よみうり進学メディア

埼玉 高校レポ
2021.6.11

県立鴻巣女子高校(埼玉県鴻巣市)【保育科】 特集:専門分野を学ぶ2021年 保育を学べる唯一の公立高校

鴻巣女子高校・保育科を訪ねました。

路線バスもありますが、学校案内に駅から徒歩13分とあったので、今回は歩きました。隣に中学校、向かい側に小学校と文教エリアが形成されています。校舎の外壁は女子校らしくピンクで彩られていました。

この日は保育実習のオリエンテーション授業を見学しました。

1・2年次の学習のまとめとして3年次に近隣の幼稚園などで年7回(今年度は6回)の実習が行われますが、その第1回目が3週間後に迫っていたため、実習生としての心構えなどについて確認する授業でした。

同校18年目、実習を知り尽くした須田敦子先生(保育科長)の注意は実践的かつ詳細なものでした。生徒たちは真剣に聞き入っていましたが、後ろ姿からもその緊張感が伝わってきました。

保育科があるのは全国の公立高校でただひとつ

全国の公立高校の中で保育科があるのはこの学校だけです。

保育士になるには、厚生労働省から保育士養成施設の指定を受けた大学・短大・専門学校を卒業する必要があります(他の方法もありますがここでは触れません)。

高校の保育科を卒業しただけでは保育士資格は得られないので、同科卒業生もほとんどが上級学校に進学します。

つまり制度面においては高校から保育科に進むメリットは特にないと言っていいでしょう。

 

 

若く柔軟性がある時代に学ぶ意義

では、あえて高校から保育科に進む意味はどんなところにあるのでしょう。

この点について前出・須田先生は、「若く感受性が強い時代、また、精神も頭脳も柔軟性がある時代に学ぶこと」の意義を強調されていました。

保育士には、音楽、造形、言語などたくさんのスキル(技術)が求められます。また、近年はただ子供の世話をするだけでなく教育(学習)の側面も強く求められるようになってきました。

明確に保育士を目指している人にとって、求められる知識や技術について、しっかり基礎固めができるこの学校は最適な選択肢と言えそうです。

 

目指せ二刀流、目指せ三冠王

今回の取材では保育科を取り上げましたが、同校は普通科、家政科学科と合わせ3学科体制の学校です。

家政科学科は、家政系の二大分野である「被服」と「調理」を同時に学ぶ学科です。

県内では越谷総合技術高校と新座総合技術高校の両校に「服飾デザイン科」と「食物調理科」あり、それぞれ学科として独立しています。が、鴻巣女子の家政科学科は両方の専門科目を並行して学ぼうという、ちょっと珍しいタイプの学科です。野球で言えばピッチャーとバッターを両方やっている大谷翔平選手のようなものです。大谷選手が野球界の二刀流なら、鴻巣女子の家政科学科は、「高校家政科界の二刀流」です。

ちなみに、高校3年間で食物調理・和服・洋服の技術検定1級を取得した人を「三冠王」と呼ぶそうですが、同学科からは29人(令和元年度)もの三冠王が誕生しています。やや忙しい3年間になりそうですが、その分充実した高校生活が送れそうです。

 

【学校基本情報】

【創立】1966年(昭和41年)

【生徒数】547人(女547人)

【学科】普通科・保育科・家政科学科

【所在地】鴻巣市天神1-1-7

【アクセス】JR・高崎線「鴻巣駅」東口から徒歩13分(鴻巣駅より路線バスもあり)

【前年度入試データ】

▼普通科   募集人員80人、受験者67人、入学許可候補者74人、倍率0.91倍

▼保育科   募集人員40人、受験者47人、入学許可候補者40人、倍率1.18倍

▼家政科学科 募集人員40人、受験者44人、入学許可候補者40人、倍率1.10倍

【直近の説明会等】

令和3年8月3日(火)部活動体験

令和3年8月20日(金)専門学科体験入学

 

鴻巣女子高校WEBサイト https://koujo-h.spec.ed.jp/