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2023.7.4

埼玉県 ICT教育から教育DXへ―教育の現場に普及したICT、活用から価値創造の段階へ

コロナ禍により劇的に進んだ社会のデジタル化。「教育」においても変革が進行しています。項目ごとに見ていきましょう。

そもそもICT教育とは?

まずICTとは「Information and Communication Technology」の略で「情報通信技術」のことです。ちょっと聞きなれないかもしれませんが、まったく特別なものではありません。スマートフォンのアプリで無料通話をしたり、メッセージのやりとりをしたりといったこともICTの一部です。ITに「コミュニケーション(C)」を足したもの、インターネットのような「通信技術を利用したサービスなどの総称」と言い換えると分かりやすいかもしれません。
そこに「教育」を加えたのがICT教育で、「ICT機器を使った教育」という意味になります。

コロナ禍で教育の場でもICT活用は急速に進行

「GIGAスクール構想」という国の政策があります。これは学校ICT環境の整備を進めるためのもので、その中身には1人1台のPC、高速大容量の通信ネットワークの構築などがあります。 コロナ禍に対応するため、この計画は大幅に前倒しされました。
全国の小・中学校では、1人1台の端末が配布されました。 皆さんの中学校でもその利用が進んでいることでしょう。

埼玉県の公立高校全校ではWi-Fiなど校内通信環境が整いました。その具体的な活用方法については埼玉県のICT教育推進課がまとめた資料や、埼玉県総合教育センターによる「県立学校版ICT活用レシピ(高等学校編・特別支援学校編)」などが公表されています。
資料の中身を見ると、先生間での優れた教材の共有、テスト採点などの効率化など、学校業務のあらゆる場面についてまとめられていました。

私立高校では学校ごとに違いはありますが、全体的に公立よりも早いタイミングでICT教育に取り組んでいました。多くの私立がコロナ禍に対応し、ただちにオンライン授業に対応できたのも、それまでの知見があったからでしょう。1人1台端末は当然となり、授業のみならず学校生活全般での活用が進んでいます。

1人1台の情報端末

公立高校の生徒1人1台の端末実現 に向けた取り組みは、令和3年12月に策定された「埼玉県学校教育情報化の方向性」に準拠し、まずは、BYOD方式(Bring your own deviceの略)で行われ、生徒のスマートフォンなどを授業などで活用することからスタートしました。

今春、令和5年度入学生からは、入学時に一人ひとりが購入することで、1人1台端末環境を実現することとなりました。もし端末が用意出来ない場合にも、一定の条件を満たした場合、貸出を受ける制度が用意されています。

端末の購入については、高校指定の端末(iPad、ChromeBook、Surface Goなど)を指定するケース、「BYOD形式」で個人所有の端末を活用するケース、推奨する仕様を提示したうえで「Webブラウザが動作し物理キーボードがついていればOSや機種は問わない」とするところなど、学校毎に異なっているようです。

ICT活用から教育DXのフェイズへ

佐藤栄学園は今春、NTT東日本埼玉支店と「最新テクノロジーを用いた次世代教育協創の連携協定」を締結しました。 社会課題を解決する力を養う探究的な学習や教育環境の改善へ向け、両者で連携し取り組んでいくという協定です。
その中では、睡眠の質を可視化する「眠育 DX」、スポーツテック によるデータに基づいた効率的な指導法や個別最適化されたトレーニングを実現できる「部活動 DX」、最新テクノロジーによる未来の農業の姿を探究する学びなど、 学校内だけではない、生活全般に及ぶ体制整備を予定しているとのことです。

文中にあるDXとは「Digital Transformation)」の略で、データとデジタル技術によって新たな付加価値を創造していくことを指します。いまやICT機器の活用は、ただ使うのみのとどまらず、情報の活用、新たな価値の創造の段階にシフトしているのです。

さいたま市教育委員会も前述の「GIGAスクール構想」のネクストステージとして、「さいたま市スマートスクールプロジェクト(SSSP)」を昨年策定しました。取り組みの分野別に、ベネッセコーポレーションやライフイズテック、日本マイクロソフト、内田洋行などの4社と連携し、先進的な教育の実践を行っていくそうです。この計画では、アナログ教材のデジタル化やデジタル化したデータの活用のみにとどまらず、「学び方」「教え方」を改革する教育DX、教育機関での「働き方」でもデジタルを利用し組織全体の変革を目指すとしています。

今後、話題の「生成AI」など最新技術によって私たちを取り巻く環境は大きく変化する可能性があります。AI活用ついては、ようやく議論が始まったばかりですが、大きな変化が予想されており今後も注目です。

高校で「情報Ⅰ」必履修化、大学入学共通テストの受験科目に

高校では「情報Ⅰ」科目が必履修化、令和7年(2025年)から大学入学共通テストでプログラミングを含む「情報」が出題される予定です。
「情報」科目新設の目的は、問題の発見・解決に向けて、情報技術 を適切かつ効果的に活用する力を育むことです。
学習内容はプログラミングなどのIT技術など 幅広い内容が含まれます。

受験科目化に対応し、埼玉県立春日部高校では「情報Ⅰ・AIドリル」を導入しました。 同ドリルは共通テストを想定した模擬試験の結果から、一人ひとりの学習力点と学習プランをAIが作成します。個別に対応でき、最適な反復学習によって効率的に知識を定着させるものです。
「情報」を用いた大学入試を考えている人は、こうした各校ごとの取り組にも注目していきましょう。

 

(よみうり進学メディア編集部)

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