令和8年度 私立高校の入試変更点
私立高校の入試要項出揃う
これからは1日ごとに秋の気配が深まってくる。いよいよ受験の秋の到来だ。
8月末に今春の中学校卒業生の進路状況が発表された。不安を克服して見事に進路を確定させた先輩たちの姿が、数字の中に垣間見える。
次は、君たちが本気で受験に挑戦する番だ。
令和8年度入試に向けて、県総務部学事課のホームページに私立高校の募集要項が発表された。
私学も新しい教育、新たな大学入試に対する研究・対策を積極的に進めている。それを象徴するかのように、来年度入試に向けコースの新設や改編が相次ぐ。
高校の説明会や相談会には、できるだけ参加し情報収集しておきたい。
令和7年3月の公立中学校卒業生の進路状況が発表された。※1
卒業生は6万1,836人と前年より258人減少し、公立高校の募集人員も120人減少、実質倍率は1.16倍と前年度より0.01倍上昇した。
また、高校等への進学者は98.9%と、前年より0.1%増加していた。
全日制進学者は全体の・88.1%、公立高校が53.7%、県内私立が26.8%、県外私立が6.8%だった。
また、県内外の通信制高校への進学者が340人増加し7.8%になっていた。
単なる数字の羅列に見えるかもしれないが、一人ひとりの進路には、先輩たちの喜怒哀楽の歴史が詰まっている。これから皆さんの歴史が開始される。
前年度(令和6年度)、公立高校への進学者が737人減少し、県内私立が400人増加した背景には、県の県内私学に対する授業料補助の増額と家庭の収入に対する限度額が廃止された影響があるようだ。
注意することは、私学の学費には授業料の他に入学金や毎年の施設費他があり、授業料は学費のおよそ半額程度なる。また、助成金の執行は、10月以降のため、入学時点では仮払いをする必要があることなどだ。
来春の県内の中学校の卒業予定者は、今春より約510人減少する見込みだ(学校基本調査より)。
そのため、公立高校の募集人員は、全日制で400人の減少となる。公立高校の倍率は、前年なみになると考えられる。
■※1 「令和7年3月の公立中学校卒業生の進路状況」について詳しくはこちら:よみうり進学メディア
埼玉県 令和6年度(令和7年3月) 中学校等卒業者の進路状況調査(速報)を発表
今春の高等学校卒業生は、令和4年に施行された学習指導要領の完成年度にあたっていた。
大学入学共通テストでは情報科などの新しい教科が加わったことと、思考力・判断力・表現力を求める入試の改革が実施された学年にあたる。
このため公・私立とも、高校生の進路希望の実現のために研究を重ねてきた。
さらにグローバルな視野、探究型授業、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力の育成、英語力の育成、ICT教育などが、各高校独自の目標として取り入れられている。
また、ネット社会の進歩や自動運転システム、人工知能(AI)やロボット、チャットGPTなども新たな課題として注目されている。
大学入試改革だけではなく、社会の変化に対応すべく、教育も大きく変化しようとしているのだ。
そんな時代の学校選択では、入試制度や基準だけでなく、各校の目指す教育の特色、授業内容などを知ることが必要となるだろう。
令和7年度と8年度の県内私立の主な変更点は次のとおりだ。
8年度についてはまだ調査中のため、必ず該当する学校の入試情報を確認してほしい。
(岩佐教育研究所調べ9月10日現在判明分)
令和7年度入試の変更点
■募集定員の変更
○狭山ヶ丘(入間市):募集人員を400人から300人へ。
○武蔵野音大附属(入間市):募集人員を60人から36人へ。なお令和9年に東京都練馬区へ移転予定。
■コースの変更
○西武学園文理(狭山市):グローバル選抜、グローバル特進、グローバル、グローバル総合、スペシャルアビリティの5コースから、アカデミックチャレンジ、アカデミックマルチパス、デュアル、クリエイティブ、スポーツ、アートの6コースに再編。
○本庄東(本庄市):特進選抜コースを選抜コースに改編。選抜、特進、進学の3コース制に。
○春日部共栄(春日部市):選抜、特進E系、特進S系の3コースから東大選抜、選抜、特進の3コースに再編、特進コースは習熟度によりαクラスと特進クラスを設置。
令和8年度入試の変更点 ※2
○埼玉栄(さいたま市):普通科にα選抜コースを新設。普通科α、S、特進コース及び保健体育科と併せ2科4コース制に再編。
○細田学園(志木市):特進H理数コースを新設。選抜GLを選抜Lに名称変更。特進H理数、特進H、特進、選抜L、進学αの5コース制に再編。
○西武台(新座市):特進S、選抜Ⅰ、選抜Ⅱ、進学、STEAMの5コースから、ナショナル・ユニ、エンパワー・ユニ、セレクト・ユニ、アスリート・ユニ、STEAMの5コースに再編。ユニはユニバーシィティの略。
○星野(川越市):医専、グローバルフロンティアの2コースを共学として末広キャンパスに新設。末広キャンパスにはこれまで女子部が設置されていたが女子部とは、校舎が別になる。
○正智深谷(深谷市):特別進学系の特進S、特進Hコース、総合進学系の選抜I、進学Pコースを、特別進学系の特別選抜、特別進学コース、総合進学系の選抜進学、総合進学コースの2系統4コースに改称。
■※2 埼玉県の各私立高校の入試要項が発表されています、詳しくはこちら:よみうり進学メディア
〈2026年度入試〉埼玉県 私立高「入試要項一覧」発表-令和8年度
県内外の私立高校の学校説明会や個別相談会が佳境に入った。
申し込み制や定員制などの制約は多いが、ぜひ参加しておきたい。
説明会に参加することで、各コースの内容、教育課程、進学実績、入試の種類や基準などの詳細情報を得ることができ、学校での開催では、校舎や施設の見学もできる。
「この学校に入学したならば」と想定しながら校内見学してみるのも学校選択の有効な方法だ。
私立では各学科に多様なコース、類型などを設けている場合がある。
また第一志望者を対象とする入試と、公立や他の私立との併願を前提とした入試を設けている学校が多い。
ほとんどの学校で、第一志望者と併願での受験生に対して、独自の優遇制度が設けられている。これらの優遇制度の利用が私立受験で合格を勝ち取るカギとなる。
具体的には、優遇制度の基準を聞き取ったうえで個別相談に臨むことが必要になるだろう。
埼玉県内の私立の入試は、1月22日から開始される。出願日や入試日程、手続き締切日などを調べ、受験カレンダーを作っておきたい。
また、学校情報のネット配信や、出願・合格発表をインターネットを使用して行うケースも増えている。これらへの対応にも注意が必要だ。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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