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埼玉 入試情報
2022.7.26

〈2023年度入試〉埼玉県 公立高「2022年度の入試問題を解剖!①」問題構成と平均点から見えてくること

受験勉強には作戦が必要です。もしくは計画が必要です。その立案に必要なのが過去の問題の分析です。
今回はまず令和4年度公立入試問題の各教科問題構成と配点を見ていきます。さらに、約10年間の平均点推移を見ていきます。
こうして全体像を把握したうえで作戦や計画を立てれば、大きく方向を誤ることはありません。時間の節約にもつながります。
今回の分析データを今後の受験勉強に役立ててください。

1 問題構成を見て、それに合わせた勉強をする

問題構成とそれぞれの配点を知れば、今後、どんな分野や単元を中心に受験勉強を進めればいいか、だいたいの方向が見えてきます。
今回は大問構成の分析ですが、今後は小問まで立ち入って見ていく予定です。
では、具体的に各教科を見ていきましょう。

【国語】問題構成は変化なし、長い文章に慣れておく必要

大問1と大問3の長文読解が各26点、大問2の漢字や言葉の知識等が24点、古文が12点、作文が12点という問題構成と配点は前年までと変わっていません。5年度入試でも大きな変化はないと予想されます。大問2の中にやや長めの文章を読ませる問題が入るようになってきたので、全体として読む量が増えています。正確かつスピーディーに長文を読み取る練習をしておく必要があります。

【数学】学力検査、学校選択ともに平均点大幅ダウン

基礎基本重視には変わりなし
学力検査問題は、令和2年度以降、基礎基本問題が中心である大問1の問題数・配点が大きく増えました(51点→65点)。5年度も同じ形が続くと予想されます。大問1の問題増により幅広い単元から出題されるようになりました。苦手分野・単元を作らないことが重要です。
4年度は学力検査問題、学校選択問題ともに平均点は大幅ダウンしましたが、基礎基本重視の姿勢は変わりません。

【英語】学力検査は、僅かだが唯一平均点が上昇

学校選択は構成・配点など特に大きな変化なし
学力検査の問題構成と配点は前年までとくらべ大きな変化はありませんでした。前年にくらべ平均点が上がった唯一の教科です。ただし、1.2点の上昇なのでほぼ前年と同じと言っていいでしょう。
学校選択問題の方も、問題構成・配点に特に大きな変化はなく、平均点はやや下がりましたが高い水準を維持しています。

【理科】基礎基本問題を重視する方向へ

令和2年度以降、大問1の配点が24点となっています。以前は20点だったのでやや増えています。幅広い分野・単元から基礎基本問題をできるだけ多く出題しようという方針のようです。
大問2は天体や大地・気象など地学分野、大問3は植物・動物などの生物分野から、大問3はイオンなど化学分野から、大問5は光や電気など物理分野からという出題方針に変わりありません。

【社会】各分野配点は元に戻る

令和3年度は公民分野でかなり大幅な出題除外範囲がありました。そのため、公民分野の問題数と配点を減らし、その分を地理分野・歴史分野に割りあてる形が取られました。4年度は除外範囲がなかったため、元の構成に戻りました。

2 平均点推移から来年の難易度を予想してみる

約10年間の平均点の推移から何が見えてくるか。
そこから考えてみることにしましょう。
平成24年度からのデータを取ったのは、この年から、それまでの「前期・後期制」から「1回入試」に変わったからです。
令和4年度入試では、ほぼ全教科の平均点が下がりました。学力検査問題5教科、学校選択問題2教科、計7教科のうち、前年より平均点が上がったのは、学力検査問題の英語だけで、それも僅か1・2点の上昇でした。
平均点で見る限り、4年度入試問題は前年より難しかったと言えるでしょう。

【国語】長文読解の難易度により変化ありそう

3年度は過去最高の68.7点を記録しましたが、4年度は大幅に低下しました。ただし、引き続き60点台は維持しています。
配点全体の半分以上を占める長文読解問題の出来により平均点は上下するようです。特に大問3の論説文読解は題材により変化が大きいと言えます。
平均点が高い分、合格のために求められる得点も高いということなので楽観は禁物です。

【数学】上昇の可能性あるが、学力検査の60点超えは微妙

学力検査は2年連続して60点台でしたが、一気に40点台に低下しました。これは意図的なものだと考えられます。だとすれば、5年度も50~55点程度を見込んだ問題構成と配点になると思われます。
学校選択問題はやや下がり過ぎたので、50点を下回らない程度をめざした出題となるでしょう。

【英語】学力検査、学校選択ともにほぼ現状維持か

学力検査では50~55点程度が続いており、安定はしているものの、決して高い水準とは言えませんでした。ただし、4年度は他教科の下がり方が大きかったこともあり、相対的に高めの平均点となりました。
これまでの平均点推移からみて、5年度も大きな変化はないと予想されます。

【理科】出題単元により大きく変動する可能性

令和3年度は出題範囲の縮小がありましたが、4年度はありませんでした。新しく教科書に加わった内容が出題されたため、問題練習が不足していた受験生もいたかもしれません。
55点を超えることが滅多にない教科なので、50~55点程度で推移すると予想されます。
各分野からどの単元が出題されるかにより平均点が上下します。苦手分野・単元をできるだけ早期に克服するようにしましょう。

【社会】三分野からまんべんなくだが、やや歴史重視か

ここ数年高い平均点を維持してきましたが、4年度は7年ぶりに55点を下回りました。基本的には地理・歴史・公民の各分野からほぼ均等に出題されますが、4年度では歴史33点、地理29点、公民23点となっており、歴史の配点がやや大きくなっています。
歴史分野は覚えるべき事項が多いので、早めに準備しておく必要がありそうです。

■各問題の正答率(通過率)が発表されました。続けてお読みください:
〈2023年度入試〉埼玉県 公立高「2022年度の入試問題を解剖!②」 各問の正答率から見えてくること

(よみうり進学メディア編集部)

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