわる職業を目指すもの。
理系の普通科目に力を入れるとともに、キャリア科目では「基礎看護(1年)」「人体と看護(2年)」「疾病と看護(3年)」の3科目が設けられている。これらの科目は、医療の専門的な知識や技術を学ぶ授業ではない。
「どんな医療分野に進むにしても、大切なのは看護の心です。医療職に必要なホスピタリティを身につけるとともに、
総合的に医療の基本を学んでいきます」(佐藤校長)授業を担当するのは、大学で教鞭をとる教員たち。
新渡戸文化学園には短期大学に臨床検査学科もあり、医学博士の中原英臣学長をはじめ著名な専門家たちが高校生の学びをサポートする。
実習を通じて体験し様々な職業を知る
「キャリアデザインコース」では、普通科教育をベースに、多様なキャリア科目を設けることで、生徒たちが将来の職業に関心を持ち、その具体的な内容を学ぶことができる。必修科目は、「ビジネス基礎」「経済活動と法」「TOEIC演習」などがあり、選択科目には「メディア・コミュニケーション」「マネジメント」「ホスピタリティ」「消費生活」がある。
これらの科目の大きな特徴は、座学での授業とワークショップなどの実習を同じバランスで実施することにある。例えばマネジメントの授業では、実際に会社を設立し、商品を製造し、文化祭で販売する予定だ。
キャリア科目では基礎的なものを必修、応用的なものを選択としている。医療系進学コースでは物理や国語、キャリアデザインコースでは生物や古典、現代文などから選択ができる。自らの進路を定めて大学入試センター試験に挑戦する生徒たちの要望にも応えるカリキュラムになっているのだ。
世界では18歳で選挙権を得るのが主流
同校では、前述の「ビジネス基礎」「経済活動と法」「TOEIC演習」を「18プログラム」の一環としている。日本の公職選挙法では20歳が選挙権を得る年齢。しかし、欧米をはじめ諸外国では18歳が主流だ。今後日本でも18歳になる可能性は大いにある。
18プログラムでは、ビジネスや経済、法、英語といった実社会で必要な教科を学ぶことで、高校卒業後に選挙権を持つ社会人として正しい行動ができる能力を養うものなのである。この3教科はキャリアデザインコースの科目だが、医療系進学コースでも「キャリアデザイン」や「ロングホームルーム」といった科目を活用しながら社会人としての基礎力を身につける学習をしていく。高校の3年間でしっかりと将来の職業について学び、社会人として必要な基礎力を身につける。高校時代という多感な時期に、自分の生き方に向かい合う新渡戸文化高校の学びは、これからの日本が実践すべき教育の先駆けであると言えるだろう。


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新渡戸のスクールランチは、まるでレストラン
~食べて、調理して、学ぶカフェテリアでの食育教育~

新渡戸文化高校では、学内のカフェテリアで生徒全員が「スクールランチ」を食べる。栄養価の高い調理師の手作り料理によって、成長期にある高校生の健康づくりをサポートしているのだ。実は3年生になるとお弁当を持参してもよい。だが、ほとんどの3年生がスクールランチを食べていることからも、その美味しさと満足度の高さが分かるだろう。
同学園はキャリアマザー支援に取り組んでおり、スクールランチは働く保護者を応援する意味もある。
それゆえ、平日だけでなく、授業が午前中で終わる土曜日にも実施しているのだ。
食育教育の一環でもある。毎月、「食育の日」が設けられており、この日には世界各国の料理が登場。
ランチを通して、世界には日本と異なる文化があることを実感できるのだ。
2年生になると、年に3回の食育実習がある。いわゆる家庭科の調理実習とはまったく違う。
毎回、2年生全員が調理に参加するものだが、できあがった料理は全校生徒が食べるのだ。生徒たちは食文化、栄養、衛生などを学びつつ、プロとして調理に挑むのである。指導には同学園の短大との連携を生かし、食物栄養専攻の教員があたる。
友だちと同じランチを食べ、みんなのために真剣に調理する。同校の生徒にとって、スクールランチは格別の意味を持つものなのである。


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部活紹介

創部32年。TBSの「可能商店」でも紹介された剣道部は、「凛として一瞬も一生も輝け」を部訓に、
剣道だけでなく精神も強く磨きあげている。部員の多くは初心者からスタートし、
高校2年では最高段位の三段を必ず取得。中学高校共に都でベスト8まで進んだこともある強豪校。
『武士道』で有名な新渡戸稲造先生が初代校長の同校剣道部は、しなやかな女性を育んでいる。

新渡戸文化高等学校プロフィール

所在地:東京都中野区本町6丁目38番地1番地
連絡先:TEL:03-3381-9772
交通案内:地下鉄丸ノ内線「東高円寺駅」「新中野駅」より 徒歩6~7分
JR中央線・地下鉄東西線「中野駅」より徒歩15分
ホームページ:http://www.nitobebunka.ed.jp/
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