よみうり進学メディア

埼玉 高校レポ
2020.11.19

埼玉ICT事情 ―コロナで授業はどう変わった?―

文部科学省は、4月23日に、コロナウイルス感染症の影響で緊急事態宣言の対象地域となった埼玉県などの自治体の教育委員会に対し、家庭学習にICTを積極的に活用するよう求める通知を出しました。

文書は、「ICTの活用の推奨」、「家庭学習の際のICTの具体的な手段」、「家庭でのICT活用にあたっての留意点」、「その他」の4項目。ICTの活用については、「あらゆる機会にICTを最大限にご活用いただくことが子どもたちの学びの機会の保障に効果的であることから、家庭においてもICTを積極的に活用いただきたい」と通知されました。

つまりは皆さんのご家庭で持っているパソコンやタブレット、スマートフォンを積極的に学習に活用することと、その注意点に関する通知です。

この通知をうけて、皆さんもこの臨時休業期間中に自宅のパソコンやスマートフォンで課題に取り組んだことと思います。

こうした、活用方法のことを「BYOD(Bring Your Own Device)」と言いICT教育の新しいスタイルになりつつあります。

■そもそもICT教育とは?

ICTとは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略です。

ICT教育とは、学校教育において「電子機器や通信機器を使って情報・知識の交流をする」こと、または「ICT機器を使った教育」という意味になります。

今年より実施されている「新学習指導要領」では情報活用能力の育成と学校におけるICT環境整備とICTを活用した学習活動が大きな柱となっています。

小学校では今年から、中学校でも間もなくプログラミング教育が必修となり、高校では共通必履修科目「情報Ⅰ」が新設されることが決まっています。つまり、すべての生徒がプログラミングなど基礎的なICTの概念を習うことになります。

 

■埼玉県のICT機器整備状況、今後の活用

ICT教育には環境の整備が欠かせません。文部科学省が実施した平成31年3月現在の調査では埼玉県は教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数が7.4人となっており、47都道府県中45位という結果でした。残念ながら、なかなか整備が進んでいないというのが実情のようです。

とはいえ、今回の臨時休業をうけて、今年度、埼玉県の一般会計補正予算に、ICT早期整備用の予算が計上されたことなどから、整備は急速に進む見込みとなっています。

併せてBYODの考え方も進めることで、多くの人がICT教育の恩恵を得られることでしょう。

課題のやりとりやアンケート、クラウドストレージへの学習成果の蓄積、ポートフォリオの作成などに様々に活用されることが考えられます。

■コロナで高校はどう変わった?

今回の臨時休業期間をうけて、県内の公立・私立高校各校は、オンラインを活用した授業、行事、またオンライン説明会などを次々と実施しています。

県立越谷南高校(越谷市)では、4月よりグーグル社の Classroomを導入。課題の配信の他、オンラインSHRを行ったり、生徒自身が自己紹介動画を作ったりと、教師、生徒問わず様々に活用しているそうです。

授業だけではありません、聖望学園(飯能市)では、昨年末に行われた卒業式の様子を、保護者向けにオンライン配信を行いました。その後も、授業、課題の配信、オンライン礼拝、オンライン保護者会など、授業以外にも活用しています。

また、学校説明会などもオンラインで開催する学校が増えてきました。開智未来高校(加須市)では4月29日に第1回のオンライン説明会を実施し、その後6月末までに4回のオンライン説明会を開催しました。説明会は同校のYouTubeチャンネルから見る事ができます。

これらの活用はほんの一例です。コロナウイルス感染症の影響で、直接の学校訪問には、各校により対応が異なることから、慎重さが求められる時期ですが、まずはオンラインでの情報収集を進めてみてください。(よみうり進学メディア埼玉版7月号掲載)

記事掲載後、更に実践的にICT活用が広がりました。
コロナウイルス感染症の影響で、大変な状況とはなりましたが、これを機にICTを活用した教育は一気に進むこととなりました。
授業での活用以外にも、一般公開が中止となった文化祭や、学校説明会をオンラインで公開する学校も沢山出てきました。
志望校、気になる学校も公開しているかもしれません。学校の様子、ICT活用状況など
のホームページは確認しておきましょう。