新型コロナウィルスの蔓延はやや下火になったとはいえ、いろいろな面で制約が続いていることだろう。
気が付けば、私立高校の入試まであと8か月、公立高入試まであと9か月。勉強に、部活に、学校行事に、今こそ頑張る時期だ。
受験生に必要なことは、「悔いを残さない志望校の選定」「学力の向上のための努力」「調査書対策」だ。
令和4年度入試を振り返り、5年度への対策を考えてほしい。必ず参考になることがあるはずだ。
3年生の夏は忙しい。健康管理に注意して、計画をたてて梅雨時期を乗り切れ。
公立校入試での平均点については、こちらのページ(〈2023年度入試〉埼玉県 公立高校「入学者選抜『平均点』など状況発表」-令和4年度)を参照して欲しい。
例年、埼玉県は入試直後(採点が行われる前)に入試予想点を発表している。目標平均点とも呼ばれる。
今年の予想点は5教科合計で265点、選択問題を含む5科が285点。実際の平均点は、一般問題268・9点、選択問題を含む5科が269・2点だった。3年度入試より約、選択問題採択校で約34点低くなっていた。
記述問題の量や、問題構成によって平均点は変化するが、4年度入試の問題構成は、3年度とほぼ同じだった。
前年はコロナ禍による長期の臨時休校等があり、入試では3年次後半の分野の一部を出題しないという配慮が採られた影響があったのかもしれない。
全体では、国語の作文を入れて140問の小問で構成(選択問題を含む5科は137問)されているが、このうち80問、57・1%(同80問58・4%)が記述形式の問題である。うち、文章表現や作図・証明が32問(同37問)も出題されており、記述形式の問題の配点は全体の62・8%(同65・2%)にもなる。文章表現などには、部分点を認める問題も多い。
令和4年度入試の各教科の問題構成を見てみよう。
部分点を認める問題の部分点の採点については、高校ごとで検討することになっている。
厳しく採点する学校と、そうでない学校があるということだ。
記述問題では、できる限り空欄(無解答)を作らないことが点をとるための第一歩となるだろう。
配点では、ほぼ全問が記述の数学92%(同96%)、60%の国語、54%の理科、英語55%(同63%)、社会が53%だった。
記述問題が多いこと、記述問題の配点が高いことが埼玉県公立高校入試の特徴となる。
入試問題は、3年生の学習内容と勘違いして、「秋以降に解いてみる」という人が意外と多い。
しかし、1・2年生の学習範囲から多く出題されることや、問題の出題方法、解答のしかたなど、早く見ておくことで参考になることも多いはずだ。
前年に教科書改訂があり、数学では中1の単元で「累積度数・累積相対度数」、中2で「箱ひげ算」「四分位数・四分位範囲」「反例」などが加わり、英語では単語数が増加するとともに「感嘆文」「仮定法」、「原形不定詞」「現在完了進行形」、理科では「ダニエル電池の実験」が加わるなどの変化があった。
5年度入試で新たに加わる単元はないが、英単語は増加する。
4年度の入試問題でこれらの内容の一部が出題されていることも要チェックだ。
県の令和5年度入試の「出題方針」では、
1 中学校における平素の学習を重んじ、中学校学習指導要領に基づいて出題する。
2 基礎的な知識及び技能をみる問題とともに、知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の能力をみる問題の出題に配慮する。
3 各教科の目標に照らして、受検者の学力を十分に把握できるように、出題の内容、出題数に配慮するとともに、記述による解答を求めるよう配慮する。
とされていた。
入試問題は教科書の内容に沿った基礎的・基本的なものという方針に変化はない。ただし、基本方針2の下線を引いた部分には注意して欲しい。
「課題」の出題がキーワードになる。しかし、これからの中学校の授業を真面目に受けていれば十分に対応できるはずだ。
出題内容は同じでも、出題形式によって難易度は変わる。同じことを聞かれても、選択肢があって記号で答える場合と、言葉(記述)で答える場合とでは、難しさが違ってくる。
さらに記述式の問いには、用語・単語を答えさせる形式と、文章で答えさせる「論述形式」の問題がある。
思考力や判断力、あるいは表現力を見る問題として、教科ごとに作文、図表やグラフ、統計資料、実験結果などから、その意味することを読み取り、答えさせる問題が出題される。それらの配点は、他の問題より高く設定されている。
資料などを読み取り、そこから答を導きだすような問題に苦戦する受験生も多い。
各教科の満点は100点で、5科500点満点で実施される。一部、傾斜配点を採用する学校は、満点が変わる事にも注意が必要だ。
令和5年度の入試日程は、既に発表されている。新型コロナウィルス感染症などへの対応に変化があり、コロナ罹患者だけではなく、濃厚接触者へも便宜が図られるようになった。
また、選択問題採用校は、22校と変わらない。
6月末には、各学校の募集人員、7月には、入試選抜実施要項及び入試選抜要領、各校の選抜基準が発表される予定だ。
また9月末と12月上旬には、中学校を通じて、進路希望調査が実施される。
公立も私立も令和5年度の入試準備が着々と進められている。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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