部活の仕上げに、勉強に、志望校の選択に、受験生の夏がスタートする。
夏休みが明ければ、いよいよ志望校の選択の時節だ。
今から夏休み期間にかけて、学校ごとの説明会や、体験入学、多くの学校が参加する大規模な進学フェアが開催される。
志望校との出会いのチャンスだ。こうした機会をぜひ活用し「悔いを残さない志望校の選定」をしてほしい。
部活の大会、会場テスト、各種検定の資格挑戦など、多忙な日々が続くが、「体調管理」「学力の向上のための努力」「調査書対策」「志望校との出会い」が皆さんの夏の課題だ。
8年度入試の変更点、分割募集廃止に
令和8年度の都立入試の変更点が発表された。
これまで都立全日制課程21校で行ってきた分割募集を廃止し、第一次選抜のみで募集する。
募集人員は、第一次選抜に合算される。
分割募集を廃止する高校
日本橋、八潮、蒲田、田園調布、深沢、竹台、大山、田柄、青井、 足立新田、足立東、淵江、南葛飾、府中東、山崎、東村山、羽村、 秋留台、野津田、中野工科、練馬工科
ただし、昼夜間定時制の一橋・浅草・荻窪・砂川・八王子拓真の5校の分割募集は引き続き実施する。
通信制課程の選抜は、前期と後期の2回の選抜を実施する、などとなっている。
受験のチャンスが減ると思う人はいるかもしれないが、都立入試は推薦から始まり、一般(第一次選抜)、二次募集とある。しっかり準備して、挑戦していってほしい。
入試制度を理解することが、入試へのスタート
都立全日制の一般入試(第一次選抜)の学力検査では、共通問題で実施する学校は、マークシート方式となる。
また、学力検査と調査書の比率7対3(分割後期、二次募集は6対4)となり、実技系教科の調査書点は2倍にされる。
進学指導重点校グループと進学重視型単位制高校グループでは、国語・数学・英語の3教科の入試問題は自校作成の形(一部共通テスト問題も可)となっている。
6年度入試での自校作成問題採用校は、日比谷、戸山、青山、西、八王子東、国分寺、国立、新宿、墨田川、立川(普通・理数)の10校で、それぞれ国語・数学・英語を自校作成とし、他の教科は共通問題を実施した。国際は、英語のみ自校作成となっている。
8年度については、入学者選抜実施要綱として、9月下旬に発表される。
私立高校は、推薦の開始が1月22日、一般が2月10日となっている。
入試日程や推薦や併願優遇などの制度の具体的な内容、その基準などは、各学校の説明会などで知ることができる。
都立高校の選抜基準や私立高校の入試制度を研究すること、各教科の評定や学力は「自分なりの目標」を定めることなどが、今後の皆さんの夏の努力目標となるだろう。
公私の学校展に参加して情報収集も
7月27日に東京都教育庁主催の『都立工科高校ドリームフェスタ』が新宿住友ビルで、7月27日に『都立高校EXPO2025』第一部が新宿NSビルで、同第二部が8月9・10日にベルサール高田馬場で実施される。※第一部は申込受付終了。
また、都内私立高校全校が参加する進学相談会が8月23・24日に東京国際フォーラムで開催される。(東京都私立高協会主催)。
それぞれ予約制ではあるが、できるだけ参加して、公私の情報をゲットしておきたい。
あらかじめ気になる学校をリストアップして、聞きたいことをまとめておいてほしい。
受験生の重要な課題は、自分に合った、伸ばしてくれると確信が持てる志望高校と巡り合うことだ。
過去の入試問題を見て研究してみよう
夏の大会までで部活動を引退する人も多いと思う。夏休みは、自ら考えて、課題を解決するチャンスだ。
夏休み期間中に過去の入試問題を見て、解答の仕方や、記述問題の内容などを調べておくことも重要なポイントだ。
現時点では習っていないことも多いが、各教科で中学1・2年次に習った内容が多く出題されていることに気づくに違いない。
忘れていた1・2年生の内容や復習ポイントを知り、出題の形式や各教科の文章題の量を見ることで、今後の勉強方法を考えることができる。
このため、できれば、複数年度の過去の入試問題を手に入れて、研究しておきたい。
学費を気にせず、学校を選択できる時代
公私立の高校生に対して国から就学支援金という授業料の助成金が支給される。
各家庭の年収が910万円未満が11万8800円、590万円未満が年額39万6千円となっていた。7年度から年収上限が廃止され、都立は全員授業料が助成される。
都では、さらに前年度から、私立進学者に対して、国の支援金と併せて49万円までの授業料が助成されている。
公的な助成金の充実によって、学費にとらわれない、学校選択ができる時代になっている。
但し、ほとんどの私学では、授業料のほかに、入学金や、私立拡充費が必要であることや、都立も私立も修学旅行積立金などの負担がある事などを考慮する必要がある。
また、助成金は、10月ごろに受け取れるが、入学時には、納入する必要があることが注意点だ。
いよいよ受験生は、『志望校の選択』の時期に突入する。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)