よみうり進学メディア

埼玉 入試情報
2025.7.31

〈令和8年度入試に向けて〉志望校選択の夏、計画をたてて、着実に

部活の仕上げに、勉強に、志望校の選択に、受験生の夏がスタートする。
夏休みが明ければ、いよいよ志望校の選択の時節だ。
今から夏休み期間にかけて、学校ごとの説明会や、体験入学、多くの学校が参加する大規模な進学フェアが開催される。
志望校との出会いのチャンスだ。こうした機会をぜひ活用し「悔いを残さない志望校の選定」をしてほしい。
部活の大会、会場テスト、各種検定の資格挑戦など、多忙な日々が続くが、「体調管理」「学力の向上のための努力」「調査書対策」「志望校との出会い」が皆さんの夏の課題だ。

来春の公立・全日制の募集人員は400人減に

公立高校の募集人員が発表された。
現在の国・公・私立中学3年生は、前年より500人余り減少し約61,400人となる(5年度学校基本調査より)。
全日制の募集人員は3万5,080人、前年より12校12学級480人の減となり、魅力ある県立高校づくり第2期の改革推進計画の実行に伴う変更によって2校80人の増となり、全体では、400人の減となる。
募集減 12校12学級
上尾橘、岩槻商業・商業、大宮武蔵野、小鹿野、桶川西、川越西、北本、熊谷、熊谷女子、草加西、蓮田松韻、ふじみ野
募集増 2校2学級
越生翔桜、大宮科学技術・ロボット工学(新設)
定時制課程では、川口市立が募集停止となり60人の定員減が実施され、募集人員は、2,000人となる。
募集人員の増減や統合再編は、該当する学校の倍率だけでなく近隣の競合校の倍率にも影響するため、今後の志望動向に注意が必要だ。

魅力ある県立高校づくりに伴い6校の新校が誕生

来春に6校の新校が誕生する。魅力ある県立高校づくり第2期の統合再編によるもので、第1期では5年度に飯能と飯能南、児玉柏楊と児玉の統合再編が実施されている。
統合される6校(岩槻北陵、浦和工業、鳩山、皆野、八潮、和光)は、7年度入試で募集停止となっている。
・和光国際・和光→新校名/和光国際 普通科と国際科に再編。
・岩槻・岩槻北陵→新校名/岩槻 普通科と国際教養に再編。
・秩父・皆野→新校名/秩父 普通科と国際教養科に再編。
・越生・鳩山→新校名/越生翔桜・普通科と美術表現科に再編。
・八潮南・八潮→新校名/八潮フロンティア 普通科とビジネス探究科に再編。
・大宮工業・浦和工業→新校名/大宮科学技術 機械工学科、電気工学科、建築デザイン科、ロボット工学科、情報サイエンス科に再編。
越生翔桜、八潮フロンティア、大宮科学技術の3校が新たな校名となるほか、これまでにない新しい学科として国際、国際教養、ビジネス探究、ロボット工学、情報サイエンスなどの学科が誕生することが注目される。

公立各校の、入試選抜基準を調べておこう

よみうり進学メディアWEB版で速報したように、令和8年度入試の選択問題採用校と出題の基本方針、各校の選抜基準が発表された。
選択問題採用校は、昨年の22校と同様となる。
また、出題の基本方針も、入試問題は教科書の内容に沿った基礎的・基本的なものという方針に変化はない。
5月末に、公立高校の入試要項と選抜要領、各校の選抜基準などが発表されている。
気になる高校の教育内容や特色、部活の活動状況、発表された選抜基準などを調べ、学力や評定などで目標値を設定し、それを目指して努力を続けていきたい。

調査書の記載欄の変更も、各校基準に変化はない

公立高校の入試で調査書は、各学校が定める基準によって項目ごとに点数化される。学力検査に一定の比率で加算され、選抜に使用されることになる。
調査書には、中学校での3年間の学習の記録、総合的な学習の記録、生徒会や学級活動、実行委員、部活動の記録、出欠の記録、その他‐英検や漢検などの取得級位、ボランティア活動、書道、囲碁・将棋の段位‐など中学校内外での活動実績が記載される。
8年度入試では、調査書の部活動の記録欄が、特別活動欄からその他の欄へ、記載場所の変更がある。このため、各校の特別活動の得点とその他の得点の見直しがされている。各校の選抜基準では、部活動の記録に対しての得点には大きな変更は無いようだ。

既に入試は、開始されていることに注意

特に選抜で重視されるのが各教科の評定だ。学期ごとに学校から渡される通知表(学校によって名称が異なる場合がある。)は、学期ごとの成績であることと、評定の基になる観点別評価が記載されているが、調査書には各学年の総合成績が記載される。調査書の3年次は、4月から12月中旬までの成績ということになる。
調査書の評定については、12月中旬以降に、希望者は、担任の先生から口頭で、教えてもらえる。
また1月中には、調査書と同一内容の「通知書」が発行され、志望校を決める際の参考にできるようになっている。

高校に、行って、見て、触れて、感じてみよう

夏は、受験生の活動の時だ。さまざまな機会を生かして、積極的に参加しておきたい。
これまでに県内・都内の私学の進学フェアが既に実施されているが、7月12・13日に、彩の国進学フェア(読売新聞東京本社さいたま支局主催)、7月から8月にかけて埼玉私学フェア(埼玉県私立学協会主管)が熊谷7月26・27日、川越8月16・17日、大宮8月23・24日、8月23・24日に東京都私立学校展(東京都私立中学高等学校協会主催)、10月には入試ファースト(埼玉教育ネット主催)が春日部19日・越谷11日、など、次々実施される。
予約制や入れ替え制などの制約はあるが、話を聞いてみたい学校を絞り、聞くポイントをまとめて参加してみよう。きっと有意義な1日が過ごせるはずだ。
公立も私立も各学校で学校説明会や相談会、見学会、体験入学、部活体験など、受験生に学校を知る機会が提供される。
インターネット等でいろいろな学校のこれらの機会を調べ、参加し、活躍する先輩たちの姿を見たり、高校での生活に触れて、志望高校に出会ってほしい。

過去の入試問題を見て研究しよう

夏休み期間中に過去の入試問題を見て、解答の仕方や、記述問題の内容などを調べておくことも重要なポイントだ。
現時点では習っていないことも多いが、入試問題では各教科で、中学1・2年次に習った内容が多く出題されていることに気づくに違いない。
忘れていた1・2年生の内容や復習ポイントを知り、出題の形式や各教科の文章題の量を見ることで、今後の勉強方法を考えることができる。
このため、できれば複数年度の過去の問題を手に入れて、研究しておきたい。

夏の課題は、志望校の選択、学力向上など

夏の大会で部活動を引退する人も多いと思う。そこからが本当の受験生だ。
公立も私立も皆さんを受け入れる準備を着々と進めている。
体調に留意して、自分なりの計画を立てて、実行していってほしい。
実行できたなら、それが皆さんの今後への自信に変わっていくに違いない。

(岩佐教育研究所 岩佐桂一)