自分だけの答えを見つけるために
―高校選びの視点と心構え―
高校受験を控えた中学生にとって、志望校選びは人生の大きな分岐点です。
偏差値や通学距離、進学実績など、さまざまな条件が頭をよぎる中で
「どの高校が正解なのか」と悩む人も多いでしょう。
しかし、進路選択に唯一の正解はありません。
現代社会では、個人の価値観や目標に基づいた選択がますます重要になっています。
今回は、志望校選びのヒントを紹介します。
高校の選び方に唯一の正解はありません。正解は人によって異なります。
あなたには、他人が出した答えに対し「それは違う」と否定する権利はありません。反対にあなたは、自分の答えを他人から否定される筋合いもありません。他人の考えを参考にするのは構いませんが、答えは自分で見つけなければなりません。
今の社会は、かつてのように「いい大学に入れば安定した会社に就職できる」という時代ではなくなりました。AIやロボット技術の進化、グローバル化、働き方の多様化などにより、企業も個人も「自分らしさ」や「主体性」を重視するようになっています。
高校選びも同じです。自分の価値観に合った選択が求められています。
以上を前提に、高校の選び方についていくつかアドバイスをします。
たとえば、ある人は「もっと英語を勉強して将来は国際的な機関で働いてみたい」という夢があったとします。そこで英語教育に定評がある学校を選びました。さて、入学後どうなるでしょう。きっと今まで以上に熱心に英語に取り組むことになるでしょう。つまり、選んだ基準はそのまま入学後の目標になるのです。
いっぽうで「自分の実力で入れそうだから」と選んだ人がいたとします。この選び方を完全否定することはできませんが、入学後の目標にはつながりませんね。目標がないまま高校生活を送ると、せっかくの学びの機会を活かせないこともあります。
今の社会では、進路選択の早期化が進んでいます。高校生のうちからインターンシップや探究学習に取り組む機会も増えています。
だからこそ、「その選び方、入学後の目標につながっていますか?」という問いかけが大切です。夢や目標の実現のために高校に行くのだとすれば、こうした視点を持ちたいものです。
皆さんも日常生活で経験があると思いますが、条件が多ければ多いほど選ぶのが困難になります。
「家から近くて、お金がかからなくて、歴史があって、部活が強くて、行事が盛んで、進学実績が良くて、制服が可愛くて、校則が緩くて、先生や先輩が優しくて、校舎がきれいで、プールがなくて……」と、言い始めたら切りがありません。なかなか志望校が決められない人は、このように条件を並べ過ぎているのかもしれません。
もちろん、条件が複数あってもいいのですが、その場合は優先順位をつけなければなりません。これだけは譲れないという条件をひとつふたつに絞り、同時に、ここは譲ってもいいという条件をひとつふたつ削るのです。
このような「選択と集中」は、これからの人生でも何度も求められる力です。進路選択、就職、結婚、住まい選びなど、人生は選択の連続です。高校選びはその練習の第一歩とも言えるでしょう。
極端なことを言えば、選ぶ理由はたったひとつあればいいのです。ただし、その理由は非常に強いものでなければなりません。
では、どうしたら強い理由が見つかるかですが、これは自分で考え自分で決めなければなりません。
自分自身への問いかけをしてみてください。「自分は高校生活に何を求めているのだろう」「自分は将来何になりたいのだろう」。
最近では就職採用でも「あなたは何をしたいのか」「どんな価値を提供できるのか」といった問いを重視するようになっています。高校選びも、そんな自己理解の第一歩です。
この答えが自分の中で徐々に明確になってくると、自然と視界が開けてきて、行きたい学校が見えてくるでしょう。
人はどんな時にいちばん頑張れるのでしょう。それはたぶん「あこがれ」が強い時です。
「あの可愛い制服を毎日着たいな」これも立派な「あこがれ」です。そんな理由ではダメだと言われる方がいるかもしれませんが、それが受験勉強の原動力になるのなら、むしろ大歓迎です。
今の時代「好き」や「あこがれ」が仕事につながるケースも増えています。動画編集、ゲーム開発、ファッション、SNS運用など、かつては趣味だったことが職業になる時代です。だからこそ、「あこがれ」は大切にしてください。
(よみうり進学メディア編集部)
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