いよいよ11月、志望校決定の時期が近づいてきた。既に公立入試では、前年12月に入試日程、7月に学校設定検査の内容、学力検査の出題方針、8月には募集人員、9月には入試選抜実施要項が発表され、令和4年度入試の内容が出揃っている。
コロナ禍の影響で、今年も大規模な入試相談会が中止となったり、先着順の予約制等になり、受験生の学校選択に影響が出ている。
そんな中ではあるが、インターネット等を駆使し各高校を研究して、しっかりとした目標を持ち、志望校を選択してほしい。
将来の志望を考えて進路選択をしよう
中学3年生の皆さんは、高等学校の新学習指導要領の施行により、新課程で学ぶ1期生となる。
情報や歴史総合等、新しい教科が開始されるだけでなく、皆さんが受験する年度の大学入試から新課程に合わせた内容となり、再度の大学入試改革が実施されることになる。
中学3年生は、これまでより将来の進路を考えたうえで、志望校選択をする必要があるだろう。
高等学校への進学は、皆さんの最終目的ではない。目的に到達するためのステップアップの手段になる。だからこそ、自分を伸ばしてくれると確信を持てる学校を選択してほしい。
公立入試の全体倍率は4年度も1・2倍以下か
来春の県内、国・公・私立中学の卒業予定者は、約53,000人、今春の卒業生から1,630人増加する。このため県公立高校・全日制の令和4年度募集人員は31,480人と、3年度入試より400人増加する。
卒業予定者の増減に合わせて募集人員を増減させているため、公立の倍率はほぼ一定で推移することになる。
ただし私立高校への授業料助成制度が充実してきたこと、公立の1回募集による不安感、コロナ禍で早く進学先を決めたいなどの理由で、私立を第一志望とする受験生が増加傾向にあるようだ。
前年並みの公立希望者の割合と考えると、公立の平均倍率は、1・15倍前後になる。
恐れる必要はないが、公立受験には、一定の割合で不合格になる確率があることを知っておきたい。
思考力・判断力・表現力の充実がカギに
今年から中学校で施行された、新しい学習の指針となる学習指導要領では、「グローバル」を合言葉に、「思考力・判断力・表現力」を重視し、「コミュニケーション能力」、「問題解決能力」などを養うという大方針が発表されている。
読み取ること、聞き取ること、それを基に考えること、自分の言葉で書くこと、英語では「読む、聞く、書く、話す」という力が求められる。
公立入試も、新しい教育に合わせた入試選抜に移行してきているようだ。
国語の聞き取り検査、英語のリスニングテストなどは、それを先取りする形で実施している。
学力検査では、考えさせる問題、表現する問題が工夫され、出題される。
また4年度入試では、学校設定検査として採用するのは、県立千葉1校だが、公立高校の学力検査に「思考力を問う問題」が採り入れられ、サンプル問題が発表された。
入試で重視される内容が変わったのだから、勉強の仕方も単に言葉や事象を覚えるのではなく、内容を理解し、自分の言葉で組み立てられるようにしておく必要がある。
1回の入試機会で、失敗が補えない入試だからこそ、私立高校との併願を検討すること、過去の入試問題を解き、出題や解答方法などを知り、対策をしておくことが必要となる。ただし前年の入試問題は、新型コロナ対策によって、一部出題されない範囲があったことに注意が必要となる。
学校の特色を知り、志望高校を決定する時期に
コロナ禍の中で、志望校の決定には情報の収集がますます重要となる。
各高校の説明会は、定員制や予約制となる事が多いようだ。予約開始から数時間で定員となってしまうなどの不満も聞かれ、特に複数校への参加が難しくなっている。
予約が取れなかったり、説明会が終了の時には、希望校に資料請求をしたり、インターネットを利用して調べることが重要となる。
学校の特色、入試の仕組み、私立では入試制度やコースごとの基準を調べておきたい。
色々な高校を見て、調べ、第一志望の高校に巡り合って欲しい。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)