都教育庁は、9月に選抜実施要綱・同細目を、10月に令和7年度入試の都立高校の募集定員を発表した。
来春の公立中学校卒業予定者は220人余り減少する。これに対して、都立高校の募集人員は全日制で8学級320人減少した。
令和7年度の都立入試では大きな変更点はないが、前年までの変更を定着させる年度となると考えられる。
各高校の学校説明会が最盛期を迎え、実際に高校へ行く機会も多くなってはいるが、インターネット等も利用して各校の状況を調べ、志望高校を決定していってほしい。
9月に都教育委員会の入試検討委員会の方針が発表された。7年度入試での大きな変更はないが、最近の変化には、注意が必要だ。
・一昨年から出願方法は、推薦による選抜及び分割前期、海外帰国生徒対象は原則としてインターネットによる出願・合否照会を実施する。その他出願に要する書類は郵送となる。
・東京都中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J YEAR 3)の結果を活用し、英語4技能のうち「話すこと」の能力を見る。7年度の実施は11月24日となる。
・前年度から男女別定員制は全廃となり、対象となる全校で推薦・一般とも男女合同選抜が実施される。
などの3点に留意しておきたい。
都内公立中学校の令和6年春の卒業予定者数は、7万7,809人となっており,前年と比較して216人減少する(都内公立一貫校を含まず、公私連絡協議会資料より)。
都立高校全日制の7年度募集人員は167校で4万315人と前年より8学級320人減少した。在籍の減少よりも、募集が減っていることに注意が必要だ。
工業高校の再編が、六郷工科で実施される。
また、竹早など3校で学級増が実施され、城東、駒場など11校で1学級減となる。
学科の改編が1校、募集学級の増減は14校に及ぶ。
募集の変更や定員の増減は、各校の入試倍率を変化させるだけでなく、競合する学校の受験動向にも影響する場合が多いようだ。
また、定時制課程では、学年制は立川で募集停止となり、単位制総合学科の立川緑が開校する。
学年制は35校で1,260人の募集、単位制では砂川で30人増となり、210人増の3,075人の募集となる。
■※1 「都立高校 各校の募集人員増減」について、詳しくはこちら:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉東京都 都立高「第一学年生徒の募集人員等」発表-令和7年度
工科系学科の改編
前年(※注2)に引き続き、工科の改編が行われている。
六郷工科では、プロダクト、オートモビル、システム、デザインの各工学科とデュアルシステム科が募集停止となり、ものづくり工学科(5学級)が新設される。
■※注2 前年の改編とは:
中野工科→キャリア技術科を食品サイエンス科へ。
杉並工科→機械科、電子科、理工環境科からIT・環境科へ。
北豊島工科→総合技術科を都市防災技術科へ。
科学技術→創造理数科の新設。科学技術科は1学級減。
普通科の募集学級の増減
普通科1学級増:竹早、広尾、府中
普通科1学級減:城東、東、駒場、大森、竹台、大山、足立、松が谷、小平、狛江、羽村
今春の推薦入試では、全体で2.47倍、同普通科では2.86倍、一般入試では、全体で1.35倍、同普通科では1.38倍と、前年度入試と比較すると、推薦・一般ともほぼ同率の高倍率が続いていた。※3
また、これまでは卒業予定者の増減に対して、募集人員の増減が実施されたが、7年度入試では、在籍の微減に対し、募集人員は予定者の減少幅を上回る減を実施している。
このため、都立全体の倍率は前年を上回る可能性があるだろう。
この定員減の理由は、通信制高校への進学者の増加、私学進学者に対する都の助成金の充実、男女合同選抜への不安から、早めに私学に進路を決めた受験生が多かったことなどが挙げられよう。
■※3 昨年度(2024年度)都立合格発表時の数値について詳しくは:よみうり進学メディア
・推薦:〈2024年度入試〉東京都 「都立高推薦 合格発表!」-令和6年度
・一般:〈2024年度入試〉東京都 都立高校一般合格おめでとう「合格者数・各校倍率」-令和6年度
12月中旬に、中学校で、都立高校への希望状況の調査が実施される。
結果は、1月上旬に新聞発表されるが、これは、受験生の動向を知るための、精度の高い資料として注目される。
都立の受験校の決定は、この資料を見てから決めることもできそうだ。
志望校の決定には、1人ひとりの将来への夢や、それに対する情報の収集が必要となる。各高校の説明会は、定員制や予約制となる事が多いようだ。予約が取れなかったり、説明会が終了の時には、希望校に資料請求をしたり、インターネットを利用して調べることが重要となる。学校の特色、入試の仕組み、私立では入試制度やコースごとの基準を調べておきたい。
いろいろな高校を見て、調べ、第一志望の高校にめぐり合って欲しい。
急速に朝晩冷え込む時節になってきたが、入試当日だけでなく、今日から受験までの日々の、皆さん自身の健康管理も重要な入試の対策といえる。
コロナだけでなく、インフルエンザも流行する季節となる。
無駄を省いて睡眠時間を確保すること。外から帰ったら消毒液等で手を洗い、うがいを忘れないこと。
風邪の症状や腹痛、発熱などがあったら、早めに医療機関の受診をしよう。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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