気が付けば、私立高校の入試まであと8カ月あまり。勉強に、運動に、学校行事に頑張る時期が来ている。
受験生に必要なことは、「悔いを残さない志望校の選定」「学力の向上のための努力」「調査書対策」だ。
今から調査書確定の12月中旬までの間、すべての教科で集中して授業に臨んでいきたい。
3年生の夏は忙しい。健康管理に注意し、計画を立てて梅雨時期を乗り切ろう。
例年、埼玉県は入試直後(採点が行われる前)に入試予想点を発表しており、これは目標平均点とも呼ばれている。
令和3年度(2021年)の予想点は5教科合計で260点、選択問題280点だった。
そして実際の平均点は、一般301.1点、選択問題を含む5科が305.1点だった。
令和2年度に比べ、一般問題で約17点、選択問題で約22点上昇していたことになる。
記述問題の量や、問題構成により平均点は変化するが、3年度の問題構成は2年度とほぼ同じだった。
令和3年度はコロナ禍による長期の臨時休校等があり、入試では3年次後半の分野の一部を出題しないという配慮が採られ、その影響があったかもしれない。
全体では、国語の作文を入れて約130の小問題(選択問題は約140問)で構成されているが、このうちの84問、60.4%(同84問61.8%)が記述形式の問題である。
うち、文章表現や作図・証明が32問(同38問)も出題されており、記述形式の問題の配点は全体の66.0%(同69.6%)にも及ぶ。文章表現などには、部分点を認める問題も多い。
部分点を認める問題の部分点の採点については、高校ごとで検討することになっている。
厳しく採点する学校と、そうでない学校があるということだ。
記述問題では、できる限り空欄(無解答)を作らないことが点をとるための第一歩となるだろう。
配点では、ほぼ全問が記述の数学92%(選択問題96%)、61%の国語、69%の理科、英語54%(選択問題63%)、社会が54%だった。
記述問題が多いこと、記述問題の配点が高いことが埼玉県公立高校入試の特徴となる。
入試問題は、3年生の学習内容と勘違いして「秋以降に解いてみる」という人が意外と多い。
しかし、1~2年生の学習範囲から多く出題されること、問題の出題方法、解答の仕方など、
早く見ておくことで参考になることも多いはずだ。
前年は配慮内容があるため、近年分を通して問題を見渡すことがポイントとなる。
埼玉県の令和4年度(2022年)入試の「出題方針」では、
1 中学校における平素の学習を重んじ、中学校学習指導要領に基づいて出題する。
2 基礎的な知識及び技能をみる問題とともに、知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の能力をみる問題の出題に配慮する。
3 各教科の目標に照らして、受検者の学力を十分に把握できるように、出題の内容、出題数に配慮するとともに、記述による解答を求めるよう配慮する。
とされている。
入試問題は教科書の内容に沿った基礎的・基本的なものという方針に変化はない。
ただし、これまでの基本方針に「(2)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な~」が追加されている。
「課題」の出題がキーワードかもしれない。
しかしこれも、これから中学校の授業を真面目に受けていれば十分に対応できるはずだ。
出題内容は同じでも、出題形式によって難易度は変わる。
同じことを聞かれても、選択肢があって記号で答える場合と、言葉(記述)で答える場合とでは、難しさが違ってくる。
さらに、記述式の問いには、用語・単語を答えさせる形式と、文章で答えさせる形式がある。
いわゆる「論述形式」の問題である。
思考力や判断力、あるいは表現力を見る問題として、教科ごとに、
「作文」「図表やグラフ」「統計資料」「実験結果」などから、その意味することを読み取り、答えさせる問題が出題され、それらの配点は他の問題より高く設定されている。
資料などを読み取り、そこから答えを導きだすような問題に苦戦する受験生も多い。
各教科の満点は、100点で、5科500点満点で実施される。
令和4年度埼玉県の入試日程は既に発表されている。
新型コロナウィルス感染症などへの対応に変化があり、合格発表は3年度より4日早くなる。
また、選択問題採用校は、今春の21校に大宮北が加わり22校となる。
今後の予定では、間もなく各学校の募集人員、7月に入試選抜実施要項及び入試選抜要領、8月には各校の選抜基準が発表されることになる。
また、9月末と12月上旬には、中学校を通じて進路希望調査が実施される。
公立も私立も令和4年度の入試準備が着々と進められている。
しっかり計画をたて、大切な夏を乗り切ってほしい。