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入試情報
2025.7.3

〈2026年度入試〉受験生Q&A 「苦手科目はどこまでやればいいですか」ほか

Q1
苦手科目(数学)への取り組み方について知りたいです。効率的な復習方法はありますか?あと、苦手科目はどこまでやればいいのかも気になります。得意科目に集中した方が良いでしょうか。

 


受験勉強の作戦としては、苦手科目を得意教科でカバーするのはひとつの考え方としてあっていいと思います。通常、入試学力検査は合計点の勝負ですから、苦手を克服するのと得意を伸ばすのとでは、どちらが合計点を伸ばしやすいかという選択の問題です。

ただ、高校に入ってからも数学は必修科目としてありますよ。進学する学校や学科によっては高1までという場合もありますが、とにかく数学は中学校で終わりではないのです。後々のことも考えて、完全にあきらめてしまうのは良くないです。

質問の中にもありますが、「苦手科目はどこまでやればいいのか」を考えるべきなのです。
本番まで残された時間を考えれば得意科目にする必要はないし、現実的に無理でしょう。ただし、全体の足を引っ張ってはいけないので、まずは平均点を目指すとか偏差値50を目指すとか(同じことですが)、やや低めの目標設定にしたほうがいいです。
それが実現したら少しずつ目標を引き上げます。

平均点超えを狙うなら基本的な問題で確実に点数を取ることです。正答率が50%に満たないような難問は解けなくても平均点はクリアできます。易しい問題でしっかり点数を稼ぎ、難しい問題は出来なくてもいいと割り切るのは現実的な考え方です。

 

数学をそこまでやっておけば得意科目の強化が生きてきます。逆に数学が平均点もおぼつかないようだと得意科目でいくら頑張っても合計点が伸びず合格に近づきません。

「苦手だからやらない」となりがちですが、苦手なりに作戦を立てて取り組んでみると結構成果は出るものです。

 

Q2
志望校の決め方について、具体的なアドバイスが欲しいです。正直どこが自分にあっているのかイマイチピンとこなくて…。先輩方はどんな基準で最終的に決めたんでしょうか?

 


あなたは高校に入って何をしたいのですか。何を頑張りたいのですか。また、将来の進路についてどのような希望を持っているのですか。考えるのはそこからです。高校のことを考える前に、自分のことを考えるということです。

高校に入ってやりたいことや頑張りたいことが自分の中で固まってくれば、あとはそれが一番実現できそうな学校を選ぶだけです。

たとえば、高校に入ったら今まで以上に部活を頑張って全国大会を目指したいという希望を持っていたとします。であれば、実績のある学校を選んだほうがいいですね。熱心な指導者がいる学校がいいですね。施設など練習環境が整った学校のほうがいいですね。あとは自分の実力で練習についていけそうかどうかも考えたほうがいいでしょう。
似たようなレベルや内容の学校があったら、毎日の通学のことを考えてできるだけ家から近い学校を選ぶかもしれません。部活体験とかに参加すればいろいろなことが分かってくるでしょう。

勉強を頑張りたい人の場合は、カリキュラムや授業内容、授業レベルが自分に合っていそうかどうかがポイントになりますね。大学進学のことを考えれば進学実績は重要ですし、補講など課外の指導についても調べたほうがいいでしょう。

高校はあなた1人のものではないので何から何まで自分にピッタリというわけにはいかないと思いますが、あなた自身にも「ここだけは譲れない」というものがあるでしょう。そこを中心に学校を選んでください。

 

Q3
夏休みには1日何時間くらい勉強するのが理想ですか?あと、長時間集中を続けるためのおすすめ方法はありますか?


夏休みの勉強時間は、塾の夏期講習に参加するかどうかなど学習スタイルによって異なりますが、だいたい4~5時間程度ではないでしょうか。3年生(受験生)であればもっと増やしてもよさそうですが、無理な長時間学習は逆に効率を下げてしまうので注意が必要です。集中できる環境を整え、適度な休憩を取りながら学習を進めましょう。

学校の授業が50分なのはそれが集中の限界だからでしょう。家庭での勉強の場合も、25分に1回とか50分に1回とか適度に休憩を入れながら繰り返すようにしましょう。

 

多くの受験生は勉強量を測る単位として時間を用います。分かりやすい方法なのでそれはそれでいいでしょう。しかし、よくよく考えてみると勉強量の計測はそれ以外の方法でも可能です。
たとえば「問題集を何ページ」「問題を何問」というのも量のことを言っています。ですから「今日は4時間勉強した」と時間だけで満足せず、その時間内に問題を何問解いたとか、単語をいくつ覚えたとか、別の方法(単位)も取り入れて評価してみると勉強の質的な面も分かってきます。ぜひ試してみてください。

成績が上がる人の場合、1日の勉強時間が多いのは当然ですが、もうひとつ忘れてはならないのは「勉強をやらない日がない」ということです。日によって量に差があるとしても毎日やるのです。ひと夏を終えて、勉強をしなかった日がなかったとしたら、あなたの学力は間違いなく伸びていることでしょう。

 

Q4
受験直前の秋以降の過ごし方について、今から意識しておくべきことや、夏休み中に準備しておくと良いことはありますか?過去問の解き始めの時期とか、模試の活用の仕方とか教えてください。

 


秋以降は勉強だけに集中したいですね。そのために学校調べは今のうちにやっておきましょう。もちろん最終的には学力がどれだけ伸びるかで受験校が決まるわけですが、候補となる学校についてはできるだけ早めに説明会や相談会などに参加し、情報を集めておきましょう。

夏休みは学校が休みになるため、夜寝る時間や朝起きる時間が不規則になり、それが原因で体調を崩す危険性があります。秋以降を考えたときに、これは絶対に避けなければなりません。自分で管理できる人は問題ありませんが、それができない場合はご家族の助言や協力も必要です。

 

過去問の解き始めの時期は当然ながら早いほうがいいです。1・2年生ならまだしも、3年生であればいつ始めても早過ぎることはないでしょう。過去問学習は、自分の力を試すという目的もありますが、本番の出題形式や内容に慣れるとか、出題傾向を知り今後の学習計画の参考にするといった目的もあります。
主な目的を力試しと考えるならば、ある程度勉強が進んだ秋以降に始めればいいですが、出題傾向を知り今後の計画の参考にすることに重きを置くならば、早めの取り組みが必要になってくるでしょう。

 

模試は受けた後が大事と言われます。ただ点数や偏差値や合格可能性の数字を見て終わりにしてはいけません。出来なかった問題は模試を受けたその日のうちに解き直しをしておきましょう。模試の問題は本番を想定した予想問題でもあるので、必ず保存しておいて最後の復習用に使うことにしましょう。

 

Q5
子どもの学習計画について、親はどのようにサポートすれば良いでしょうか?「勉強しなさい」と言うと絶対反発されます。やる気を引き出す声かけの仕方や、学習環境の整備で気を付けるべき点など、アドバイスをお願いします。

 


子育ての最終目標は自立という考え方があります。子どもたちは最終的には親から独立し自分の力で生きて行くものだとすれば、親の指示や命令は少しずつ減らしていったほうがいいですね。
受験についても「勉強しなさい」と指示するのではなく、主体的に取り組むように仕向けていきたいものです。大学生になっても「勉強しなさい」、社会人になっても「仕事しなさい」と言い続けなければならない関係で良いわけがありません。

とは言え、まだ中学生です。家では親の、学校では先生のサポートは必要なのです。そこで、子どものやる気を引き出すテクニックをいくつか紹介します。

まず、気にかけること。人間関係において無視や無関心は最悪です。気にかけたら声をかけること。「勉強、進んでる?」という程度の声かけです。それ以上は必要ありません。

進路については一緒に悩み、一緒に考えることです。子供には心のどこかに答えを求める気持ちがあるものですが、そこは心に鬼にして「答えは自分で見つけなさい」の姿勢を貫きます。その代わり、最後まで付き合います。

子どもたちは口で言うほど自分に自信を持っているわけではありません。強がっているだけです。人の意見を素直に聞けない理由のひとつは自信のなさです。結果ではなく、むしろ過程(プロセス)を認めてあげましょう。たとえテストの点数はあまり良くなくても、それに向かって努力したプロセスは認めてあげましょう。

学習環境については、勉強しやすい場所を家のどこかに作ってあげましょう。必ずしも別に完全個室である必要はないでしょう。勉強に集中したければ勉強に関係ないものを近くに置かないのがコツです。

 

(回答者 教育ジャーナリスト 梅野弘之)

 

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