梅雨の合間の日差しに夏を感じさせる季節となった。いよいよ受験生の夏がスタートする。
公立では、県のHPで、私立も私立中学高等学校協会のHPで、学校説明会・体験入学・文化祭等の日程が発表されている。
新型コロナ感染症予防の対策から、申し込み制や定員制、ネットのみの参加になるなど制約は多いが、ぜひ参加しておきたい。
コロナ禍の中での日々の授業、部活の大会、間もなく始まるオリンピックなど、落ち着かない日々が続くが、心を強く持って、いろいろな機会を生かし、情報を集め、高校生活を体験して、自分を伸ばしてくれる学校を探してほしい。
来春の公立・全日制の募集人員は680人増に
公立高校の募集人員が発表された。
現在の中学3年生は、前年より1,614人増加する(2年度学校基本調査)。このため、発表された公立高校全日制の募集人員は18学級720人の増加、1校1学級の減になっていた。
伊奈学園総合、朝霞、越ケ谷など県立18校で募集減、羽生実業のビジネス会計(1学級)が募集停止となった。また、不動岡の英語科(1学級)が普通科に学科転換される。
定時制課程では、川口市立が20人の募集人員減となっている。
募集人員の増減は、該当する学校の倍率だけでなく、近隣の競合校の倍率にも影響するようだ。
今後の受験生の動向に注意が必要となる。
令和4年度の定員の増減は19校に
〈全日制募集増〉 川口、浦和北、大宮東、上尾鷹の台、桶川、伊奈学園総合、朝霞、朝霞西、志木、川越総合、川越西、所沢西、富士見 熊谷西、越ケ谷、草加南、春日部女子、庄和 川越総合以外はすべて普通科
公立の、出題の基本方針と入試選抜基準に注目
4年度入試の選択問題採用校と出題の基本方針が、既に発表されている。
学校選択問題採用校は、昨年の21校に大宮北が加わり22校となる。
〈学校選択問題採用校〉
浦和・浦和第一女子、浦和西、市立浦和、大宮、大宮北、川口北、川口市立、蕨、和光国際、川越、川越女子、川越南、所沢、所沢北、熊谷、熊谷女子、熊谷西、不動岡、越ケ谷、越谷北、春日部
出題の基本方針は6月号で記載したように、中学校での学習内容とされており、大きな変更は無い。
7月には、公立高校の入試要項と選抜要領、8月には各校の選抜基準、入試のQ&Aが発表される予定となっている。
関心がある高校の教育内容や、部活の活動状況、選抜基準などを調べ、具体的な学力や評定などの目標値を目指して夏を過ごそう。
高校を知るには、行って、見ることから
受験に必要な学力を付けること。志望校に巡り合うこと。夏は、受験生の活動の時だ。
7月までに県内・都内の公私の進学フェアが既に実施されているが、8月には、埼玉私学フェア熊谷・川越・大宮(埼玉県私立中高協会主管) 、9月には、上野松坂屋での進学相談会(新しい教育を担う私学の会主催)、10月には、越谷・春日部で入試ファースト(埼玉教育ネット主催)などが実施される予定となっている。予約制や時間による入れ替え制などの制約はあるが、話を聞いてみたい学校を絞り、聞くポイントをまとめて参加してみよう。きっと有意義な一日が過ごせるはずだ。
形式は様々だが、各学校においても、説明会や相談会、施設見学会、体験入学、部活体験など、受験生に学校を知る機会を提供している。インターネット等で色々な学校の色々な企画を調べ、出来る限り参加して、高校での生活に触れ、志望高校に出会って欲しい。
調査書は、重要な選抜の資料
公立高校の入試では、各学校が定める基準によって、項目ごとに点数化される。学力検査と一定の比率で加算され、選抜に使用されることになる。
調査書には、中学校での3年間の成績(各教科の評定)、総合的な学習の記録や、選択教科の評定、生徒会や学級活動、部活動の実績、出欠の記録、その他‐英検や漢検の取得級位‐など、中学校での活動が記載される。
特に、選抜で重視されるのが各教科の評定だ。学期ごとに学校から渡される通知表(注)は、学期ごとの成績であることと、評定の基になる観点別評価が記載されているが、調査書には3年間の総合成績が記載される。調査書の3年次は、4月から12月中旬までの成績ということになる。
注・学校によって名称が異なる場合がある。
調査書の評定については、12月中旬以降に、希望者は、担任の先生から口頭で、教えてもらえる。
また、1月には、調査書と同一内容の「通知書」が発行され、志望校を決める際の参考にできるようになっている。
調査書対策、ここがポイント
各教科の評価に関しては、観点別評価を基にして決定される。調査書の各教科の評定にも観点別評価が含まれる。6月号WEB版で説明したが、4月から中学校の新学習指導要領が施行され、それに伴って通知表の観点別評価も、観点の変更が行われる可能性が高い。
「知識・理解」は定期テストが大きなウエイトを占めると考えられる。
「思考・判断・表現」は、日々の授業の中で、問題意識を持って、自ら考え、判断し、発表することが必要となる。
「主体的に学習に取り組む態度」は、積極的に授業に臨むことや、宿題や課題の提出などが重要な評価の対象となる。
これから受験まで、定期テストだけではなく、日々の授業を真剣に、積極的に取り組む必要があるということだ。
過去の入試問題を見ておくことも夏の課題
夏休み期間中に、過去の入試問題を見て、解答の仕方や、記述問題の内容などを調べておくことも重要なポイントだ。
無論、現時点では、習っていないことも多いが、各教科で、既に習った内容が出題されていることに気づくに違いない。
出来る出来ないではなく、忘れていた1・2年生の内容の復習ポイントを知ったり、出題の形式や各教科の文章問題の量を見ることで、今後の勉強方法を考えることができるなどの効果がある。
前年度の入試問題は、新型コロナの感染症予防の対策から学校が臨時休校になった影響で、3年生の後半の分野の一部が出題されていなかった。4年度では、全範囲から出題される見込みとなっている。
このため、出来れば、複数の年度の過去の問題を手に入れて研究しておきたい。
計画を立てて、夏を乗り切れ
夏の大会までで、部活動を引退する人も多いと思う。そこからが本当の受験生だ。
続くコロナ禍の中ではあるが、公立も私立も皆さんを受け入れる準備を着々と進めている。
体調に留意して、自分なりの計画を立てて、実行していって欲しい。
実行できたなら、それが皆さんの、今後への自信に変わっていく。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)