よみうり進学メディア

埼玉 入試情報
2022.8.2

〈2023年度入試〉埼玉県 公立高「2022年度の入試問題を解剖!②」 各問の正答率から見えてくること

埼玉県公立高校「令和4年度(2022年度)入学者選抜検査」の結果が発表されました。
こちらは令和4年(2022年)2月に実施された
「学力検査」「学校選択問題(数学・英語)」を対象にしたものです。

■問題構成・配点と平均点の推移はこちらの記事をご確認ください:よみうり進学メディア
〈2023年度入試〉埼玉県 公立高「2022年度の入試問題を解剖!①」問題構成と平均点から見えてくること

国語

■国語:出題方針(抜粋)
① 国語の基礎的・基本的な内容について、国語を適切に表現し、正確に理解する力をみる。
文学的な文章と説明的な文章を理解する力をみる。平易な古典を読む基本的な力をみる。
作文と言葉の特徴や使い方に関する事項について、文章表現力や基礎的な言語能力をみる。

■国語:問題の内容(抜粋)

1:長文読解(物語分)/ 出典は青山美智子著『お探し物は図書室まで』。文学的な文章を理解する力をみる問題。

2: 漢字・文法など/漢字の読み書き、基本的な文法の知識(品詞の分類)と語彙力などについて解答する問題。

■通過率が低い2問1(5)(15.2%)と2問2(13.4%)を抜粋すると
・2問1(5):「重要な記事に大きく紙面を サく」の漢字で、正解は「割く」。
「裂く」もしくは「咲く」と書いたもの、点画が足りないもの、無答のものなど、誤答が多岐に渡っていた。語彙として意味を理解するとともに、同音語や同訓語は文脈の中において適切な漢字を判断しながら使用する必要がある。
・2問2:「あきらめずに練習を続けようと思いました。」を単語で分け、最も多く使われている品詞の名称を書く問題で、正答は助動詞。助詞・動詞・形容詞とする誤答が多くみられた。単語の特徴や使われかたを理解し、活用できるようにしていくことが大切である。

3 :長文読解(論説文)/出典は佐藤岳詩著『「倫理の問題」とは何か メタ倫理学から考える』。説明的な文章を理解する力をみる問題。
4 :古文/出典は源俊頼『俊頼髄脳』。古典を理解する基本的な力をみる問題

5: 作文/資料から「コミュニケーションを図るときに気をつけること」について、自分の考えが相手に効果的に伝わるよう、自己の体験をふまえ、展開を工夫して書く力をみようとしたもの。
■減点となった例としては、自分の体験をふまえた考えが書かれていないものや、読み取ったことと自分の考えが関連していないといった、条件を満たしていないものが多かったまた、誤字・脱字や接続詞・助詞の誤用、言葉の使い方の間違いなども多くみられた。資料から情報を正確に読み取り、目的に応じて相手に伝わる文章を書くことができるように普段から意識して学習する必要がある。

社会

■社会:出題方針(抜粋)
 社会科の各分野(地理・歴史・公民)相互の関連を図り、基礎的な知識及び技能をみる問題とともに、知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等をみる。

■社会:問題の内容(抜粋)

1: 世界地図からの地理的分野の問題。
2:日本のある地域の自然環境や産業からの地理的分野の問題。
3: 近世までの日本の仏教に関する歴史的分野の問題。
■通過率が低い(28.7 %)3問3は、X(文)は北条政子の父である北条時政が幕府の実権をにぎったことについて述べた文であり、承久の乱より前の時期にあたるが正答。

4:近現代の年表を基にした、歴史的分野の問題。近現代の日本と世界の歴史について理解しているかをみる。
■通過率が低い(29.1 %)4問2は、年代順に並べるもの。
選択肢の内容を読み取ることで、年号を暗記していなくても正答を導くことができる。
例えばアは、ポーツマス条約から日露戦争の講和条約であり、イは下関条約から日清戦争の講和条約であるため、アはイより後のことであることがわかる など。
■通過率が低い(25.1 %)4問5は穴埋め問題。
文章を読み取ることにより、空欄にあてはまる語は「湾岸戦争」「PKO」となる。冷戦後の国際社会の動きについては、公民的分野の学習とも関連付けて理解することが求められる

5:公民的分野の問題。
通過率が低い(12.3%)5問6は、穴埋め問題で「国際司法裁判所」。

3年間の社会科学習のまとめとして、熊本県熊本市について、地理的分野・歴史的分野・公民的分野の総合的な問題
通過率が低い(17.0%)問2は、時代順に並び替える問題。
選択肢の内容を読み取ることで、年号を暗記していなくても正答を導くことができる(地租改正/墾田永年私財法/御成敗式目/太閤検地)。各時代の特色を踏まえた理解が必要である。

数学

■数学:出題方針(抜粋)
数学の基礎的な知識及び技能をみる問題について、広範囲にわたって出題する。
② 数学を活用して、事象を論理的に考察する力、数量や図形などの性質を見いだし統合的・発展的に考察する力、事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力をみる問題を出題する。
「数と式」「図形」「関数」及び「データの活用」に関する内容について、総合的に活用する能力をみる。

■<学力検査>数学:問題の内容(抜粋)

1 計算・基礎知識/中学校数学科の各領域に関する問題で、基礎的・基本的な知識及び技能が確実に身に付いているかを見る問題。1(1)~(16)で配点65点。
(1)文字式の計算(加法・減法)
(2)正の数と負の数の計算
(3)文字式の計算(乗法・除法)
(4)一次方程式の解き方
(5)根号をふくむ式の計算
(6)因数分解
(7)連立方程式の解き方
(8)二次方程式の解き方
(9)円周角の定理の利用
(10)関数のグラフの特徴
(11)円錐の展開図における角度の求め方
(12)素因数分解を利用した場合の数の求め方
(13)平行線と線分の比を利用した線分の長さの求め方
(14)箱ひげ図の特徴
(15)標本調査を利用した母集団の大きさの求め方
(16)日常の事象や社会の事象を数学的な表現を用いて説明する問題

通過率が低かった(9.6%)問1(16)は、日常の事象や社会の事象を数学的な表現を用いて説明する問題。アイスクリームのパックを円柱とみなして、体積比と価格の比の関係から最も割安なサイズを数学的な表現を用いて説明することができるかをみようとしたもの。

2 作図・証明/「図形」や「関数」に関する問題で、数学的な知識及び技能を活用することができるかをみるもの。

3数学的思考/ 知識・技能を活用して課題を解決する問題で、操作や実験などの活動を通して、座標平面上の図形や確率について総合的に考察し、表現することができるかをみるもの。
■通過率が低かった(1.6%)問3(3)は
図形の性質を利用した場合の数の求め方と、それを基にして得られる確率の求め方について。
条件を満たす点の共通点を見出し、統合的にとらえることができるか、図や式を用いて総合的に考察し表現することができるかをみようとしたもの。

4関数/平面図形についての観察や操作、実験などの活動を通して、図形について見通しをもって論理的に考察し表現することができるかをみるもの。
問4(1)は直角三角形の合同の証明
■通過率が低かった(0.3%)問4(2)は、図形の性質を利用した線分の長さの求め方

理科

■理科:出題方針(抜粋)
「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」を柱とする各領域及び各学年の配分を考慮し、広範囲にわたって出題する。
② 理科の基礎的な知識及び技能をみる問題とともに、知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等をみる問題を出題する。
自然を総合的に見て、科学的に探究しようとする態度を重視し、観察、実験などに関する問題や、日常生活や社会との関わりについての問題を出題する。■理科:問題の内容(抜粋)

1:全分野基礎知識 順に「マグマが冷え固まってできた岩石の名称」「核ができる過程の名称」「ダニエル電池」「電流が磁界から受ける力の向き」「温暖前線を天気図に使う記号で作図」「 被子植物のおしべの先端にある小さな袋の名称」「水素の燃焼反応を化学反応式で表す」「光ファイバーが光を届けるしくみに利用される現象の名称」。

2:地学/暦と天体の運行の関係について調べる学習の場面を想定し、地球の運動と天体の動きについて理解しているかをみようとした問題。
■通過率が低かった(15.9%)2問5は、 太陰暦で閏月を入れる頻度を求める問題。

3:生物/ヒトの消化と呼吸のしくみの学習の場面を想定し、養分や酸素の運ばれ方や利用のされ方について理解しているかをみようとした問題。

4化学:気体の水への溶けやすさを調べる実験の場面を想定し、気体の集め方や気体の粒子の運動について理解しているかをみる問題。

5物理:ばねを用いて物体にはたらく力を調べる実験の場面を想定し、向きが違う2力の大きさと角度の関係について理解しているかをみようとした問題。
■通過率が低かった(17.4%)5問4は
斜張橋においてケーブルと塔が作る角度の変化によって、ケーブルに働く力の変化を問う問題。
問題を解くための情報が大問5全体にあるので、必要な情報を見つけて整理することや、三角形の辺の比を利用して関係式をつくることなど、総合的に思考する力が求められる

<学力検査>英語

■英語:出題方針(抜粋)
① 英語の基礎的な知識及び技能をみる問題について、コミュニケーション能力をみる。
② リスニングテストは、まとまりのある英語の話を聞いて、その概要や要点を聞き取る力をみる。
③ 平易な英語を理解する力や平易な英語で表現する力とともに、基本的な語、連語、慣用表現、文構造及び文法事項の習熟の程度をみる。
ある程度の分量でまとまりのある英語の文章の概要や要点を読み取る力をみる。

■英語:問題の内容(抜粋)

1:リスニング/会話やまとまりのある英語の概要や要点を聞き取る。
■通過率が低かった(18.8%)1No7(2)は、
会話を聞き取り、英語の質問に対する答えとなる、英文を完成させる一連の問題。Kayo が“I want to use English for my job in the future”と言っているので、 正答は 「use English」 。

2:語彙・読解/日本語のメモをもとに、空欄にあてはまる語句を書き、英語の案内を完成させる問題。

3 :読解/中学生のDaisukeのギターの演奏に関する英文を読んで、概要や大切な部分を読み取る問題。


4 :読解/3人の会話から概要や大切な部分を把握し、場面に応じて英語で適切に表現する問題。
■通過率が低かった(15.4%)4問8は
空欄に3語以上の英語を書く問題。空欄のある英文は疑問文であり、直後にある応答に、“How about this Friday afternoon?”と日時を伝える表現が続くため、「いつプレゼントを渡すべきか」を質問すればよい。誤答には、疑問文の形になっていないもの、主語と動詞が一致していないものが多くみられた。

5:読解・作文/英文でのメール内容や必要な情報を読み取る。また、将来の夢について、2つの条件に従って、3文以上の英語で書く問題。

<学校選択問題>数学

1:数学的な知識及び技能/
(1)文字式の計算
(2)根号をふくむ式の計算
(3)二次方程式の解き方
(4)素因数分解を利用した場合の数の求め方
(5)平行線と線分の比を利用した線分の長さの求め方
(6)箱ひげ図の特徴
(7)標本調査を利用した母集団の大きさの求め方
(8)連立方程式の解き方
(9)関数のグラフの特徴
(10)日常の事象や社会の事象を数学的な表現を用いて説明する問題

■通過率が低かった(19.8%)1問(10)は、学力問題の問1(16)と同問題
体積比と価格の比の関係から最も割安なサイズを数学的な表現を用いて説明することができるかをみようとしたもの。

2:「図形」や「関数」/
■通過率が低かった(6.9%)2問(2)は、関数 y = a x²の a の値の求め方

3:座標平面上の図形や確率について総合的に考察し、表現することができるか、学力検査問題に比べ、より応用的な力をみるように工夫された問題。 
■通過率が低かった(5.4%)3問(3)は、図形の性質を利用した場合の数の求め方と、それを基にして得られる確率の求め方

4: 平面図形についての観察や操作、実験などの活動を通して、図形について見通しをもって論理的に考察し、表現することができるかをみようとした問題。 (学力検査と同問題)

5: 空間図形において、球をもとにした立体の体積の求め方を通して、見通しをもって論理的に考察し表現することができるかをみようとした問題。
■通過率が低かった(5.8%・0.3%)5問(2・3)は、
スイカの球を8等分した立体の体積の求め方(5(1))からさらに、(2)四角錐の体積の求め方(3)五面体の体積を求める問題。

<学校選択問題>英語


1 :会話やまとまりのある英語を聞いて、概要や要点を聞き取る問題。
2: 3人の話し合いから、複数のまとまりのある英文を読み、概要や大切な部分を把握し、場面に応じて英語で適切に表現する問題。

3 :鉛筆の歴史についての文章から概要や大切な部分を読み取り、内容についての質問に答える問題。
■通過率が低かった(11.2%・18.2%)3問6(2・3)は、 本文の内容をまとめた英文の空欄に、適切な英語をそれぞれ2語で答える問題。
・( 2 )については、peopleにつづく動詞がくることと、また、後ろにbetterがあることから、動詞+目的語+補語 のかたちの文であることが推測できる。第2段落に鉛筆の改良の過程・歴史について述べられていることから、「人々が~をよりよくした」と表現できると考えれば、made pencils等が正答となる。
・( 3 )については、本文の第5段落から、鉛筆の興味深い歴史を学ぶことは「驚くべきものであった」と述べていることがわかる。問題文の主語はTsuneoであるため、surprised to等が正答となる。
様々なテーマや分野に関するまとまった長さの英文を読み、理解が不十分と思われる事項の確実な定着を図りたい。

4 :作文/調べ学習をする際に利用する手段についての英文を読んで、自分の考えを〔条件〕と〔記入上の注意〕に従って、40語以上50語程度の英語で書く問題。

 

■詳しくは:埼玉県立総合教育センターホームページ
令和4年度入学者選抜学力検査結果(令和4年2月実施)
※「採点の手引き(正答と配点)」や「追検査」の確認もできます。

■入試問題(解答用紙含む)PDF:
国語   社会   数学   理科   英語   リスニング(台本) リスニング(音声)

■学校選択問題(解答用紙含む)PDF:
数学(学校選択問題)   英語(学校選択問題)

■学力検査結果・解説全体分析
国語   社会   数学   理科   英語数学(学校選択)   英語(学校選択)

■問題構成・配点と平均点の推移はこちらの記事をご確認ください:よみうり進学メディア
〈2023年度入試〉埼玉県 公立高「2022年度の入試問題を解剖!①」問題構成と平均点から見えてくること
(よみうり進学メディア編集部)

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