昨年の今頃と比較すると、本年は何とか通常通りの新年度・新学期を迎えることができました。
ただし、コロナが去ったわけではありません。先行きは不透明です。
そんな中で「受験生はどのような考え方や行動が求められるか」昨年の経験を元に考えてみました。
未だ新型コロナの終息が見えない中、皆さんは新年度を迎えました。そして、いよいよ受験生として本格的なスタートを切りました。
今号では、今後どのように受験に取り組めばいいかを、昨年度の経験を踏まえながらお伝えして行きます。
※編集部注
本記事は発行日時の関係で、令和3年4月23日現在で編集されています。コロナをめぐる状況は刻々変化していますので、内容の一部に実情に合わない部分があるかもしれません。あらかじめお断りしておきます。
合否を分けた自学自習力の差
受験に必要な学力は学校の授業で養われます。もちろん、それだけでは不十分ですが、基礎を固めるという点では、学校の授業はもっとも合理的な方法です。
しかし、昨年度は臨時休校が長引き、ほとんどの地域で3月から6月にかけての授業が十分に行われませんでした。勉強の場と機会が家庭に限定されたのです。ある意味、夏休みと似た状態が出現したと言えます。
さて、そこで問われたのは「自学自習力」です。自分で自分の生活をコントロールできた人は、休校のマイナスを最小限に抑えることができました。また、普段から家庭学習を習慣化できていた人は、学校がない分、家での勉強時間を増やすことができました。一部の人は早めに受験体制に入ることもできました。
元々受験勉強というのは、学校の授業を基本にしながらも、家庭学習に頼る部分が多いものです。家で自学自習が出来る人と、出来ない人の差がはっきり現れたのが昨年度の入試でした。
今のところ、学校の授業は通常通り行われていますが、合否のカギは家庭での自学自習にあることを強く意識し、行動してください。
早めの行動、出来ることは前倒しで
昨年度の受験生は、学校選びのための情報収集に苦労しました。
大規模な入試イベントが軒並み中止となりました。各学校が行う学校説明会・体験入学・個別相談会等も回数が減り、参加人数が制限されました。ネットでの情報収集も可能ですが、やはり実際に学校を訪ねてみたいというのが受験生共通の思いです。
説明会等のピークは、例年9月から11月ごろですが、夏休み中または夏休み前にも行われます。コロナの状況がどうなるか不透明な今、皆さんに必要なのは早めの行動です。出来ることは先送りせず、今のうちにやっておきましょう。
これは別に皆さんを煽っているわけではありません。
昨年の夏から秋口にかけて、一時期感染者数が減少に向かいました。GoToトラベルなどの政策も手伝って人々の行動が活発になりました。ですから、この時期は説明会などもそれほど大きな制約を受けずに行われていました。ただ、志望校決定はまだもう少し先と考えていた受験生も多かったためか、参加希望者が殺到するようなことはありませんでした。
ところが、その後状況が一変し、説明会を中止したり、人数制限をしたりという動きが強まりました。大多数の学校が事前予約制にしましたが、すぐに予約がいっぱいになり、参加できない人が続出しました。
こうした状況が今年また再現されるかどうかは分かりませんが、やるべき行動は可能な限り「前倒し」でやっておくという心構えを持っておいたほうがいいでしょう。
情報リテラシーの強化が求められる
今やネットによる情報収集は欠かせません。
前述したように、直接学校を訪れることでの情報収集も最終的には必要になりますが、機会は限られています。
したがって、通常はネットによる情報収集がメインになります。
公立高校入試に関しては各都県教育委員会が発信する情報が、もっとも信頼できるものです。
また、公私立を問わず各校が自らWEBサイトや公式SNSで発信する情報も、責任ある立場からのものですから信頼していいでしょう。
それ以外の情報が信頼できないということではありませんが、誰が(どんな会社や個人が)、どんな意図をもって発信している情報かを見きわめることが必要です。