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入試情報
2024.6.7

〈2025年度入試〉受験生Q&A 「試験当日の点数が良ければ合格できますか?」ほか-令和7年度

Q1
毎日勉強していますが、宿題や課題、中間テストの勉強をやるので精いっぱいです。「受験勉強しなければ」と分かっているのですが、ともかく時間がかかっています。どうしたらいいでしょうか。

 

A1
毎日勉強はこれからも続けてください。皆さんはよほどのことがないかぎり、今日はご飯を食べないという日はないと思います。今日は寝ないという日もありませんね。それと同じです。日によって多いとか少ないとかはあっていいと思いますが、勉強は毎日やるものです。これを学習の習慣化などと言います。
あなたの場合、学習の習慣化はできているようなので、その点では受験生として一歩リードしていると言えるでしょう。

宿題や課題、定期テストの勉強も広い意味では受験勉強です。これらを頑張ることで調査書点が上がります。受験勉強をしている実感はないと思いますが、立派な受験対策にはなっていると考えるようにしてください。

普通に受験勉強と言えば、まとめノートを作ったり、単語・熟語や用語を覚えたり、受験問題集を解くことだと思います。これに割(さ)く時間がないということですが、たとえば曜日で分けるというのはどうですか。平日は学校の予習・復習や宿題・課題中心、休日は受験勉強中心という具合です。あるいは平日の勉強の中に、たとえ30分であっても受験勉強を組み込んでみるという方法も考えられます。

時間は作り出すものだという話を聞いたことがありませんか。1日24時間と決まっているので実際には新たな時間を作り出すことはできませんが、メリハリをつけた使い方をすることで無駄が省け、集中力が増し、結果的に新たな時間を作り出したのと同じことになります。

 

Q2
公立高校志望なのですが、内申点は入試にどれくらい影響しますか?内申点が低くても高校入試、試験当日の点数が良ければ合格できますか。

 

内申点は俗称で、正確には調査書点、あるいは調査書の学習の記録の評定ですね。が、ここでは面倒なのでそのまま内申点という言葉を使います。

内申点が入試にどれくらい影響するかですが、結論を言えば、大いに影響します。
各都県で入試制度が異なりますが、一般的に合否は学力検査点と内申点の両方の合計により決まります。一発勝負の学力検査だけでなく、中学校での日頃の学習成果も見て、総合的に合否を判断しようというのが基本的な考え方だからです。
どちらをどのくらい重視するかは入試制度によって異なりますが、内申点をまったく無視する入試というのは聞いたことがありませんから、その意味で内申点は重要であり、合否に大いに影響します。

ただ、一般論としては、内申点より学力検査点にやや重きをおく入試制度の方が多いと言えますので、そこに逆転の可能性が出てきます。

あなたが3年生だとして、これから取り得る対策は2つです。ひとつは残された定期テスト等を頑張って少しでも内申点を上げることです。しかし、それには限度があります。そこでもうひとつの対策は、学力検査点を上げるために猛勉強することです。結果はやってみなければ分かりませんが、今から(6月から)計算して本番まで8か月はありますから逆転の可能性は十分にあると思います。

確かに言えることはここまでで、あとは自分の可能性を信じて、やるかやらないかだけでしょう。

 

(編集部補足)
内申点(調査書の学習の記録の評定)の扱いは都県ごと・高校ごとに異なります。昨年度(2024年度/令和6年度)の都立・公立高校の例を見てみましょう。 ※本年度分は夏ごろに発表されます。

・東京都 都立高の例/「10都立高校入試の仕組み:学力検査の得点と調査書点の比率」の項
〈2024年度入試〉東京都 都立高「受験生向けパンフレット」を公開 -令和6年度
・埼玉県 公立高校の例
〈2024年度入試〉埼玉県 公立高「各高校の選抜基準」を発表-令和6年度
・神奈川県 公立高校の例
〈2024年度入試〉神奈川県 公立高校「入学者選抜選考基準・特色検査の概要」発表-令和6年度
・千葉県 公立高校の例/「Ⅰ 一般入学者選抜:第九 選抜方法」の項
〈2024年度入試〉千葉県 公立高校「入学者選抜実施要項」発表-令和6年度
一般入学者選抜(PDF:1,804.9KB)/千葉県教育委員会資料PDF

 

Q3
中2です。私の得意な教科は英語でその他に得意な教科はありません。理系と文系どっち?と聞かれても英語しか得意な教科がないです。今後の進路はどちらを選択したほうがよいですか?

 

今の段階で得意と言い切れる教科がひとつでもあるのは大変素晴らしいことです。
苦手教科のことは触れられていませんが、もしあるのなら2年生のうちに克服しておきましょう。苦手教科があると、それが足を引っ張ってしまうので、せっかくの得意教科が生きません。
特に苦手教科がないのなら、英語に次ぐ得意教科を、あともうひとつ増やせるといいですね。5教科中2教科が得意というのはかなり強力です。

理系と文系の話ですが、このよう分け方をするのは日本だけだとも言われています。数学や理科が得意なら理系、国語や社会が得意なら文系、あるいはその逆で、数学や理科が苦手だから文系、国語や社会が苦手だから理系というのは、昔の考え方であって、これからの時代、通用しません。
それに、いま中学校で学んでいる教科は、すべての学問(勉強)の基礎中の基礎ですから、理系も文系もありません。すべて分け隔てなくやってください。
今後の進路も「系」を選択するというところから始めないほうがいいと思います。好きなことを見つけてください。興味のある方向を目指してください。

また、環境、人権、貧困、教育といったテーマに目を向けてください。それらを少しでも学んでみれば、ひとつの教科だけでは解決できないし、「系」といったくくりで考えていては解決できないことに気づかされるでしょう。
理系・文系は便利な分け方なのでこれからも使われ続けるでしょうが、それで進路を決めると可能性を狭めることになると思います。

 

Q4
親に、私がここの高校に行きたい、と言っても「偏差値が低い」「良い大学に行けない」「指定校推薦が少ない」と言われてしまいます。行きたい高校があるのに怒られてしまうので何も言えないです。親が薦めてくる高校は今の自分には偏差値が高すぎです。本当に行きたいと思える学校ではないのでモチベーションも上がりません。どうしたらいいですか?

 

受験のことに限りませんが、親子で意見が合わないことはどこの家庭でもあることです。親と子では年齢も経験も社会的な知識も全然違うのですから仕方ありません。
まずあなたは、行きたい学校について、きちんと理由をつけて親御さんに説明しなければいけません。その際は、箇条書きでいいですから、きちんとメモをしてからにしてください。ここはとても重要なところです。

それと同時に、親御さんからもその学校を薦める理由をきちんと聞いてください。「偏差値が低い」「良い大学に行けない」「指定校推薦が少ない」というのは理由の説明としては十分ではなく、あなたが納得できない原因はそこにあるように思います。
ですから「偏差値が低い」高校に行くことがなぜだめなのか、「良い大学に行けない」となぜだめなのか。「指定校推薦が少ない」となぜだめなのか。そこを詳しく聞いてください。よくよく聞けば、なるほどと思えることがきっとあるはずです。

高校選びは将来を左右するかもしれない大事な選択です。お互い感情的になってはいけません。それだと誰も得をしませんよ。
あなたが行きたい学校と、親御さんが行ってもらいたい学校は完全には一致しないかもしれません。でも、お互いに近づける努力はしたほうがいいと思いますよ。
話し合うということは、聞き合うということなんです。あなた一人でできることではないので、ぜひこの回答を親御さんにも読んでもらえるといいですね。

 

Q5
志望校は地域の進学校なのですが、数学と理科がすごく苦手で、応用問題が全くと言っていいほど解けません。今の時期、どんな勉強をするべきですか?どれくらい勉強しないといけませんか?数学、理科の参考書のおすすめを教えてください。

 

数学と理科がすごく苦手ということですが、どれくらい努力した結果なのでしょう。まずそこが疑問です。
苦手という言葉をそう簡単に使ってはいけないと思います。考えられるあらゆる方法を試してみて、それでダメなら苦手を口にしてもいいかもしれませんが、大した努力もしていないのに苦手の一言で片づけようとするのはただの怠慢でしょう。

応用問題が全くと言っていいほどできない原因はひとつしかありません。基礎基本が理解できていないからです。基礎基本を徹底的にやれば、応用問題もできるようになります。
もしかしたら、基礎基本は覚えるものだと思っていませんか。そうではなく、理解するものです。たとえば、あなたは基礎基本の知識を誰かに教えることができますか。分かりやすく説明してあげることができますか。それができないとしたら、単に覚えているだけで理解には至っていないのです。

基礎基本ができていない人に参考書は不要です。今のところ教科書だけで十分です。いろいろなものに手を出すと混乱するだけです。教科書を見ながら、基礎基本の問題集を繰り返してください。そのうちに力がついてきて徐々に応用的問題も解けるようになってくるでしょう。
そこから先は参考書を考えてもいいと思いますが、どの参考書も専門家の先生が知恵を絞って作ったものなので、どれを選んでも結果は大して変わらないと思います。自分にとって分かりやすく、やりやすいと思ったものを選べばいいと思います。それでも不安なら、あなたの性格や実力をよく知っている学校や塾の先生に相談してください。

 

(回答者 教育ジャーナリスト 梅野弘之)

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