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神奈川県「2019年度(令和元年)公立高校入試を振り返って」

全日制公立高校の募集定員は昨年より833名減の42810名。受験者数は50485名(取消328人含む)、合格者数は42268名で全体の倍率は1・19倍で現入試制度が始まって以降、平均競争率に大きな変動はない。今年は公立中学卒業予定者数が413名見込み減に対し公立高校出願者数は前年より200名減なので公立枠は多少広がった。

特徴①

全日制の競争率上位校は、横浜翠嵐、横浜緑ヶ丘、湘南、多摩、光陵などが1・6倍以上で旧学区の代表的な高校。また、大幅アップの市立桜丘、市立南、市立金沢、茅ヶ崎北陵、鎌倉、上溝や横浜平沼、希望が丘、住吉、柏陽、藤沢西、新城、川和、なども1・4倍以上となった。

特徴②

コースや専門学科では国際関係の神奈川総合、横浜国際、市立横浜商業や芸術系の弥栄(美術)が今年も高倍率を示した。

特徴③

全日制で定員に満たなく二次募集が行われた学校が34校(615名)、昨年の18校(338人)から大幅増加。入りやすい公立高校の人気は下がり、学費助成や補助の拡充と面倒見のよさから私立を選ぶ受験生が増えたといえそうだ。

学力検査、マークシート方式3年目!

2017年度入試からマークシート方式が導入されている。形式で解答欄が表面はマーク、文章などの記述解答は裏面に配置するという変化はあったが、問題量自体は前年とほぼ変わらなかった。全体の傾向としては、幅広い知識を用いて論理的に解答を導く思考力、知識を的確に活用して正解を導く判断力を求める傾向がさらに強まり、難化が進んだと言えそうだ。

受験対策は過去問を解くだけではない

現入試制度での学力検査の特色は思考力・判断力・表現力いわゆる「知識活用力」を測る出題だ。かつて差がつきにくく易しいといわれた神奈川県公立高校入試だが、現在は全国でも屈指の難度を誇る問題となっている。

対策①

基本的な知識に対して繰り返し演習し解いていくことは必須だが、ただ暗記するだけでなく、「なぜそうなるか」を説明できることが重要だ。

対策②

問題の文章量はとても多い。そのため読む量は当然多くなる。選択肢も似たように(間違わせるように)なっている。問題文、選択肢ともにじっくりと、そして時間配分を意識して読むことに慣れておく必要がある。

対策③

早く読むことに加えて、文章の中にある情報を処理し、分析する力が求められている。問題を読み解いて確かな知識の上に情報をキャッチ分析する。これらを組み合わせて正しい解答にたどりつく練習が必要となる。
すでに来春の学力検査日は2月14日と発表されている。学習の計画を立て、きちんと実行できるかが一番の受験対策だ。

20年度入試特色検査実施校が増える!

特色検査は、共通選抜に加え、各校が特色にあわせて独自に実施できる。ここでは、実技検査を除く筆記型の自己表現検査を考える。公立中高一貫校の適性検査問題のような教科横断型の出題だ。これまで各校が作成し実施されていたが、2020年度入試から進学重点校・エントリー校17校すべてで共通問題・共通選択問題を使って実施されることになっている。今春はその先駆けとして7校で実施された。来春10校増えることで、対策も必要となるし、入試の競争率等にも影響が出るのは必至だ。