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2025.11.19

〈2026年度入試〉東京都 都立高「都立入試問題 その傾向と対策は?」-令和8年度

  • 今後の受験勉強を効果的に進めていくためには、
    過去の入試問題の傾向を把握しておくことが大切です。

    そこで今回は、令和7年度都立高校入試(第一次募集・分割前期)共通問題を振り返りながら、
    今後の対策を考えてみることにします。

 

【全体傾向】
平均点、社会は上昇だが他の4教科は下降

まず各教科の平均点を見ておきます。(カッコ内は令和6年度)

国語 75.0(75.9)
数学 60.4(61.7)
英語 63.7(66.9)
社会 59.9(55.5)
理科 59.2(66.8)

・前年度より上がったのは社会だけで、他の4教科は下がりました。
・国語は僅かに下がりましたが70点台を維持しており、引き続き5教科中最高点です。
・数学もやや下がりましたが、ぎりぎり60点台にとどまりました。
・英語は3.2点下がり、一昨年並みとなりました。
・社会は前年より4.4点上がりました。
・理科は7.6点下がりました。5年度から6年度にかけて7.4点上がっているので、一昨年並みに戻った形です。

全体としてはここ数年、平均点は上昇傾向にありましたが、7年度はやや抑えられました。
数学・英語・社会・理科は60点前後で揃っていますが、国語だけが突出して高く75点となっています。問題が易しいとも言えますが、得点分布のピークが80点~84点にあることを考えると高いレベルでの勝負ということになり、ミスが許されないとも言えます。

 

【数学】
基礎・基本的な問題で確実に点数を積み上げる

平均点は前年度より1.3点下がりました。

大問1は9問で構成されており、配点は計46点と全体の半分近くを占めています。大問1は問6までが計算問題です。

問1 数の計算
問2 式の計算
問3 平方根を含む計算
問4 一次方程式
問5 連立方程式
問6 二次方程式

このパターンは毎年同じです。問7は変域、問8は確率に関する問題で、問9は作図問題でした。

大問2は円周上に並んだ自然数を題材とし、数理的に考察し推論の過程を的確に表現する問題でした。問2の証明問題は部分正答を含む正答率が非常に低く20.4%でした。無答率も53.2%で、まったく手が付けられなかった人が半数以上いました。
分かったことを正確に分かりやすく説明(表現)する力を求められているので、数多くの問題に触れ、練習しておきましょう。

大問3から大問5は次のような問題構成となっています。

大問3 関数(一次関数)
大問4 平面図形(半円)
大問5 空間図形(直方体)

このうち大問3の問3は正答率14.7%、大問4の問2②は正答率3.8%、大問5の問2は正答率17.8%と、かなりの難問でした。

大問1は全体の正答率が65.1%と比較的平易なので確実に点を取らなければなりません。
大問2以降はやや難しくなりますが、それでも各大問の問1などは点が取りやすくなっているので、ここでさらに点数を積み上げたいところです。

前半はパターンが決まった問題が多いのでここを短時間で終わらせ、後半に余裕を作れるよう努力しましょう。

 

【国語】
長文の要旨を把握する力が求められる

85~90点以上の高得点者も多く出ているのが国語の特徴のひとつです。

大問1は漢字の「読み」、大問2は漢字の「書き」に関する問題で、それぞれ5問ずつ。配点は計20点です。「郷里」「旅券」の書きがやや低かったのを除けば正答率80%以上、ないしは90%以上の問題が多くなっています。しっかりと得点しておきたいところです。

大問3は文学的文章の読解です。
設問を見ると、「この表現から読み取れる梛の様子として最も適切なのは」、「このときの「ぼく」の気持ちに最も近いのは」といった形で、登場人物の心の変化や、それによる態度や行動の変化に着目したものが中心となっています。
設問のパターンは毎年ほぼ同じですから、これらに注意しながら問題文を読む練習をしておきましょう。

大問4は説明的文章の読解です。
「文化のバトンを受け継ぐコミュニケーション」(中田星矢)という文化の進化について述べた文章が使われました。自然科学系の文章なのでやや苦戦した人もいたでしょう。正答率は大問3の文学的文章より全体的にやや低くなっています。筆者の主張を正しく読み取る力が求められています。

大問4の問5では、200字以内の作文が課せられています。配点は10点と高めになっています。正答率(部分正答含む)は毎年比較的高く、7年度も77.4%でした。筆者の意見に対し、自分はどう思うかを書きます。「具体的な体験や見聞も含めて書け」となっているので、これらの条件をはずさないことが重要です。

 

【英語】
英作文は書くべきテーマを正確にとらえる

平均点は前年より3.2点下がりました。80点以上の人が32.3%いました。

大問1はリスニング問題で配点は20点です。
正答率は、A(対話文3)が33.1%、B(Question2)が36.5%など各問とも前年と比べかなり低くなっています。聞き取る力だけではなく表現する力も求められています。

大問2はやや短めの英文や会話文による総合問題です。
配点が12点と高いのが条件英作文(記述問題)ですが、部分正答も含めた正答率は53.7%でした。三つの英文を書く問題ですが語数についての指定は特にありません。書くべきテーマ(主題)は「もっと練習したいこと」でしたが、これを正しくつかめなかった人もいるようです。英作文の力だけでなく英語読解力も求められます。

大問3、大問4はともに長文読解問題で、大問3が対話文、大問4が物語文です。読む分量が多いので一字一句細かく日本語訳していく時間はありません。また、その必要はありません。

対話文においては、対話の流れを正確に理解することがもっとも重要です。また、登場人物の考えを把握することも大切です。物語文においては、あらすじを読み取ると同時に、登場人物の心情変化を把握することも重要です。これらの注意点は、国語の長文読解問題にも共通します。

長文読解に強くなるためには練習量が必要です。スピードと正確さを意識しながらたくさんの問題に触れましょう。また、入試本番が近づいてきたら時間配分を意識した練習を増やしましょう。

 

【社会】
資料を活用し多面的・多角的に考察する力

平均点は4.4点上がりました。

小問数は前年同様20問でした。このうち記述問題は3問で、これも前年同様でした。配点はすべて5点です。

問題の構成は次のとおりです。

大問1 三分野総合
大問2 地理(世界)
大問3 地理(日本)
大問4 歴史
大問5 公民
大問6 3分野総合

大問1は基本的知識を問う問題でしたが(問3)の「依存財源」についての問題がやや難しかったようです。

大問2は工業を題材とし自然環境と繊維工業の様子、世界の気候、自動車工業の様子、わが国との結びつきについて地図や統計資料を活用して考察する問題でした。フランスの工業と日本との関りについて理解が不足している人が多かったようです。

大問3の問3は「ひたちなか市における観光地への交通の利便性の変化について」を述べる記述問題でした。問題文の「移動手段に着目して」がヒントになっていました。比較的よくできており正答率(部分正答含む)は65.8%でした。

大問4の歴史分野は、絵画・彫刻・工芸・建築など美術を題材とする問題でしたが、時期の古い順から並べる問題と大正から平成にかけての美術に関する問題の正答率がそれぞれ36.1%と低調でした。語句の暗記だけでは対応できないので流れや関係性の理解に努めましょう。

大問5の問4では労働力の変化におけるICTの利点といった今日的なテーマが扱われました。日頃から日本や世界の動きにも関心を持つようにしましょう大問6は3分野にまたがる問題でした。

 

【理科】
教科書で実験・観察の経過や結果を振り返っておく必要

 

平均点は前年より7.6点下がりました。

小問は25問あり、配点はすべて4点です。このうち2問が記述で、それ以外は記号選択式問題でした。

大問1は各分野からの小問で構成され、基礎的・基本的な知識・技能を問う問題です。

大問2も複数の領域にまたがる基礎的・基本的問題ですが、科学的な思考力や判断力も求められます。力のつりあいに関する問題が正答率25.8%と低調でした。

大問1と大問2は確実に点数を取りたい問題です。教科書をしっかり読み込み、用語など基礎・基本的な知識の復習をしておきましょう。

大問3以降の問題構成は次のようになっています。

大問3 地学(16点)
大問4 生物(12点)
大問5 化学(16点)
大問6 物理(16点)

各分野の中でどの単元が出題されるかによって出来が左右されるようです。7年度は大問4の生物分野がよく出来ており大問全体の正答率も69.7%となっていました。

大問5は化学変化や物質の成り立ちに関する問題でしたが全体の正答率が39.6%と振るいませんでした。また、大問6は電流や磁界に関する問題でしたが、こちらも全体正答率39.8%と芳しくありませんでした。

理科の問題はすべて実験や観察に基づく問題です。各学年の教科書を丁寧に読み返し、経過や結果についての知識を深めておきましょう。

 


■参考:過去問題は、数年分遡っていくと問題傾向がより分かりやすくなります。1年分だけでなくさらに前年度へ、比較分析していくことをお勧めします。

<2024年度/令和6年度入試について:よみうり進学メディア>
〈2025年度入試〉東京都 都立高「都立入試問題 その傾向と対策は?」-令和7年度
<2023年度/令和5年度入試について:よみうり進学メディア>
〈2024年度入試〉東京都 都立高「都立入試問題 その傾向と対策は?」-令和6年度
<2022年度/令和4年度入試について:よみうり進学メディア>
〈2023年度入試〉東京都 都立高「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?」-令和5年度

 

(よみうり進学メディア編集部)

 

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