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〈2022年度入試〉神奈川入試情報  「2021年(令和3年度) 公立高校入試を振り返って」

全日制公立高校の募集定員は昨年より1,550人減の39,730人。受験者数は追検査を含み46,270人(取消301人含む)、合格者数は38,772人で全体の倍率は1・19倍(昨年度1・18倍)で現入試制度が始まって以降、平均競争率に大きな変動はない。
今春は、公立中学卒業予定者数が2,007人(昨年1,680人)見込み減を基に公立高校定員設定を行っている。今年も応募の多い学校(高倍率)と募集人員に届かない学校(定員割れ37校)が出た入試だった。

特 徴①
全日制普通科の上位校は、横浜翠嵐1・80を筆頭に、横浜緑ヶ丘、多摩、湘南、市戸塚、七里ガ浜、新城、大和、鎌倉と続き1・4倍以上を示した。他にも旧学区の代表的な高校の川和・柏陽・希望が丘・厚木も1・3倍以上、横浜市立普通科など大学進学に力を入れ、実績をあげている進学校は、毎年高倍率を示し、安定した人気があるといえそうだ。
特 徴②
コース制や専門学科では神奈川総合・2コース、弥栄・美術、神奈川工業・デザイン、相原・畜産、市川崎総合科学で高倍率を示した。新設の神奈川総合・舞台芸術は2・30倍となった。
特 徴③
全日制で定員に満たなく二次募集が行われた学校が37校(1,039人)。ここ数年を見ても非常に高い数を示している。入りやすい公立高校の人気は下がり、学費助成や補助の拡充と面倒見のよさから私立を選ぶ受験生が増えたことも一因といえそうだ。

学力検査、合格者平均点アップ!

共通選抜の合格者の教科別平均点が昨年度に比べ、5教科全体で約13点高くなった。昨年、新型コロナウイルス感染症拡大防止に係る対応として行われた「学力検査の出題範囲の一部除外」の影響が強く出る可能性もあったが、13点で落ち着いた。社会科の平均点が14点の上昇となったのは目立った。
制限の中での作題・作問にしてはよい問題の作成だったのか。結果は、受験生も難易も違うので、その年で異なってもおかしくはない。受験前の準備では、自分が希望する高校がどの程度の平均点を取っているかを意識したり、県教委発表の教科別得点分布や設問ごとの正答率なども見るとよいだろう。
例えば、理科では実験観察の問題や、英語では英作文の正答率が極端に低いとかが見えてくる。逆を言えば、正答率の高い問題は間違えるな!とか、この学校の平均点は360点もあるから、得意不得意はあっても360点は取らないといけないな!とか・・。いずれにしろ、平均点は一つの目安にすぎないが志望校を学力検査の面から見ることも入試に向けて大切なことだ。

受験対策は過去問を解くだけではない

現在の入試制度での学力検査の特色は思考力・判断力・表現力いわゆる「知識活用力」を測る出題だ。マークシート式とはいえ、この基本的な問題作成方針は変わらないのだから、こういった出題を意識してほしい。

対 策①
基本的な知識に対して繰り返し演習し解いていくことは必須だが、ただ暗記するだけでなく、「なぜそうなるか」を説明できることが重要だ。
対 策②
入試問題の文章量は、どの教科も多い。そのため読む量は当然多くなる。設問は選択問題が中心だが、選択肢も似たように(間違わせるように)なっている。問題文、選択肢ともにじっくりと、そして時間配分を意識して読むことに慣れておく必要がある。
対 策③
早く読むことに加えて、文章の中にある情報を処理し、分析する力が求められている。問題を読み解いて確かな知識の上に情報をキャッチし分析する。これらを組み合わせて正しい解答にたどりつく練習が必要となる。

特色検査実施17校は・・・

県立の進学重点校とエントリー校の17校で共通問題と共通選択問題を組み合わせた特色検査が実施されている。
進学重点という目標がある学校を受験する生徒に課す特色検査は、平均点から見ると、その目的に対応するかのように難しい。これらの学校では学力検査での差がつきにくくなったため、特色検査の得点差が合否に大きな影響を与えたといえそうだ。これまで以上にしっかりした対策が必要になる。

不安を少しでもなくすために・・・

公立高校入試で「人気の二極化」は令和4年度も続くだろう。私立への学費負担の軽減という背景に加え、コロナ禍でICT環境なども考慮されたのではないだろうか。
いずれにしろ、自分が行きたい学校にチャレンジすることが多くなったのは確かだ。私立ではコロナ禍で当初の予定を変更して筆記、面接を書類審査で済ませた学校が多く出た。
神奈川では私立の打診(受験相談)には、内申書の成績を見ている。新型コロナの状況によっては書類選考入試で決まることが続く可能性がある。今は、学校成績のアップを心がけろ!ということにもなるのではないだろうか。
(かながわ民間教育協会 掛川忠良)