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東京 入試情報
2023.6.7

〈2024年度入試〉東京入試情報「令和5年度入試の検証から6年度入試を探る」後編

※前後編の記事です:前編はこちら
〈2024年度入試〉東京入試情報「令和5年度入試の検証から6年度入試を探る」前編


強い意志で梅雨期を乗り切れ、次は君たちの番だ
新型コロナウィルスが5類に移行になったとはいえ、いろいろな面で制約が続く。

気が付けば、高校入試期間まであと8か月あまり、勉強、部活、学校行事に今こそ頑張る時だ。
君たちに必要なことは、「悔いを残さない志望校の選定」「学力の向上のための努力」「調査書対策」だ。

既に、6年度入試に向けての準備期間に入っていることを意識してほしい。

3年生の夏は忙しい。健康管理に注意して、計画を立てて梅雨時期を乗り切れ。

 

在籍の増加、男女別定員の緩和などで倍率変化が

令和5年度入試『推薦』に基づく選抜では、受験者数が前年とほぼ同数の2万3062人、合格倍率は、前年の2.52倍から2.47倍に低下した。

令和5年度入試『第一次・分割前期(全日制)(※以下一般入試と呼ぶ)』学力検査の受験者数は、前年より703人増加し3万9608人となった。
受験倍率は、1.29倍、実質倍率(受験数÷合格者数)は、前年の1.36倍よりやや下がり、1.35倍だった。

いずれも倍率は低下したが、推薦で約1万3900人、一般で約1万290人が不合格となり、厳しい状況は続いている。

また普通科(コース、単位制を除く)では、在籍の増加と、男女別定員の緩和措置の影響が見られた。
男女別定員の緩和措置の影響は大きかったようで、男子は1.39倍から1.42倍へ上昇、女子は1.40倍から1.37倍となっている。
前年と比較すると、不合格者が男子は314人増加し、女子は222人減少した。

都立高入試の倍率変化は、コロナ禍での『志望校に出会う機会の減少』、調査書の観点別評価の観点の変化、私立高校生に対する国と都からの学費助成の充実や、『大学入試入試改革の実施』『昨春の高校学習指導要領の改訂』などの要因がある。

現在の公立中学3年生は今春の卒業生より200人余り増加する。
また男女別定員の緩和は、推薦入試でも進行すると考えられる。

 

高学歴社会の中で、将来の志望を考える時

前年春の都内高校生の、現役大学・短大進学率は71.5%となった。
そのため進学実績の高い公立高校や、大学附属を含めた私立高校への期待が大きくなっている。

公立高校も私立高校も、校内LANの設置、モバイル端末の配布と利用、補習・補講の充実、アクティブラーニングの実践・研究、授業時間の確保など、大学入試の変化に対応するための努力を続けている。
学校ごとの取り組みをいろいろな機会を通じて知ることがますます重要となるだろう。

新型コロナ感染症が5類に移行し、大規模な私学展が復活し、各校の説明会が活発に開催されるようになった。こうしたイベントは定員制や、申し込み制になってはいるが、ホームページを確認し、機会をとらえるようにして欲しい。

 

評定の仕組みを理解して授業に集中しよう

都教育庁が調査した令和5年3月卒業生の2学期の評定調査では、評定「5」が12.4%、「4」は23.7%、「3」は47.0%、「2」は13.0%、「1」は3.9%となっていた。

前年より「5」が0.4%、「4」が0.9%減少し、「3」以下が増加していた。ただし、評定「3」以上が83.1%となっており、「3」は、普通の評価とは言えなくなっている。

評定は、「観点に基づく評価」とされる。
『前編』で観点の変化について説明したが、全教科「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点になり、調査書や通知表も、これを基に算定される。

観点は、それぞれA・B・Cの3段階で評価される。

観点別評価の結果を評定に換算する仕組みは、各学校で定められる。

つまり、中間・期末テストの結果だけでは評定は決まらないということだ。
平素の授業態度や宿題の提出などは、学習に取り組む態度となり、テスト結果は、知識・技能として評価される。考え方や発表する姿勢なども重要な評価項目となる。

 

既に令和6年度入試は開始されている

調査書の評定は、都立受験(全日制)の『推薦』では無論のこと、『一般入試』でも、学力検査7に対し、3割の得点換算が行われる。また、実技4教科は、評定が2倍される。

各教科の評定は、私立高校の単願や併願の優遇制度でも、目安や基準として扱われることも多い。
また多くの私学の個別相談では、1学期の通知表の評定を参考に合格の可能性を教えてくれる。

テストで頑張るのは無論だが、積極的に授業に参加すること、積極的に考え、自分の意見を発表すること、宿題を忘れない、提出期限を守ることなどを心がけてほしい。
既に、入試は始まっているのだ。

 

英語スピーキングテスト(ESAT‐J)が全学年に拡大

『前編』で6年度入試の注目点として書いたように、英語スピーキングテスト(ESAT‐J)は、英語4技能(読む・書く・聞く・話す)のうち「話すこと」を評価して都立の入試選抜に活用される。
・中学3年生の都立希望者は、原則として全員受検する。
・11月26日に外部会場で実施(予備日12月17日)。
・1月中旬に個人・中学校へ結果を返却。A~Fの6段階で評価される。
・各高校では調査書に記載された評価を、0点から20点に換算し、入試得点と調査書得点の合計値に加算する。
としている。
なお、今年度からブレテストとして公立中学校1・2年生も全員受検することになっている。

 

令和6年度入試日程は、ほぼ前年度を踏襲

5月末に6年度の都立入試の日程が発表された。曜日による変化以外は、ほぼ前年度の日程を踏襲している。
<推薦>
出願 1月12日~18日
実施 1月26日~27日
合格発表 2月2日
<一般入試(第一次・分割前期)>
出願 1月31日~2月6日
実施 2月21日
合格発表 3月1日
※全て「2024年(令和6年)」・全日制のみ記載しています

■都立高の日程について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2024年度入試〉東京都 都立高「2024年度(令和6年度)入学者選抜の日程決まる」‐令和6年度

(岩佐教育研究所 岩佐桂一)

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