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東京 入試情報
2021.5.7

〈2022年度入試〉東京入試情報 「2021年度(令和3年度) 都立高校入試を振り返ってⅠ」-令和4年度

コロナなんかに負けるな!スタートダッシュだ

連休が明けて、中3生は、いよいよ令和4年度入試に向けて本格的に始動する時節が来た。新型コロナは、いまだに収まらず、感染を避けるための最大限の注意が必要とされる。今年も受験までの道のりは厳しそうだ。
4月から、中学校の新しい学習指導要領が施行され、また同時に通知表や調査書の観点別評価が変わる。これに伴い、各教科の「学び」にも変化がありそうだ。今回と次回、4年度の変化を見ながら、3年度の都立入試を振り返る。

31学級1、220人の定員減も、来春は大幅な増に

令和3年度入試に臨んだ受験生は、前年より約2、340人減少した(令和2年教育人口等推計)。
このため都立全日制では、31学級分1、220人の募集人員の減が実施された。学校ごとでは、杉並、葛飾野、墨田川など31校で31学級の減となり、都立高校再編計画に基づき、赤羽北桜が開校し、中高一貫校の富士と武蔵が高校からの募集を停止している。増減は39学級となる。
志望校の選択には、前年度の倍率や、募集人員の増減が影響することも多いようだ。
令和4年度入試では、公立中学校の卒業予定者が前年より3、700人程度増加する(2年度学校基本調査)。このため、都立高校の募集人員は、50〜52学級程度、増加すると見られる。
また、中高一貫校の大泉と両国は、高校募集停止となる予定だ。
募集人員は例年、10月10日前後に発表される。

都立高校再編計画に基づく再編が着々と進む

都立高校改革推進計画・新実施計画に基づき、学校改編が進められている。
4年度には、足立地区チャレンジスクール(仮称)が開校予定のほか、立川に理数科が新設される予定などとなっている。

都立受験には、一定の不合格の可能性がある

東京都中学校長会が実施した今春の卒業生の「進路希望調査12月14日現在」では、全日制希望者は、卒業予定者7万2991人の90・9%、都立高校志望者はこのうちの71・4%だった。
東京都では例年、都内私学と公立中学校の進学希望者に対して、募集人員の割合を話し合う機会(公私連絡協議会)が設けられている。
令和3年度の募集の割合は、都立対私立が59・6対40・4、これに従って、都立高校の募集人員が決定される。
都立高校進学を目指す受験生は、前年の約72%より減少していた。
募集人員は進学予定者の59・6%のため、都立受験には、この差、約12%分の不合格の可能性があることになる。次に具体的な倍率を見ていく。

推薦は倍率急騰、一般はやや広き門に

全日制の推薦入試では2年度の2・55倍から2・77倍に急騰した。新型コロナ禍での学校の休業が、推薦での出願を後押ししたと見られる。
選抜方法は、内申、面接、作文・小論文などの総合評価での選考となる。コロナ禍により、部活実績などの特記事項に変化があったことや、学校により方式が異なることに注意が必要だ。
第一次・分割前期入試では、1・32倍と、前年の1・34倍から低下した。普通科も、1・36倍(前年度1・39倍)と低下していた。
学校ごとでは、依然、進学重点校を中心に高倍率の学校が出現していた。
普通科の実質倍率の高倍率校では、三田2・25倍、青山1・93倍、田園調布1・91倍、上野1・86倍、戸山1・80倍、駒場1・80倍などとなっていた。
都立高校受験に際しては、私立併願が必要となるようだ。

連休があけ、いよいよ受験期に突入

令和4年度入試に臨む際のポイントは、各教科の評定の扱いだ。
4月から中学校の新学習指導要領(※注)が施行され、思考力、判断力、表現力を伸ばすための工夫がされた授業を開始している。
同時に、各教科の評定の基となる観点別評価がこれまでの国語5観点、他は4観点から、全教科「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に変更される。
通知表や調査書も、これを基に改訂される見込みだ。すべての観点がA〜Cで評価され、それを基に評定が決まることになる。定期考査の結果はもちろんだが、日々の授業態度や積極的に授業に臨む姿勢、考えて発表する内容、提出物などが大きなウェィトを占める。
受験生には、授業への集中力や緊張感などが求められている。
連休が明け、いよいよ受験を意識する時期となった。コロナ禍で、積極的になりづらいことも多いが、早めのスタートでワンランクアップを目指そう。
※注 どの地域でも一定の水準の教育を受けられるようにするために、国が学校教育法等に基づいて定める。

(岩佐教育研究所 岩佐桂一)