一般に受験勉強と言った場合、学力検査対策を指します。調査書対策、面接対策、実技対策などいろいろ考えられますが、学力検査における得点力を上げることが受験勉強の究極の目標となります。
学力検査(筆記試験)には出題内容、出題形式などに特徴があります。これを出題傾向と言います。したがって、これらを知り、それに合わせた勉強をすることが合理的であり、おそらくいちばんの近道となるでしょう。
具体的には過去の入試問題すなわち「過去問」を解くことですが、出題傾向は公立であれば都道府県ごとに、私立であれば学校ごとに微妙に異なりますので注意してください。
「過去問は(解ける)自信がない」などと尻込みしている人もいますが、本番まで4か月、もはやそのような段階ではありません。相手(試験)の特徴を知らずに、これからいったいどんな準備(勉強)をしようというのでしょうか。
過去問などの問題演習は自身の弱点に気づかせてくれます。知識が抜け落ちている部分も気づかせてくれます。1・2年の範囲については忘れてしまった分野・単元もあるでしょう。それらを教科書で復習します。そして、もう一度解いてみます。この繰り返しです。
部活で運動をやってきた人は分かると思いますが、練習ではできたのに練習試合ではできないことがありますね。また、練習試合をやることで気づかされる自分や自チームの弱点もありますね。そして、それらをもう一度練習し直します。そうやって本大会に備えます。受験勉強もそれとよく似ています。
よく似た質問にこのようなものがあります。
「1冊の問題集を3回やるのと、3冊の問題集を1回ずつやるのとではどちらがいいか」。
人によって意見は異なると思いますが、筆者のおすすめは「1冊を3回」です。なぜなら入試で求められるのは確実な知識であって、中途半端で曖昧(あいまい)な知識はあなたの助けにならないからです。そこで、確実な知識とするために同じ問題集を3回繰り返します。もちろん3回というのはひとつの目安ですから、1回であっても2回であっても、完璧と言える領域に達することができたのならそれで構いません。要は理解不十分なまま、あれもこれもと手を広げ過ぎてはいけないということです。
学校のワークなどは教科書に出てくる基礎的な知識を確実にするためには有効だと考えられます。入試問題は基礎的基本的知識・技能を重視しているので、その意味でワークによって基礎固めするのは受験対策にもなります。
ただ、難易度がやや高い問題や応用的な問題に対応するためには、受験対策用の問題集(過去問題集も含む)も必要でしょう。難易度の高い学校を目標とする人は必須とも言えます。
問題集をやるときは答え合わせをして終わりではなく、必ず教科書で確認しましょう。
このひと手間をかけるかかけないかで知識の定着度が違ってきます。手が出ない問題が出てきたらそこで投げ出すのではなく解答や解説を見ながらでも解きましょう。
何回も繰り返せば、何も見ず自力で解けるようになるでしょう。
疲れて勉強が手につかないのであれば部活はやめればいいと思います。または疲れない部活に変えればいいと思います。また、塾と学校の勉強との両立ができないというなら、学校はやめられないので塾の方をやめることだと思います。
それでもお子さんが今の部活を続けたい、塾にも通いたいと言うなら、それは尊重し、応援してあげてください。
ただし、責任を他に転嫁するのはいけません。勉強の時間が確保できなかったり、取りかかるのに時間がかかったりする理由を部活のせいにしてはいけないということです。学校の宿題ができないことを塾のせいにしてはいけないということです。
部活の練習については自分の都合だけではコントロールできないでしょう。塾についても同様で、塾には塾の方針があるので自分ではコントロールできないでしょう。
もちろん部活顧問や塾の先生に自身の現状を伝えたり、意見や要望を述べたりするのは構いませんが、何かができないとか上手く行かない原因をすべて自分以外のところに求めるとしたら、それは良くないですね。実際、同じ環境や条件の下(もと)で上手くやっている人もいるのですから。
家庭での過ごし方や勉強の仕方について、細かいところからひとつずつ自分で決める習慣にするといいと思います。自分のルールを自分で決めて自分の意志で実行する、つまり自律、自立ですね。
信じて見守る。そうすればお子さんはきっと自力で解決してくれるでしょう。
2年生のうちから学校選びのための活動を始めるとは良い心がけです。2学期以降も1・2年生が参加可能なフェアや説明会がありますから時間の許す限り参加してみましょう。
志望校がなかなか絞れない理由はいくつかあると思いますが、あなた自身、高校生活の目標がまだはっきり描けていないようなので、それも理由のひとつかもしれません。
たとえば、「高校に入っても続けたいことはありますか?」「高校に入ったら新しく始めたことはありますか?」、そんなことを考えてみてはどうでしょう。それは、勉強のことであっても、部活のことであっても、あるいは趣味や習い事であっても、何でも構いません。要するに、あなたは高校や高校生活に何を求めているのかということですね。それがはっきりしてくると、あなたにとっての良い学校というのが見えてくると思います。
大事なのは、あなたにとっての良い学校と、友達のAさん、Bさんにとっての良い学校はおそらく違うだろうということです。
あなたが高校に入ったらもっと部活を頑張りたいと思っていたとすれば、熱心な指導者がいて、練習環境が整っていて、大勢の仲間がいる学校が良い学校となるでしょうが、部活にそれほど関心がない人にとって、それらはどうでもいいことです。
自分が本当にやりたいことって何だろう。それを考えることから始めてみましょう。そうすると高校の見え方が今までと違ってくると思います。きっと3年生になる頃、「ここに行きたい」と思える学校が見えてくるでしょう。
中学校の先生方も生徒たちの進路に対する意識を高めようといろいろ工夫されています。
しかし、これは周りで考えるほど簡単なことではないのです。なぜかと言うと、「目覚める瞬間」というのが一人ひとり違うものだからです。早くから意識を持つ子もいれば、ゆっくりの子もいます。また、「何によって目覚めるか」も一人ひとり違います。部活見学でその気になる子もいれば体験授業やその他のことでやる気になる子もいます。
ですから、学校の進路指導というのはそのことが前提になっていて、いろんなタイミングでいろんな方法を試みるのです。そうすれば、いつかどこかのタイミングで何かがきっかけになって、子供たちの気持ちが進路進学に向かって行きます。
そんな悠長(ゆうちょう)な、と思われるかもしれませんが、志望校決定が早い子が優れていて、遅い子が劣っているというものではないと思います。遅い子はじっくり考える子、慎重にものごとを決める子と考えれば、それもひとつの特性であり長所と言えるでしょう。
何か特効薬のようなものを求めておられるのかもしれませんが、筆者はその答えを持ち合わせません。強いて言えば、上のQ4とも重なりますが、ご家庭で高校入学後やさらにはその先の未来について話題にし、語り合うことではないかと思います。
ご家庭の強みは、「毎日個別相談」できることです。中学校や塾ではとてもそんなことはできません。たとえ1回1回は短くても、必ず効果は現れるでしょう。
(回答者 教育ジャーナリスト 梅野弘之)
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