川越総合高校はその名が示す通り総合学科の高校ですが、前身が農業高校(川越農業)だった歴史もあり、農場や温室など農業関連の施設・設備が整い、指導陣も充実しています。そのため、総合学科でありながら、農業高校に引けを取らない専門的教育を受けることができます。
本物に囲まれたうらやましい環境
今回の取材目的のひとつに、新設間もない温室の見学がありました。学校の実習用とはいえ、室温管理、空調管理などすべてが行き届いた本格派。ここで立派に農業がやっていけそうです。こうした『本物』を使った授業を受けられるのが同校の魅力。総合高校であると同時に、農業高校さながらの実習を経験できるわけです。
温室では高級フルーツの代表格・メロンを栽培していました。苗の一本毎に担当する生徒の名前が書いてありました。肥料や水をやったり、害虫を駆除したり、余計な茎や葉を切り落としたり、まるで我が子のように手をかけ、愛情を持って育てます。
気になる収穫物ですが、これは地元デパートで展示・即売されるそうです。消費者に届けるところまでが教育ということでしょう。
同じパン作りでも目標・目的が異なる
鶏舎も見学しました。鶏は卵を産んでくれるだけではありません。餌をやったら当然糞の始末も必要です。生徒の皆さんは黙々とお掃除中でした。これも実習の一環です。
食品科学棟の教室ではパン作りの実習中でした。パン作りだけなら普通科の調理実習でも行われていますが、ここでは衛生管理を徹底する中で、食品加工物を、品質を保持しながら大量に生産するための知識や技術を学びます。その一部としてのパン作りです。
今回は見送りましたが、同校は校内だけでなく川越市郊外にも広大な名細農場を保有し、そこで野菜などを栽培しています。農場への移動は専用のスクールバスを利用するそうです。校内にはトラックもたくさんあり、これは農業高校から引き継いだ資産です。
好きなことを伸び伸びと
校内は明るい雰囲気です。それぞれが好きな勉強に取り組んでいるためか生徒の表情も生き生きしています。規律の中にも適度な自由さがある学校という印象です。
女子人気高く4分の3占める
校内に一歩足を踏み入れた瞬間、「ここは農業高校?」という印象を受けますが、同時に「ここは女子校?」と錯覚しそうなほど女子生徒の姿が目につきます。それもそのはず在校生の4分の3は女子が占めているのです。
これは同校の学びの特色からきています。
総合学科は普通科と専門学科の中間に位置しており、両方の科目の中から自分の興味・関心に応じて自由に科目を選べるという特徴を持っています。しかし、これは総合学科の長所でもありますが短所にもなり得ます。学びの目標が曖昧になり、一貫性がなくなる恐れもあるからです。
そこで同校は学びのガイドラインとして4つの系列を設けています。
「農業科学系列」、「食品科学系列」、「生活活用系列」、「生活デザイン系列」です。生徒はこの系列に沿って科目を選びます。
これら4系列を見ると、農業以外は家庭科に属する内容なので、それで女子人気が高いものと思われます。
時間割は十人十色
総合高校や総合学科全般に言えることですが、2年次以降は選択履修科目が非常に多くなります。その結果、同じクラスメイトでも1週間の時間割がそれぞれ異なるという形になってきます。専門分野を深く掘り下げようとする人、分野を超えて幅広く学ぼうとする人、大学進学を目指し英語・数学など普通科目を重点的に学ぼうとする人、正に十人十色の学びを可能にしてくれるのが総合学科高校の魅力と言えるでしょう。
【学校基本情報】
【創立】1920年(大正9年)
【生徒数】719人(男168人、女551人)
【所在地】川越市小仙波町5-14
【アクセス】JR・東武東上線「川越駅」から徒歩20分、西武新宿線「本川越駅」から徒歩15分、東武東上線「川越市駅」から徒歩20分
【前年度入試データ】募集人員200人、受験者231人、入学許可候補者210人、倍率1.10倍
【直近の説明会等】
令和3年7月30日(金)・31日(土) 第1回学校説明会
7/30は午前・午後、体験授業・部活動体験あり。7/1は午前のみ
令和3年8月28日 第2回学校説明会(体験授業あり)
学校WEBサイト https://kawagoesogo-h.spec.ed.jp/