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入試情報
2023.8.31

〈2024年度入試〉受験生の疑問に答えるQ&A 「入試で数学を捨てる、という選択肢はありますか?」ほか-令和6年度

Q1 公立高校志望なのですが、私は数学が全くといっていいほどできません。数学以外は割と出来る自信があります。入試で数学を捨てる、という選択肢はありますか。数学の点数が低いという理由で落ちることはありますか?

A
まず「数学の点数が低いという理由で落ちることはあるか」についてですが、公立入試は総合点(合計点)方式で合否を決めているので、数学に限らず、特定の教科の点数が低いという理由で不合格になることはありません。

次に、「数学を捨てる」についてです。どこに捨てるつもりか分かりませんが、絶対にやってはいけないことです。

いま述べたように、入試は総合点方式なので、他の得意教科で点数を稼げば合格はできるかもしれません。
しかし、数学の勉強は高校に入学してからも続くのです。
周りには数学が得意な人もいるでしょう。苦手ながら最後まで頑張った人もいるでしょう。そんな中、あなたは捨ててしまった。それでは最初から勝負になりません。

それともうひとつ。理系、文系という言い方を聞いたことがあると思いますが、近年の大学入試では、いわゆる文系学部でも数学を課す動きがあります。
人気の高いデータサイエンス系や情報系、あるいは経済系などの大学・学部に進むためにも数学は必須です。

中学生の、今の段階で苦手だからと数学の勉強を止めてしまうようでは、将来の可能性を狭めるだけです。よって、数学を捨てるという選択肢はありません。

幸い「数学以外は自信がある」ということなので、数学にかける時間を増やしてください。
どこかに躓(つまず)きの原因があるはずなので、そこにさかのぼってやり直してみましょう。
時間はまだ十分残っています。

Q2 受験勉強の仕方が全くわかりません。試験でできるだけ点数をとるために何をするのが良いでしょうか。

A
勉強の仕方に自信がない人は多いかもしれません。なかなか点数や偏差値が上がらず、そのため「今の勉強法で合っているのだろうか」と不安になるのなら分かります。ですが、全く分からないというのでは、今まで何をしていたのかと逆に質問したくなります。

勉強の仕方を広い意味で考えると、なかなか結論が得られませんが、話を受験勉強に絞れば、そのやり方はいたってシンプルです。

高校入試では中学校の教科書に載っていること以外は出されません。ですから教科書の内容を全部理解していれば、どこの学校にも合格できます。
また、入試ではどの部分が出やすいかも分かっています。どういう形で問われるかも分かっています。もし分からなければ過去問題を見てください。来年もその通りに出ます。

受験勉強では、覚えるという作業が欠かせません。考えさせる問題とか表現させる問題とかであっても、その元は知識です。

知識というものはアウトプット(外に出すこと)により強化されます。インプット(頭の中に入れること)だけでは、まだ勉強は半分しか達成されていません。
覚えたことを声に出すのも、誰かに聞いてもらったり、説明したりするのもアウトプットです。そして究極のアウトプットが問題練習です。
インプットとアウトプットを繰り返しましょう。それで点数が上がらなかった人を見たことがありません。

Q3 志望校選びについて悩んでいます。部活の友達と一緒の公立高校か、少し遠い私立高校かです。
正直、私立高校の方が自分の学力に合っていると思いますが、友達と一緒の部活の学校もいいな、と思っています。勉強か部活か、どちらを選ぶのが良いでしょうか。

A
このような問いに唯一の正解はありません。自分で結論を出して下さい。が、それでは質問コーナーにならないので、参考意見を述べます。

まず、友達という要素をこの問題から一旦除外してみましょう。どこかに遊びに行く話やゴハンを食べに行く話だったら、友達をど真ん中に置いて考えてもいいです。そういうのはどこに行くかよりも、誰と行くかが重要だったりするからです。

しかし、高校選びは、少し大げさに言えば人生の選択です。この先3年間をどう過ごすか、また、さらにその先をどう生きるか、そこまで考えて欲しいのが高校選びです。

そう考えれば、ここに友達という要素は不要だと思いませんか。少なくともそれほど重要ではないと私は考えます。

部活中心に考え公立を選択した結果、今の友達と同じになったら、また一緒に頑張ればいいじゃないですか。
逆に勉強中心に考え私立を選択した結果、今の友達と別々になったら、これまでとは違った形で友情を育めばいいじゃないですか。

それともうひとつ。友達と同じ学校を受けて、自分だけが受かっって友達が落ちたらどうするんですか。入試ですからそのような可能性もあるわけです。そうなると、その瞬間、あなたがその学校を選んだ理由が消滅することになりますよ。しかも入学前に。

ですから、どんなに大事な友達であっても、この問題は自分だけの問題と考えたほうがいいんじゃないかと思います。

Q4 通学時間が1時間以上かかる高校に行きたいのですが、通学時間のみ不安です。大丈夫でしょうか。

A
通学時間は、一般的には「30分から1時間」がもっとも多く、次いで「1時間~1時間半」となっているようですが、学校により事情は異なっていると思われます。
学校説明会や個別相談で聞いてみたらどうですか。どこの学校でも生徒の通学所要時間調査をしているはずです。

みんなが徒歩や自転車で30分以内なのに自分だけが1時間以上となると、仲間はずれにされることはないでしょうが、友達付き合いに多少は支障が出るかもしれません。
ですが、学区が決まっている中学校と違って、全県(全都)一学区の高校の場合、通学範囲はかなり広く、それなりに時間をかけて通っている生徒が多いものです。
中には、やりたい勉強があるとか、やりたい部活があるという理由で、2時間以上かけて通学している生徒もいます。

不安の元が体力面だとしても、高校生になれば体格・体力もさらに伸びるので、時間感覚はいま考えているものとは違ってくるでしょう。

近いけれど、これと言ってやりたいことが見つからない学校を選ぶのがいいか、少し遠いけれど、明確な目標を見出せる学校を選ぶのがいいかと言えば、やはり目標を持てる学校の方だと思います。

毎日通っていればそのうち慣れるのも確かですが、毎日だから大変なのだという面もあります。
説明会や相談会など何度かその学校を訪ねてみて、それでどうしても無理だという気持ちになれば別ですが、そうでなければ少し大変でも行きたい学校を選んでもらいたいと思います。

Q5 中3生の保護者です。個別相談では何を聞けば良いのでしょうか。保護者のみでの相談でも大丈夫でしょうか。聞いた方が良いこと、逆にこれは聞かない方が良いといったことを教えてください。

A
まず「保護者のみでの相談でも大丈夫でしょうか」についてですが、学校側では基本的に親子一緒を想定しているので、特別な事情がない限り、お子さんと一緒に受けるようにしてください。
ただし、いろいろ事情があり保護者のみを希望されるのであれば、理由を話してお願いしてみてください。おそらく、どの学校でも対応してくれると思います。
もし、冷たくあしらわれるようでしたら、その学校は候補から外したほうが無難です。

次に「何を聞けば良いのか」についてですが、聞きたいことは何でも聞いてください。
個別相談は面接試験ではありません。何を尋ねようが、それが合否に影響を与えることはありません。

強いて「聞かない方が良いこと」を挙げるとしたら、パンフレットやホームページで調べれば誰でも簡単に分かるようなことでしょう。お互いに時間の無駄だからです。

入学後、学力的についていけるだろうか、体力が持つだろうか、友達とうまくやっていけるだろうかと、親として不安は尽きないと思います。そういうことも含めて何でも相談してください。
直ちに問題解決には至らないでしょうが、それらに対し真摯(しんし)に向き合ってくれる学校を選ぶことにしましょう。

個別相談は時間が限られています。時間を有効に使うため、これだけは聞いておきたいという内容を準備していくと収穫の多い個別相談となるでしょう。

(回答者 教育ジャーナリスト 梅野弘之)

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