よみうり進学メディア

特選記事
2022.9.14

特別寄稿「人気高まる私立高の魅力」 大学通信情報編集部 大野香代子先生

夏休みが終わって2学期が始まり、いよいよ本格的に受験勉強に力を入れる時期になりました。これから来年の高校入試まで、気が抜けない日々が続きます。新型コロナウイルスが流行して3年目ですが、残念ながら終息の見通しは立っていません。でも、コロナに対して必要以上に不安を持たないようにしましょう。今まで同様に、基本的な感染防止対策を徹底し、勉強に集中することが大切です。
秋は志望校を最終的に決定する時期です。複数の高校で迷っている人もいると思いますが、早めに志望校を決定して目標を定めたいものです。
高校入試では、基本的に内申点が志望校選びの基準として重要になりますので、受験勉強だけでなく、定期テスト対策も万全にして、少しでも内申点を確実に得てください。その上で、学力に合った学校を選び、確実に合格を狙うのが一般的です。
受験生の多くが第一志望として考えているのが公立高です。しかし、公立高の受検チャンスは1回ですので、何校も受けることができません。もし不合格だったら一大事です。それを避けるために、すべり止めとして私立高を併願するのが一般的です。すべり止めでも、公立高に不合格だったら自分が進学する学校になるわけですから、事前に学校をよく調べておくことが必要です。
私立高には単願受験と併願受験があります。公立高が第一志望の場合は、公立高に不合格だった場合に進学することを前提として併願受験を利用します。私立高が第一志望なら、単願で受験するほうが有利になります。

私立高人気アップの理由は?

近年は、私立高の人気が高く、私立高を第一志望にする受験生も増えています。多様な教育が行われていることが理由です。大学進学へのサポートはもちろん、海外大進学や海外研修・留学などのグローバル教育の推進、フィールドワークなど社会と結びついた学び、実践的なアクティブラーニングの授業、パソコンやタブレットを利用したICT(情報通信技術)教育など、バラエティ豊かな教育が行われています。
カリキュラムにコース制を採用している私立高も多くあります。多彩なコースの中から自分の将来の目的に合ったコースを選択し、学ぶことができます。
さらに、クラブ活動や委員会活動、生徒中心の学校行事、教養講座などを通して、人間性の伸長も重視されています。高校で本格的にクラブ活動をしたい人は、専任の顧問の先生のもとで活発に活動している私立高の方が思い切り打ち込めるかもしれません。
また、公立高にはないのが、大学の付属校です。一般の大学入試を経ずに、高校からの内部進学制度で併設大へ進学可能で、大学受験の負担が軽くなります。ただし、併設大へほぼ全員が進学する学校から、わずか数人の学校まで、進学状況や条件はさまざまです。最近は併設大だけでなく、他大学合格実績が好調な「進学付属校」も、進学の選択肢が多いため人気です。
近年、大学合格実績が年々伸びていることも高く評価されています。特に埼玉の私立高では、東大をはじめとした難関国公立大や早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)などの難関私立大の合格者が増加しています。
現役合格者が多いことも特徴のひとつです。大学受験に対応したカリキュラムや長期休暇中の補習等で、現役合格可能な学力を養っているからです。放課後の自習室など、勉強する環境も整備されています。家で孤独に勉強するのではなく、同じ目的を持った友人と学校で共に勉強できるのは心強いものです。

新学習指導要領で大学入試も変化

高校では、2022年度から新学習指導要領に基づいた教育が行われています。現代の国語、言語文化、地理総合、歴史総合、公共、理数探究などの新しい科目が設置されています。情報も必修科目になり、プログラミングを学びます。
そのため、現高1が受験する25年度大学入試からは、新学習指導要領に沿った内容の出題に変更されます。大学入学共通テストも情報を加えた7教科21科目に再編されます。
このようなカリキュラムや大学入試の変更にも、私立高には柔軟に対応する力があります。一昨年、コロナ禍で一斉休校になったとき、多くの私立高ではいち早くオンライン授業を取り入れて生徒の学びを継続しました。どのような変化であっても、教員が一丸となって、常に工夫を重ねて努力を続けてきた経験と実績が、私立高にはあります。
ただ、私立高は公立高と比較して学費が高いと悩む保護者も多いと思います。しかし今は、国による就学支援金のほかに、各地方自治体による学費の軽減措置があります。埼玉県はその内容が全国の中でも充実しており、保護者の負担が軽減されています。このほか、私立高には独自の奨学金制度が用意されていますので募集要項で確認してください。

志望校決定は自分の目で確かめてから

自分に合った学校を探すためには、実際に学校を訪れるのが一番です。学校説明会やオープンスクール、体験入学などを有効に活用してください。また、文化祭などの学校行事が公開されていれば、在校生の様子がわかる絶好のチャンスですので、ぜひ参加してください。
コロナ禍であり状況によってはイベントが中止になることもあります。また、事前に参加申し込みが必要な場合も多く、ホームページなどでチェックをしておきましょう。人気校のイベントは早々に定員が埋まってしまうこともありますので注意してください。

(大学通信 大野香代子先生)

関連記事