酷暑の夏が過ぎ、これからは1日ごとに秋の気配が近づいてくる。
そんな中で、今春の中学校卒業生の進路状況が発表された。不安を克服して見事に進路を確定させた先輩たちの姿が、数字の中に垣間見える。
次は、君たちが本気で受験に挑戦する番だ。
7月上旬に、令和7年度の公立高校入試の各校の募集人員と選抜基準、入試選抜要項が発表された。
入試全体については、全校WEB出願になったことと、出願期間が1月27日から2週間になったこと以外に大きな変更はない。
夏休みが過ぎて、いよいよ秋の陣、志望校の選択の時期が来た。
令和6年3月の公立中学校卒業生の進路状況が発表された。※1
令和6年度の受験生は、相談会や学校説明会が予約制や定員制にはなったが、従来の志望校に巡り合う機会は確保されていたようだ。
卒業生は、62,094人と前年より719人減少。公立高校の募集人員は前年から800人減少し、実質倍率は、1.15倍と5年度より0.01倍上昇した。また、高校等への進学者は98.8%と前年より0.2%減少した。
全日制進学者は88.4%。公立高校が54.7%、県内私立が26.1%、県外私立が7.4%だった。
また、県内外の通信制高校への進学者が467人増加し7.⒉%になっていた。
来春の国・公・私立中学の卒業予定者は、今春より約270人減少する見込みだ(埼玉県学校便覧より)。
そのため、公立高校の募集人員は120人の減少となる。公立高校の倍率は、ほぼ6年度なみになると考えられる。
■※1 令和6年3月中学卒業者の進路状況調査について詳しくは:よみうり進学メディア
埼玉県 「令和6年3月高等学校卒業者の進路状況調査」を発表
5類になったとはいえコロナの影響は大きい。入試でのコロナやインフルエンザなどの感染症対策としては
・入試日程は、追検査を含めて中学の卒業式までの日程に収まるように配慮されている。
・出願は原則として全校でWEB出願となる。
・合格発表はWEBの合否照会システムによるものとなり、各校の掲示は廃止される。
・インフルエンザや新型コロナなどの罹患者については、追試験の受験を認める。
などとなっている。ただし、罹患に注意することも重要な入試対策となる。
公立の入試では、入試得点だけでなく、各学年の調査書の各教科の評定合計が、各校ごとに定めた一定の比率で得点化され、入試得点と合計して選抜に利用される。
評定の学年ごとの比率や、入試得点との合算の仕方は「入試選抜の基準」に記載され、発表されている。※2
選抜基準を調べると、各学年の評定を平均的に取り扱う場合や、3年次の評定を重視する学校があること。また学力検査の得点を重視している学校と、各学年の評定を大切にしている学校があることが分かる。
志望する高校の選抜の基準を入手して、調べ、対策をとって欲しい。
■※2 入試得点との合算の仕方など「選抜の基準」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高「各高校の選抜基準」を発表-令和7年度
県教育局からは、5月に入試の出題の基本方針と選択問題実施校が、7月に各校の募集人員、募集要項、各高校の入試選抜基準が発表されている。※3・4・5
これで令和7年度の公立高校の入試内容が、出揃ったことになる。
学力検査問題の出題の基本方針では「基礎的な知識及び技能をみる問題とともに、思考力、判断力、表現力をみる問題の出題に配慮する」「出題の内容、出題数に配慮するとともに、記述による解答を求めるよう配慮する」とされ、前年の方針と同一だった。
学力検査では、数学と英語で学校選択問題が採用されているが、7年度入試では前年と同様22校採用となる。
選択問題は『問題の一部に応用的な問題を含む』とされるが、出題の基本となるのが「中学校での学習内容」であることは変わらない。
出題の基本方針には「学校の授業を大切にして欲しい」というメッセージが込められている。
■※3 2025年度(令和7年度)公立高校の「出題方針」と「選択問題採用校」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高校「出題の基本方針」「学校選択問題実施校」を発表-令和7年度
■※4 2025年度(令和7年度)の公立高校の募集人員について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年入試〉埼玉県 公立高校「募集人員発表 全日制120人減」-令和7年度
■※5 2025年度(令和7年度)公立高校の「入試要項」「選抜要項」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高校「入学者選抜実施要項」-令和7年度
9月末には、全県の国立・公立・私立の中学校で進路希望調査が実施される。
これは、1人1校、行きたい高校を書いて提出するもので、結果は、10月末から11月上旬に発表される。
ただし、9月末の調査ではまだ漠然としている人も多く、必ずしも受験生の志望動向を表したものではないことや、おおよその人気動向であることに注意が必要だ。
12月には、2回目の志望校調査が発表される。冬休み明けに発表されるこちらは、調査書が確定している時点の調査であることと、私学の個別相談がほとんど終了している時期であるため、信頼できる資料となるようだ。
これまで漠然としていた志望高校が、2回の志望校調査で急速に現実味を帯びたものになってくることになる。
つまり、志望校を意識するのは9月末、ほぼ確定していくのは、12月中旬ということだ。ただし、公立の出願が1月下旬なので、具体的な志望校は、冬休みの成果を見ても遅くはないだろう。
(編集部注)
参考に、昨年度の進路希望調査の結果を見てみましょう。2023年10月発表と12月発表の2回あります。
・〈2024年度入試〉埼玉県「進路希望調査結果(10月1日現在)」発表-公立校では市立川越3.79倍、市立浦和2.82倍
・〈2024年度入試〉埼玉県「進路希望調査結果(12月15日現在)」発表-公立校では市立川越2.64倍、市立浦和2.34倍
9月以降、公・私立高校のほとんどの高校で、学校説明会や入試説明会・体験入学を実施している。申し込み制や密を避ける工夫がされており、定員制などの制約はあるが、受験生に学校の雰囲気や施設、部活などをみてもらい、学校選択の参考にしてもらおうという目的だ。
こうした機会をとらえることや、インターネット等を上手に利用し学校調べを進めていってほしい。
私立高校では、12月下旬頃まで学校説明会に加え、生徒・保護者対象の個別相談を実施している学校が多い。
個別相談とは、通知表や各種検定、ボランティア、その他の実績をもとに「合格の可能性を判定する機会」とする学校と「個人的な質問に答える場」とする高校とがある。
高校の先生方と接する機会としての個別の相談は重要だ。また説明会や相談会は、学校との相性や、高校生活を垣間見る機会としても利用しておきたい。
私立高校には、学校ごとに異なるコース(類型)や入試制度があり、希望するコースや入試制度、出願基準などを聞き取っておくことが必要だ。
出願基準は、これからの皆さんの学習を進める上での目標値になっていくに違いない。
個別相談も予約制になるケースが多いが、定員を超えても別日で受付けをしてくれるため安心して申し込もう。
高校を見て、触れて、感じて、目指す志望校と出合ってほしい。
また、説明会や相談会に参加したら、その結果を担任の先生に報告しておこう。きっと有効なアドバイスがもらえるはずだ。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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