連休が明けて、中3生は、いよいよ令和4年度入試に向けて本格的に始動する時節が来た。
新型コロナは、いまだに収まらず、感染を避けるための最大限の注意が必要とされる。
今年も受験までの道のりは厳しそうだ、
4月から、中学校の新しい学習指導要領が施行され、同時に通知表等の観点別評価が変わる。これに伴い、調査書の評定、各教科の「学び」にも変化がありそうだ。
今回と次回、4年度の変化を見ながら、令和3年度の高校入試について総括する。
県立所沢北高校、受検当日の様子。(編集部撮影)
令和3年度の公立入試を振り返って
令和3年度の公立高校(全日制)の入試では、3万6280人(転編入枠240人を含む)の募集人員に対し、3万9475人が出願した。
出願日は2月15日・18日、県内私立高校だけでなく都内・近県の国立・私立高校の入試もほぼ終了している時期にあたる。
12月の進路希望調査での公立希望者は4万408人、その97・7%が出願したことになる。出願倍率(出願者÷募集人員)は1・10倍で、前年の1・12倍よりやや低下した。
志願先変更を経て、受験当日の欠席者が53人、当日までの志願取り消し者が130人あり、受検倍率は1・09倍だった。
合格発表で、転編入枠を含め、募集人員を上回る合格者を出した学校もあったが、実質倍率は、1・13倍(実受検者数÷合格者数)となっていた。
3年度入試の不合格者は、4,476人だった。前年度の約5,047人の不合格者数に比べ緩和されているが、人気校の入試の厳しさは変わらない。
7月には公立の要項、募集人員が発表される
令和4年度の入試は、新型コロナウィルス感染症への配慮によって急遽変更になった。(本紙6ページ参照)
また前年度のような、コロナ禍による出題範囲の変更や、調査書における特別活動の記録の配慮はなくなると見られるが、追試験や出願の際の郵送は残ることになるだろう。入試選抜についての方針に変化はないとみられる。
学校ごとの入試選抜基準は8月に、選抜要綱、募集定員等は,7月上旬までに発表される予定だ。
来春の入試に臨む公立中学校卒業予定者は、およそ5万9300人,前年から約1,280人増加する(学校基本調査)。
公立高校全日制の募集人員は、それに伴い19~21学級程度増加すると見られる。
連休があけ、いよいよ受験期に突入
令和4年度入試に臨む際のポイントは、各教科の評定の扱いだ。
4月から中学校の新学習指導要領(※注)が施行され、思考力、判断力、表現力を伸ばすための工夫がされた授業が開始している。
同時に、各教科の評定の基となる観点別評価がこれまでの国語5観点、他は4観点から、全教科「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に変更される。
通知表は、これを基に改訂される見込みだ。すべての観点がA~Cで評価され、それを基に評定が決まることになる。
定期考査の結果はもちろんだが、日々の授業態度や積極的に授業に臨む姿勢、考えて発表する内容、提出物などが大きなウェィトを占める。
受験生には、授業への集中力や緊張感などが求められている。
連休が明け、いよいよ受験を意識する時期となった。コロナ禍で、積極的になりづらいことも多いが、早めのスタートでワンランクアップを目指そう。
※注 どの地域でも一定の水準の教育を受けられるようにするために、国が学校教育法等に基づいて定める。
公立か、私立か自由に学校選択ができる時代に
公立志向から、やや私立志向となったといわれる3年度入試だったが、その原因としては、後述する『私立高校生に対する国と県からの学費助成の充実』や『前年から大学入試の改革が実施された』という2つの制度変化があったと考えられる。
公的な助成金の充実によって、学費にとらわれない、より自由な学校選択ができる時代の到来といえよう。
私立高校の入試開始日は前年と同様に
埼玉県内の私立高校の入試開始日は、1月22日と決定しており、3年度入試と変わらない。
また、東京都内私立も1月22日推薦入試、2月10日一般入試と開始日は決まっている。
受験生は、各種のフェアなどで学校を知り、体験入学などに参加する必要がありそうだ。
例年、9月以降に実施される学校説明会で、各学校の基準(受験の目安)を聞き取り、個別相談(合格の可能性を聞く機会)に参加する受験生は多い。
新型コロナウィルスの蔓延によって中止・延期となるケースも多いが、インターネットなどの利用によって情報の取得に努めていって欲しい。
公立は無償化が進み、私学も大幅な学費助成が
令和2年春から国と県の私立高校生に対する学費助成制度が拡大した。
国からの就学支援金は、家庭の年収の目安910万円未満~590万円が年11万8800円、590万未満が39万6千円などとなる。
また、埼玉県では、県内私学入学生に対しての「父母負担軽減事業」という助成金制度がある。国の支援金に加えて支給されるが、家庭の年収目安720万円未満~590万円は、国とあわせ授業料37万8千円、590万円未満は39万6千円、さらに609万円未満は入学金支援10万円、年収500万円未満には、加えて設備費等20万円が助成される。
詳細は、各私立高校または、県総務部学事課へ。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)