1学期も後半となり、受験生の夏が到来した。
公立では、まもなく学校説明会・体験入学・文化祭等の日程が県のホームページで発表される。私立は、私立中学高等学校協会のホームページで既に発表されている。
コロナ以降、申し込み制や定員制など制約はあるが、積極的に参加してほしい。
部活の大会や体育祭、会場テスト、各種検定の資格挑戦など多忙な日々が続くが、いろいろな機会を生かして情報を集め、自分を伸ばしてくれる学校とめぐり合ってほしい。
公立高校の募集人員が発表された。※1
現在の国・公・私立中学3年生は、前年より280人余り減少し、約6万1,830人となる(5年度学校基本調査より)。
全日制の募集人員は3万5,480人、前年より4校4学級160人の減、1校40人の増となり、全体では、120人の減となった。
募集増/1校1学級/草加西
募集減/4校4学級/鶴ヶ島清風、越谷東、栗橋北彩、川口市立(普通)
定時制課程では、越ケ谷と川越工業・工業技術でそれぞれ1学級40人の定員減が実施され、募集人員は、2,060人となる。
数年前から公立高校志望者の割合が減少し、前年度では1,251人の欠員補充が出た。また、通信高校への志願者が増加しているため公立では募集人員を絞る傾向があるようだ。
また、「魅力ある県立高校づくり」第2期計画では、令和8年に12校(岩槻と岩槻北陵、大宮工業と浦和工業、秩父と皆野、越生と鳩山、八潮南と八潮、和光国際と和光)の統合再編が実施され、新校が誕生するが、統合される6校(岩槻北陵、浦和工業、鳩山、皆野、八潮、和光)は今春に募集停止となった。※2
第1期計画では、前年度に飯能と飯能南、児玉柏楊と児玉の統合再編が実施されている。
募集人員の増減や統合再編は、該当する学校の倍率だけでなく、近隣の競合校の倍率にも影響するため、今後の志望動向に注意が必要だ。
■※1 2025年度(令和7年度)の公立高校の募集人員について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年入試〉埼玉県 公立高校「募集人員発表 全日制120人減」-令和7年度
■※2 県立高校づくり第2期実施方策に基づく「新たな県立高校6校」について詳しくは:よみうり進学メディア
埼玉県公立高校「新たな県立高校6校の校名アイデア募集」-2024年6月
6月号で速報したように、令和7年度入試の選択問題採用校と出題の基本方針が発表されている。
選択問題採用校は、昨年の22校から変化はない。※3
選択問題採用校
浦和・浦和第一女子、浦和西、市立浦和、大宮、大宮北、川口北、川口市立、蕨、和光国際、川越、川越女子、川越南、所沢、所沢北、熊谷、熊谷女子、熊谷西、不動岡、越ケ谷、越谷北、春日部
また出題の基本方針も、入試問題は教科書の内容に沿った基礎的・基本的なものという方針に変化はない。※4
7月には、公立高校の入試要項と選抜要領、各校の選抜基準などが発表される見込みだ。※5・6
気になる高校の教育内容や特色、部活の活動状況、発表される選抜基準などを調べ、学力や評定などで目標値を設定し、それを目指して努力を続けていってほしい。
既に、入試は開始されている
公立高校の入試では、各学校が定める基準によって、項目ごとに点数化される。学力検査に一定の比率で加算され、選抜に使用されることになる。
調査書には、中学校での3年間の成績(各教科の評定)、総合的な学習の記録や、選択教科の評定、生徒会や学級活動、実行委員、部活動の実績、出欠の記録、その他として英検や漢検などの取得級位、ボランティア活動、書道、囲碁・将棋の段位など中学校内外での活動実績が記載される。
特に選抜で重視されるのが各教科の評定だ。学期ごとに学校から渡される通知表(※)は、学期ごとの成績であることと、評定の基になる観点別評価が記載されているが、調査書には各学年の総合成績が記載される。調査書の3年次は、4月から12月中旬までの成績ということになる。
※学校によって名称が異なる場合がある。
調査書の評定については、12月中旬以降、希望者は担任の先生から口頭で教えてもらえる。
また、1月中には、調査書と同一内容の「通知書」が発行され、志望校を決める際の参考にできるようになっている。
■※3・4 2025年度(令和7年度)公立高校の「選択問題採用校」「出題方針」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高校「出題の基本方針」「学校選択問題実施校」を発表-令和7年度
■※5 2025年度(令和7年度)公立高校の「入試要項」「選抜要項」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高校「入学者選抜実施要項」-令和7年度
■※6 2025年度(令和7年度)各高校の「選抜基準」「調査書」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高「各高校の選抜基準」を発表-令和7年度
夏は受験生の活動の時だ。いろいろな機会を生かして、相談会に積極的に参加しておきたい。
これまでに県内・都内の私学の進学フェアが実施を開始しているが、7月20・21日に、彩の国進学フェア(読売新聞東京本社さいたま支局主催)、7月から8月にかけて埼玉私学フェア/熊谷7月27・28日、川越8月17・18日、大宮8月24・25日(埼玉県私立中高協会主管)、8月17・18日に東京都私立学校展(東京都私立中学高等学校協会主催)、10月には、入試ファースト/春日部5日、越谷12日、川口20日(埼玉教育ネット主催)、などが実施予定となっている。
予約制や入れ替え制などの制約はあるが、話を聞いてみたい学校を絞り、聞くポイントをまとめて参加してみよう。きっと有意義な一日が過ごせるはずだ。
公立も私立も、各学校で学校説明会や相談会、見学会、体験入学、部活体験など、受験生に学校を知る機会が提供される。※7
インターネット等でいろいろな学校のこれらの機会を調べ、参加し、活躍する先輩たちの姿を見たり、高校での生活に触れて、志望高校を見つけてほしい。
■※7 2024年「夏の学校説明会一覧(公立・私立)」はこちら:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県公立・私立高校「2024年 夏の学校説明会一覧」-令和7年度
国と県の私立高校生に対する学費助成制度が充実している。※8
国からの就学支援金は、家庭の年収の目安590万~910万円未満で年11万8800円、590万未満で39万6千円などとなる。
また埼玉県では、県内生の県内私学入学生に対して「父母負担軽減事業」という助成金制度がある。国の支援金に加えて支給されるが、家庭の年収目安590万~720万未満では、国とあわせ授業料40万1千円、590万円未満では40万3千円、さらに609万円未満は入学金支援10万円、年収500万未満には、加えて設備費等20万円が助成される。
学費を気にせずに志望校を選べるようになっているのだ。
詳細は、各私立高校または、県総務部学事課へ。
■※8 国と県の私立高校生に対する学費助成制度について詳しくははこちら:よみうり進学メディア
特別寄稿「私立高に合格してから、悠々と公立高入試に挑戦しよう」大学通信情報編集部 大野香代子先生
夏休み期間中に、過去の入試問題を見て、解答の仕方や、記述問題の内容などを調べておくことも重要なポイントだ。
現時点では習っていないことも多いが、中学1・2年次に習った内容が各教科で多く出題されていることに気づくに違いない。
忘れていた1・2年生の学習内容や復習ポイントを知ったり、出題の形式や各教科の文章題の量を見ることで、今後の勉強方法を考えることができる。
このため、できるだけ複数の年度の過去の問題を手に入れて研究しておきたい。
夏の大会までで部活動を引退する人も多いと思う。そこからが本当の受験生だ。
公立も私立も皆さんを受け入れる準備を着々と進めている。
体調に留意し、自分なりの計画を立てて、実行していってほしい。
実行できたなら、それが皆さんの、今後への自信に変わっていくに違いない。
体調に留意すること、2学期(後期)に向けての調査書対策、学力の向上、志望校を見つけること、この4つが皆さんの夏の課題だ。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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