よみうり進学メディア

〈2025年度入試〉神奈川入試情報「県立高校改革Ⅲ期スタート/学科改編/選考基準発表」ほか

県立高校改革Ⅲ期スタート/学科改編・二俣川看護福祉高校

高校改革Ⅲ期スタートとなる対象校は、「学科改編」となる二俣川看護福祉高校(普通科)。
従来の看護科と福祉科の専門2科体制から、看護科が普通科に改編。福祉科は継続される。定員等は計画当初予定では普通科360名、福祉科120名となっている。使用される敷地・校舎は今まで通り、これまでの長い伝統がある高校で、部活動等も先輩たちがおり心配はない。

なお、永谷・深沢・横浜旭陵は、再編統合により募集を停止する。

 

公立高校入試「選考基準」発表される

神奈川県教育委員会は、来春の公立高校各校の選考基準を発表した。※1
第一次選考、選考基準の「調査書と学力検査」による入試を前年度と比較する。「調査書と学力検査」の比率を各校の学科・コース別でみてみる(カッコ内は昨年比)。
5:5が100(4増)、4:6が41(3減)、6:4が38(3減)、3:7が10、7:3が5(1減)となっており、5:5が全体の半数を超えた。

変更があった高校は、足柄・横浜商業(スポーツマネージメント)が4:6から、二俣川看護福祉(普通・福祉)が6:4から、それぞれ5:5へ変わった。

第二次選考では、調査書の「主体的に学習に取り組む態度」の観点評価の比重が2:学力検査8を採択する学科・コースが124で全体の6割以上となった。次に多い3:7と合わせ8割を占めている。

観点評価は27点満点なので観点評価1点に相当する学力検査の得点は採択比率によって大きく変わる。観点別評価の差が合否にかかわったと思われる事例が見られたので受験生は要注意。

「主体的に学習に取り組む態度」の観点は、中学校の授業や課題への取り組み、日常の学習から始まっていることを意識しよう。

新制度では、面接の取り扱いが変わったが、学校を知る、自分が納得する受験校を決めていく際の調査の必要性は変わらない。公表されている「入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)」は、確実に読み込んでおこう。

 

■※1 神奈川県公立高校の「選抜基準」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉神奈川県 公立高校「入学者選抜選考基準・特色検査の概要」発表-令和7年度

 

令和7年度公立高校入学者選抜日程

公立高校入試は全日制・定時制・通信制で同日程の「共通選抜」が2月14日(金)に学力検査、14日(金)・17日(月)・18日(火)に特色検査、20日(木)追検査、2月28日(金)合格発表。※2

定時制と通信制の一部で「共通選抜」の後にある「定通分割選抜」が3月11日(火)に学力検査、特色検査、21日(金)合格発表。
※追検査…やむを得ない事情で学力検査を受検できなかった者に対する措置。これまで実施してきた経過を含み追検査の対象となる事由が明確化された。

 

■※2 神奈川県公立高校の「公立高校入学者選抜日程」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2024年度入試〉神奈川県 公立高「2025年度(令和7年度)入学者選抜の日程決まる」

 

学力検査はマークシート方式だが…

学力検査は思考力・判断力・表現力を見る内容で、全国の入試問題の中でも良問だ。

もちろん、教科による平均点の差などは出るし、年度ごとの各教科の平均点の上下等は必ず出る。そういったことに一喜一憂せず、過去問の研究や演習も行ってほしい。

解答方法は記号式選択問題でマークシート方式(記述問題はあり)。問題の作成は年度ごとに工夫されている。

過去3年分の検査問題は、県政情報センター行政資料コーナーで見ることもできるし、コピー(有料)もできる。他の方法でも入手できるので一度は過去問にチャレンジしてみてほしい。※3

 

■※3 神奈川県公立高校「学力検査の過去問題」は、神奈川県教育委員会のサイトからも確認できます:神奈川県教育委員会
共通選抜における学力検査問題

 

インターネット出願が行われて

コロナ禍により合格発表がWebサイト上で行われていたが、さらに6年度受験からはインターネット出願も導入された。
もちろん資料の提出などは学校を通してとなるが、願書の提出などでインターネットを使用する。パソコン、スマホ、タブレットでのアクセスとなるが、通信環境がない場合は、学校に相談すればよい。

導入年度では種々の課題が見つかったといえる。しかし、これだけのシステム導入のなかで比較的スムースに行われたように思う。
ただ、志願変更時の扱い等は時間的な問題もあるのかもしれないが、さらに不安を持たせるようなことのないよう受付側の細心の準備を願う。

県教委に聞いてきました

〈ネット出願について〉
Gmailでの出願をたずねたところ
「使用できる方向で準備をしているが、そもそもメールの送受信回数を減らす方向で改修を進める。そういったことが整った段階でご案内していく形になると思う」との回答。

〈観点別評価、より客観性の必要が…〉
「学習指導要領が新しくなり、すべての教科の目標や内容が「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱からなる「資質・能力」に再整備された。このことを踏まえて、公立高校の入試では「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力」の資質・能力により評価・判定することとした。

これらの資質・能力については中学校における日頃の学習活動の中で観点別学習状況により評価されており、その評価が各教科の評定にバランスよく総括されているものと認識している。
評価判定に用いる資質・能力として、募集人員の90%を選考する第一次選考では学力検査の結果と調査書を用い、残りの人員を選考する第二次選考では学力検査の結果と調査書における第3学年の主体的に学習に取り組む態度の評価を用いて判定の資料とさせていただいている」。

「私たちは客観性という言い方よりも妥当性とか信頼性という言い方を使用しており、実際に評価されるのは中学校側なので、高校側としては評価の結果を受け止めて、選考の中で考えていくという形になっている。当然、中学校と連携してやっていかなければならないところがある」。

「公立中学校としては、より妥当性や信頼性がある評価をおこなうという部分で各学校が工夫して、適切に評価をしていると認識している。そうした中で中学校は市町村立なので、市町村教育委員会も同様の見解を持っていただくこと、またはその取り組みに尽力していただく必要がある。
そのため、すべての市町村教育委員会の指導主事の方を対象に、より妥当性・信頼性のある評価については、会議を用いたり、具体的に妥当性・信頼性のある評価の実現に対して特化した協議会というものを年間複数回用いたり、議論を重ねる中でより妥当性・信頼性のある評価の実現を各学校に求めている」との回答。

〈公立高校の定員割れの状況をどのように…〉
質問は「適切な競争率を維持する手段として定員数を減らす方法もあると思うが、公私の定員比率を含めてダイナミックな方針転換は行われないのか。また、定員内不合格について検討する考えは?」。

「入学定員目標は毎年度、県内の公立中学校卒業予定者数に基づいて、公立・私立の入学定員目標を、まず神奈川県公私立高等学校協議会という協議会の議論の結果を受けて、例年9月上旬に神奈川県公私立高等学校設置者会議において決定している。

令和6年度の入学定員の策定も、全日制進学実績の向上に向けて、公私おのおのが自らの責任において実現を目指す定員目標を設定する方式を継続し、公立中学校の卒業予定者数や、県立高校の施設等の状況や、私立高校の募集計画の状況などを考えて総合的に判断して決定している。

定員については公立中学校の卒業予定者数に合わせて公立と私立で協議会の中で議論をしていく」。

「定員内での不合格者については、本県では実施要領上にも募集人員まで合格者を決定とうたっているので、基本的には定員内の不合格者は出していないし、出すつもりもない」との回答。

(かながわ民間教育協会・掛川忠良)

 

(よみうり進学メディア編集部)

 

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