よみうり進学メディア

東京 入試情報
2022.9.5

〈2023年度入試〉東京入試情報 「志望校選択の時期がきた」-令和5年度

今は、全力で志望校を探し、出会おう

3年前から続くコロナ禍、さらに今回の第7波で不安を感じている人も多いと思う。
今春の中学校卒業生の進路状況が発表されたが、不安を克服し見事に進路を確定させた先輩たちの姿が、数字の中に垣間見える。
強い意志で計画を立てて、受験に臨んで欲しい。学校説明会や見学会などでは予防のための制約が続くが、いよいよ志望校の選定へ向け重要な時期に差し掛かってきた。

先輩たちの努力の跡が今春の中学卒業生の進路に

東京都教育庁から、令和4年3月の公立中学校卒業生の進路状況が発表された。
受験生はコロナ禍の中での受験だったため、以下の変化があった。
・志望校の選択のための相談会や学校説明会が予約制や定員制になり、著しく制約を受けたこと。
・中学校の新学習指導要領の施行で、入試の出題範囲が増えたこと(本紙5月号記載)。
・調査書の観点別評価の観点が変わり、評定も変化が見られたこと。
また、出願が郵送(一部WEB出願)に変わり、男女別定員の緩和措置が採られたことなど、入試の変更もあった。
卒業生は、77,188人で前年より3,341人増加した。増加するのは6年ぶりのこととなる。
このため、都立全日制では29学級1,140人の募集人員増を実施していた。
高校等への進学率は98・5%、前年と同率で直近10年間では2番目に高い割合になった。
全日制進学者は88・4%、うち進学先は都立高校が約57%、都内私立が約37%、都外が5%などだった。
来春の卒業予定者は、今春より1,300人程度増加する見込みとなっている(東京都教育人口推計値より)。
都立高校の募集も更に増加されると思われるため、今後の募集定員の変化から目を離せない。

■公立中学校等卒業者(令和4年3月卒業)の進路状況調査について詳しくは:
よみうり進学メディア
東京都 令和3年度公立中学校等卒業者(令和4年3月卒業)の進路状況調査の結果(速報値)について

新型コロナウイルス感染症の動向に注意

夏休みが明け、いよいよ受験のための重要な準備期間に突入した。
例年、都の有識者による「入学者選抜検討委員会」から発表された報告内容を基に、都教育庁が入試要綱の作成を行い、9月下旬までには入試要綱や、各校の選抜方法等が発表される。
前年は、コロナ禍の関係から9月下旬の発表になったが、今年も同時期になりそうだ。
中学校での授業はこれまで予定通り実施されており、令和5年度入試では、入試の出題範囲や調査書等への配慮は実施しないと思われる。
前年に実施された新型コロナ感染症への対応としては
・推薦・一般選抜への出願は原則郵送とする。但し、今後に向けてWEB出願の試行が開始されている。5年度入試に向けて一気に拡大される可能性がある。
・推薦・一般選抜の検査は、原則1日で実施する。
・合格発表は、掲示とウェブサイト掲載とする。
・不合格者への得点開示は、入学手続きの翌日からとする。
・推薦の検査で集団討論は実施しない。
・インフルエンザ、新型コロナの罹患者・濃厚接触者も追試験の対象。
などとされていた。
新型コロナウイルス第7波が猛威を振るっているが、罹患に注意すると同時に、5年度入試の要綱をはじめ今後の入試の変化に注意しておきたい。

男女別定員の緩和について検証

東京都教育庁は、男女別定員を定めている都立109校で、令和4年度に実施した10%の定員緩和措置について、7月に検証結果を発表した。
緩和措置を行わなかったときと同じ結果になった学校は81校、男子合格者が増えた学校は23校、女子合格者が増えた学校は5校で、影響は比較的に少なかったようだ。
学校ごとでは、いちばん合格者の人数に影響が出たのは向丘30人、得点差では女子53点高。日本橋24人、同59点高、三田23人、同23点高など。いずれも女子合格者が増加した結果となっていた。
ただし向丘の場合、男子75人、女子148人が最終的に合格しており、極端に女子応募者が多かったことが影響したものと考えられる。
20%への定員緩和措置が実施された場合、男女割合は、1対3程度になることも予想される。

■都立高の男女別定員について詳しくは:よみうり進学メディア※昨年度の資料です
〈2022年度入試〉 東京都 都立高「男女定員 段階的緩和方針」を発表 -令和4年度

説明会・相談会にインターネットを駆使しよう

コロナ禍の中ではあるが、9月以降、公・私立ともほとんどの高校で学校説明会や入試説明会・体験入学が実施される予定となっている。
申し込み制や密を避ける工夫がされるなどの制約は多いが、受験生に学校の雰囲気や施設、部活などを見学してもらい、学校選択の参考にしてもらうのが目的だ。
こうした情報や機会をとらえること、インターネット等の上手な利用も学校選択で生かしてほしい。
また私立高校では、12月中旬までに生徒・保護者対象の個別相談を実施している学校が多い。
個別相談とは、通知表や各種検定、その他の資料などの実績をもとに「合格の可能性を判定する機会」とする学校と「個人的な質問に答える場」とする学校がある。
各学校で工夫して、オンライン説明会やオンライン相談会を行うケースも多くなっているが、高校の先生方と接する機会としても、個別の相談は重要だ。
また、説明会や相談会への参加は、合否の予測だけでなく、学校と自分の相性や、高校生活の実態を感じ取る機会としても利用しておきたい。
私立志望者はもちろんだが、都立志望者も併願を前提として、私立高校の個別相談に参加したうえで受験に臨むことが必須になってきている。
説明会や相談会への参加希望や、その報告を担任の先生にしておいてほしい。
私立高校には学校ごとに異なるコース(類型)や入試制度があるため、中学校での三者面談などの前に、希望するコースや利用したい制度、出願基準などを調べておくことも必要になるだろう。

■都立高の学校説明会について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2023年度入試〉東京都 都立高「2022年 授業公開・学校説明会等日程一覧」を発表

学費を気にせず、学校を選択できる時代

私立高校生に対して国から就学支援金という助成金が付く。4年度では、家庭の年収の目安590万〜910万円未満が年11万8800円、590万未満が39万6千円となっている。
さらに東京都の令和4年度では、私立高校進学者(他県への進学者も対象)に対して授業料の助成金制度がある。家庭の年収目安910万未満は、国とあわせ授業料46万9千円が支給されている。詳細は、東京都私学財団のホームページで確認できる。
私学入学者に対する公的な助成金の充実によって、学費にとらわれない、より自由に学校選択できる時代になっているのだ。
いよいよ受験生は、『志望校の選択』の時期に突入する。
各高校の見学会や文化祭が制約付きになるなど、制限は多いが、機会を見つけ、気になる高校や目ざす高校をぜひ訪問しておきたい。
高校を見て、触れて、感じて、目指す志望校と出合ってほしい。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)

☆よみうり進学メディアではTwitterで記事更新をお知らせしています☆
Twitterのフォローをすると、随時掲載情報が受け取れます。受験情報をお見逃しなく!
■よみうり進学メディアTwitterはこちらをクリック
Twitter.com@yag_ysmedia

関連記事