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東京 入試情報
2022.6.10

〈2023年度入試〉東京入試情報 「都立高 令和4年度(2022年度)入試を振り返って」

高校の入試準備は着々と、次は君たちの番だ

新型コロナウィルスの蔓延はやや下火になったとはいえ、いろいろな面で制約が続いていることだろう。
気が付けば、私立高校の入試まであと8か月、公立高入試まであと9か月。勉強に、部活に、学校行事に、今こそ頑張る時期だ。
受験生に必要なことは、「悔いを残さない志望校の選定」「学力向上のための努力」「調査書対策」だ。

令和4年度入試を振り返り、5年度への対策を考えてほしい。必ず参考になることがあるはずだ。
3年生の夏は忙しい。健康管理に注意して、計画をたてて梅雨時期を乗り切れ。

在籍の増加、男女別定員の緩和などで倍率変化が

第一次・分割前期(全日制)ー以下一般入試と呼ぶー4年度入試の学力検査の受験者は、前年より1,405人増加し3万8905人となった。
受験倍率は1・29倍、実質倍率(受験数÷合格者数)も、前年の1・32倍より上昇し、1・36倍だった。
推薦で約1万4000人、一般で約1万270人が不合格になる厳しい状況は続いている。

また普通科では在籍の増加と、男女別定員の緩和措置の影響が大きかったようで、男子は1・34倍から1・39倍へ上昇し、女子は1・39倍から1・40倍子なっている。前年度と比較して、男子は約610人、女子は170人不合格者が増加していた。

推薦出願者の減少、一般受験生の増加という変化の要因としては、『少子化』の中での在籍の増加に加え、コロナ禍での『志望校に出会う機会の減少』、調査書の観点別評価の観点の変化などが予測される。
また私立高校生に対する、国と都からの『学費助成の充実』や『大学入試改革の実施』『今春の高校学習指導要領の改訂』などの制度変化も影響したと考えられる。

高学歴社会の中で、将来の志望を考える時

前年春の都内高校生の現役大学・短大進学率は69%になった。過年度卒業生を加えれば、7割を超える。
そのため進学実績の高い公立高校や、大学附属を含めた私立高校への期待が大きくなっている。

公立高校も私立高校も、校内LANの設置、モバイル端末の配布と利用、補習・補講の充実、アクティブラーニングの実践・研究、授業時間の確保など、大学入試の変化に対応するための努力を続けている。学校ごとの取り組みをいろいろな機会を通じて知ることが益々重要となるだろう。

大規模な私学展や各校の説明会などは、コロナ感染症予防のため、定員制や、申し込み制になってはいるが、ホームページなどを確認し、機会をとらえるようにして欲しい。

評定の仕組みを理解して授業に集中しよう

都教育庁が調査した令和4年3月卒業生の2学期の評定調査では、評定「5」が12・7%、「4」は25・4%、「3」は49・1%、「2」は9・8%、「1」は3・0%となっていた。
前年より「5」が1・0%、「4」が0・6%減少し、「3」以下が増加していた。
ただし、評定「3」以上が87・2%となっており、「3」は、普通の評価とは言えなくなっている。

評定は、「観点に基づく評価」とされる。5月号で昨年度からの観点の変化について説明したが、全教科「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に変更され、調査書や通知表も、これを基に改訂されている。
観点は、それぞれA・B・Cの3段階で評価される。

観点別評価の結果を評定に換算する仕組みは、各学校で定められる。
つまり、中間・期末テストの結果だけでは評定は決まらないということだ。普段の授業態度や宿題の提出などは、学習に取り組む態度となり、テスト結果は知識・技能として評価される。考え方や発表する姿勢なども重要な評価項目となる。

既に令和5年度入試は開始されている

調査書の評定は、都立受験(全日制)の推薦では無論だが、第一次分割前期でも学力検査7に対し、3割の得点換算が行われる。また、実技4教科は、評定が2倍にされる。

私立高校の単願や併願の優遇制度で、目安や基準として扱われることも多い。
また私立高校の個別相談では、1学期の通知表を参考に合格の可能性を判断してくれることが多い。

テストで頑張るのは無論だが、積極的に授業に参加すること、自主的に考え、自分の意見を発表すること、宿題を忘れない、提出期限を守ることなどを心がけてほしい。既に、入試は始まっているのだ。

英語スピーキングテスト(ESAT‐J)実施へ

本紙5月号でも5年度入試の注目点として書いた「英語スピーキングテスト(ESAT‐J)」。
これは英語4技能(読む・書く・聞く・話す)のうち「話すこと」を評価し、5年度の都立の入試選抜から活用される。
・都立希望者は、原則として全員受検する
・11月27日に外部会場で実施。
・1月中旬に個人・中学校へ返却。A~Fの6段階で評価。
・各高校では、調査書に記載された評価を0点から20点に換算し、入試得点と調査書得点の合計値に加算する。
1,000点満点の合計得点へ20点の加算だが、1点で合否が分かれる選抜では、この加点は重要だ。

(岩佐教育研究所 岩佐佳一)

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