公立受験をする皆さんは、すでに過去問中心の勉強に移行しているでしょう。
そこで今回は、前年度(令和3年度入試)の各教科の小問ごと正答率・通過率を見ながら、難易度について確認してみることにします。
使用したデータは埼玉県教育委員会が発表している各教科の分析結果です。
埼玉県立総合教育センターのサイトに過去3年分の分析結果が掲載されています。詳しく知りたい方は元のデータを当たってください。
このデータでは、全教科全小問について「正答率」「一部正答率」「誤答率」「無答率」「通過率」が示されています。「正答率」や「一部正答率」が高かった問題は、受験生にとって「易しかった問題」とみなすことができます。一方、「誤答率」や「無答率」が高かった問題は、「難しかった問題」とみなすことができます。
なお、「無答率」は、いわゆる白紙答案の割合です。まったく分からなかったか、時間が足りず、手がつけられなかったということでしょう。「通過率」は聞きなれない言葉ですが、部分点を取った人の数や、その点数を加味した数字です。ここでは、「正答率」と同様に、高ければ「易しかった問題」、低ければ「難しかった問題」と考えることにしましょう。
皆さんは過去問学習を進める中で、出来なかった問題もあったでしょう。しかし、その問題の正答率や通過率が極端に低かった場合は、それほど落胆する必要はありません。なぜなら、難しすぎてほとんどの受験生が出来なかった問題だからです。
その反対に、正答率や通過率が非常に高い問題を間違ったとしたら、すぐに基本知識の補強をしなければなりません。誰もが正解している「易しかった問題」を落とすのは致命傷となりかねないからです。
最も平均点が高い教科です。令和3年度も68.7点(全日制)の高得点で、最も低かった英語(学力検査問題)とは17点以上の開きがあります
高得点を狙うには、配点の高い長文読解問題(大問2と大問3)の得点力がカギになります
令和3年度の場合、大問1(小説の読解)は5題ある小問のうち2題が通過率90%を超えていました。残りの3題も50%を超えています。一方、大問3(論説文の読解)は5題ある小問のうち3題が50%以下でした。小説よりも論説文の方が点数を取りにくいのは例年見られる傾向です。ぜひ論説文の読解に力を入れてください。
大問5の作文は正答率こそ9.0%と高くありませんが一部正答率は84.5%に達しています。合わせると93.5%ですから、ほとんどの人が多かれ少なかれ得点できていたことが分かります。県教委から発表された資料には「条件を満たしていないものが多かった」とあります。問題文では(注意)という形で条件が示されていますから、それを強く意識し、条件に合った文章を書くことが大切です。個性や文章の上手さなどは採点の対象になっていません。
大問4の古文では歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題が毎年必ず出ていますが通過率は75.1%にとどまっています。大問2の漢字の読み書きも決して通過率が高いとは言えません。しっかり準備しておきましょう。
学力検査問題の平均点(全日制のみ)は令和2年度に過去最高の67.9点を記録しましたが、令和3年度もそれに次ぐ高得点で62.2点でした。取り組みやすい問題が増えているので、この傾向は続きそうです。
大問1は計算問題など基礎基本問題で構成されており、配点は65点と全体の約3分の2を占めています。全17問のうち通過率が90%を超える問題が4問、80%を超える問題が3問、70%を超える問題が4問ありました。高得点を目指すには、これら比較的平易な問題を確実にものにしていくことが必要です。仮に大問1を全問正解したとしても、ぎりぎり平均点にとどくかどうかです。短時間で終わらせ大問2以降に備える必要があります。
学校選択問題の平均点は前年(55.2点)をやや上回る56.0点でした。この3年間55点前後で安定しています。
学校選択問題でもっとも難しかったと考えられるのは図形と関数を扱った大問5で、(2)の通過率は4.5%でした。また(3)も無答の割合が60%を超えていました。前述したように、通過率が極端に低い問題は合否への直接的な影響は少ないと言えますが、トップレベルの学校を目指す人や理数科など傾斜配点を実施する学校を受ける人は、こうした配点の高い問題を攻略しなければならないでしょう。難問ではありますが、決して教科書レベルを超えた問題というわけではありません。