中学３年生で同級生のエリさんとカズくん、そして２人のよく行く書店の店主であるジュンさんのある日の会話
エリさん：ジュンさんのお店ではもう過去問題集を買ったお客さんはいた？
ジュンさん：あぁ、いたよ。先週も何人かの中学生が数冊ずつ買っていったな。早い人は５月の連休前に買っていたよ。
エリさん：そうなの!?て言うか、カコモンってそんなに早くから発行されているの!?
カズくん：たしかにこの間友だちが持っているのを見かけたなぁ。でも、まださすがに解いたりはしないよね…。
ジュンさん：まだ解かなくてもいいけど、過去問題集は入試問題が載っているだけじゃないんだよ。買っておいてあらかじめ研究はしておいたほうがいいよ。
カズくん・エリさん：どういうこと？
カズくん：入試問題以外に載っていることって？
ジュンさん：たとえば、志望校の各科目の満点は何点？試験の制限時間は何分？こういうことは入試を攻略するためにはとても大切な情報だ。ノープランではダメだよ。
カズくん：ぼくはまず志望校を決めるところからだな…。
ジュンさん：カズくんは、「エリちゃんと同じ高校に行きたい」って言ってなかったっけ？
カズくん：ちょ、ちょっと！ジュンさん！自然な流れでスゴイことぶっこんでこないでよ！
ジュンさん：他にも各学校の受験者平均点や合格者最低点などの情報も重要だよ。入試本番では、必ずしも満点を取らなければいけないわけではない。合格という目標を設定する上でも基準となる情報だよ。
エリさん：カズくん、なにごとも目標設定が大事よ。今のカズくんのように、ボーっと生きているんじゃ、怒られるわよ。
カズくん：なんか、聞いたことのあるセリフ…。
エリさん：私も合格者最低点をクリアできるようにがんばるわ！あ、でも、カズくんがもし私と同じ高校を受けるなら、私より高い点数は取らないでね。
カズくん：エリちゃん…。って、エリちゃんが合格者最低点を目標にされると、それ以上の得点を許されない僕は合格できないんですけど！
カズくん：過去問買ってみたけど問題ページの前にものすごい量の情報があるんだね。公立高校の問題集では教科数や選抜の仕組みなども、私立の学校別問題集は応募状況や、施設・環境など大学進学状況などもある。
ジュンさん：そうなんだよ。単なる問題集ではないということがわかるよね。
エリさん：私はもう解いてみたわ。
カズくん：どうだった？
エリさん：全然解けなかった…。９月の時点でこんなに解けないなんて。入試まであと２００日を切っているっていうのに！
ジュンさん：まだ焦ることはないよ、エリちゃん。受験生は復習が重要だ。これから入試までの間に苦手分野をいかにつぶしていくかを考えよう。
エリさん：何をすればいいのかしら？
ジュンさん：解説は読んだ？
エリさん：いえ、全く（キッパリ）。
ジュンさん：まずは解説を読んでみよう。全問の解説が掲載されているから、自分の間違えた問題の解説を読むこと。その時に、自分の苦手な分野を簡単に見つけることができるんだよ。
カズくん：どうやって？
ジュンさん：解説文のページには、大設問ごとに必ず単元名が書かれているんだ。例えば数学なら〔平面図形-円〕とか〔数と式-文字式の利用〕などと書かれているよ。
カズくん：おぉ、本当だ。
ジュンさん：自分が苦手としている分野や単元が分かったら、学校の教科書や復習用の教材の目次と照らし合わせ、そのページを復習するといいよ。なんでもかんでも最初から最後までやろうとするんじゃなくて、過去問を解いて浮き彫りになった自分の苦手を徹底的につぶすことが合格への近道さ。
カズくん：苦手分野がわかったから復習をしていっているところなんだけど、解説を読んでもチンプンカンプンな問題もあってこれはどうしたらいいんだろう？チンプンカンプンなままでいたら、ぼくはチンプンカンプンな受験生になって、あぁ…！
ジュンさん：カズくん、入試は必ずしも満点を取らなければならないものではないんだ。実は解けなかった問題の中には、合格者最低点に届くために必要としないものもあるはず。これは受験生ごとに違うから自分で分析しないといけないんだ。まず、あと何点必要なのか、次にどの科目とどの科目で何点上乗せするのか、さらにどの分野で取るのかを考えよう。
エリさん：そうよ、出題分野を意識して復習することは特に重要なの。公立高校のカコモンの場合、小問ごとの正答率も掲載されているわ。正答率が高いものは復習の優先順位が高いの。
カズくん：そうか…全部をなんとかしようとするのではなく、優先順位をつけるってことか。
ジュンさん：カコモンには「出題分野一覧表」が載っているページがあるのを知っているかい？
カズくん：え、そうなの？知らなかった。
エリさん：私は知っていたけれど、読んでいなかったわ。小さい字を読むのが厳しいお年ごろなの。
カズくん：エリちゃん、キミ中学生だよね!?
ジュンさん：それだけたくさんの情報が１ページに載っているということだよ。カコモンの巻頭の方に教科別の「出題傾向と対策」というページがある。そこにはカコモンに掲載されている過去数年分の問題の出題分野がまとめてあるよ。自分はどの分野が得意なのか苦手なのかを把握できるよね。
カズくん：そうか！その表を活用することで、自分の苦手分野を洗い出すことができるんだ。そうすれば、重点的に練習できるから、自分の復習がもっと…。
ジュンさん：ふたりとも、復習は進んでいるかい？
カズくん：英語と数学はまぁまぁ進んでいるけれど理科社会に時間がかかってしまっているよ。
エリさん：私は全体的にうまく行っている感じ。合格者最低点にはまだ届いていないけれど…。
ジュンさん：出題形式が大きく変わることはないから、繰り返し解いて慣らしていこう。そういえば、カコモンの「出題傾向と対策」のページにある出題分野一覧表には、次年度の出題予想が出ているのは知っているかい？
エリさん・カズくん：そうなの!?
ジュンさん：毎年よく出題される単元や分野がチェックできるようになっているよ。早めに見ておくと効率的に復習できるようになるからね。
カズくん：これまでによく出題されているところだけ集中的に勉強しよう！
エリさん：カズくん、それじゃヤマをはるようなものよ！よく出題されるところはもちろん、幅広く復習はしておくといいわよ。
ジュンさん：そうだね。これまでカコモンをやってみて、いろんな分野から出題されているのは気づいているよね。
カズくん：よし、それなら今までできなかった部分だけ全集中で勉強してみる！
エリさん：ひさしぶりに「全集中」って言葉を聞いたけど、そういうことじゃないわよ！
カズくん：過去問題集を使ってだいぶ入試問題にも慣れてきたね。繰り返してやると自信にもつながってきたよ。
ジュンさん：どうだい？合格者最低点に届きそうなのかい？
エリさん：私もなんとかクリアすることが出来そう。本番はとにかくミスをしないようにしなくちゃね。一つ一つの問題を大切に。
ジュンさん：ここでなぞなぞ！
エリさん・カズくん：ビクッ⁉
ジュンさん：一生懸命努力をして志望校に合格をした受験生が書いた数字は何でしょう？
カズくん：うぅ…今まで解いてきた問題より難しいぞ、これは。
エリさん：あ！わかったわ！
ジュンさん：はい、エリちゃん。
エリさん：「５」よ。
ジュンさん：理由も言ってみて。
エリさん：「５を書く」、つまり「合格」よ！
カズくん：エリちゃん、ヒラメキがスゴイ！受験本番もこのヒラメキが生きるといいね！
（監修・㈱声の教育社）
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