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入試情報
2023.10.10

〈2024年度入試〉受験生の疑問に答えるQ&A 「がんばったのに、模試の偏差値が下がりました」ほか-令和6年度

Q1 夏休み期間自分なりに頑張ったつもりでした。でも先日、模試の結果が戻って来たのですが、点数では全教科で前回と同じくらいだったのに、偏差値は下がりました。志望校の判定もよくなく、勉強したのにさほど変わらないな…と思って落ち込んでいます。伸びないのはふつうですか?

A
言葉尻をとらえるわけではありませんが、「夏休み期間自分なりに頑張ったつもり」という言い方が気になりますね。なぜ「夏休み期間頑張った」と言い切らないのですか。「自分なりに」というのは「マイペースで」とか「自分のできる範囲で」といった意味になるかと思いますが、入試は戦いですから「他人以上に」「自分の限界を超えて」頑張らないと勝てませんよ。

さらに言えば「つもり」も駄目ですね。実際にはそうでなくても、そんな気分になっているのが「つもり」です。気分で勝てるほど入試は甘くありません。

「伸びないのはふつうですか?」とありますが、こういう考え方をしている限り、伸びないのはふつうです。

と、やや厳しめの話になりましたが、「自分なり」であろうが「つもり」であろうが、頑張ったのは事実なので、その分の結果は必ず出ます。ただ、模試の場合、普段の学校の小テストや定期考査と異なり範囲が広いので、重点的に勉強してきた内容と出題内容がすれ違うこともあります。
夏休み期間の頑張りの結果が出るのは、次の模試かもしれないし、その次かもしれないし、本番入試ということだって考えられます。すぐに結果が出なかったからといって勉強を投げ出してしまうのは非常にもったいないことです。

結果が現れないもうひとつの理由として、勉強法の誤りということも考えられますから、先生に相談し、アドバイスをもらうことをお勧めします。

Q2 1年から復習をしようとしているのですが、学校の実力テスト・中間テスト、塾のテストなどを控えていて全くできません。範囲も違うので何を優先して勉強したらいいか分かりません。受験まで時間がないととても焦っています。どうしたら良いでしょうか。

A
優先順位が付けられないのですね。これは大人になってからも必要な技術なので、今のうちから練習して自分のものにしておきましょう。

あれもこれもと頭の中が混乱している時は、まずそれらを全部書き出します。大きなことから小さなことまで全てです。
ノートでもいいですが、付せんやカードなどを使い、1枚につきひとつの課題を書いていく方法がおすすめです。

次に、それらを「重要度」と「緊急度」というふたつの観点から、各々の高低で4つに振り分けます。
1 重要度(髙):緊急度(髙)
2 重要度(低):緊急度(髙)
3 重要度(髙):緊急度(低)
4 重要度(低):緊急度(低い)

振り分けが終わったら、原則として「1→2→3→4」の順で実行に移します。

たとえば、質問にある「1年からの復習」は入試学力検査に必ず出る範囲ですから、重要度は高いです。しかし、今日明日のうちにやらないと手遅れというほどではありませんから、現時点における緊急度は低いです。つまり、「3」に相当するでしょう。
「中間テスト」や「期末テスト」は、調査書の評定に関わってくるという意味で重要度は高いですが、ふだんの緊急度はそれほど高くありません。しかし、テスト1週間前くらいからは緊急度が一気に高まり、「1」に相当することになるでしょう。
このように、常に「重要度」と「緊急度」を基準に優先順位を決めていきます。

やるべきことがたくさんあるのは皆同じです。成果を出せるかどうかは、その時その時で正しく優先順位を付けられるかどうかにかかっています。

 

Q3 私の第一志望の高校は面接があります。面接ではどのようなことを聞かれますか?面接でしっかりこたえられるか不安です。よい対策はありますか?面接官に好印象を持ってもらうには、どうしたらいいですか?

A
まず、高校入試で面接を課す理由から考えてみましょう。

学力は筆記試験や調査書の評定で測ることができるので、そこが目的ではないのは明らかです。では何のためかというと、ズバリ「意欲」を確かめるためです。

「意欲」を確かめるために、通常、次の3つの質問をします。
1 なぜこの学校を選んだか(志望動機)
2 中学時代、何を頑張ったか
3 高校に入って何を頑張りたいか
表現はさまざまでしょうが、大体この3つです。

それ以外の質問はオマケと言っては言い過ぎですが、それほど重要ではないでしょう。3つ以外は「よく分かりません」とか「あまり深く考えたことはありません」と答えても不利にはなりません。

特に重要なのは志望動機です。そして注意して欲しいのは、必ず「なぜならば」とか「その理由は」に相当する言葉を入れることです。

たとえば、「文武両道を目指している学校だからです」では答えとして不十分です。「(なぜならば)そういう環境に身をおくことで自分の成長が図れると考えたからです」と、ここまで言わないと志望理由を答えたことにはなりません。

服装・頭髪、態度・礼儀・言葉遣いなども一応チェックしていると思いますが、まさか金髪に染めて行く人はいないでしょうし、椅子にふんぞり返って受ける人もいないでしょう。
中学校や塾の先生に見てもらいOKであれば、それ以上の心配は無用です。

好印象を持ってもらうにはというお尋ねですが、面接官個人の感想や印象ではなく、統一された客観的基準によって評価しているので、あまりそういうことは考えないほうがいいと思います。
強いて言えば、しっかり練習し準備して行くことでしょう。その熱意と真剣さは伝わると思います。

 

Q4 いろいろな高校の説明会に行きましたが、あまり違いが分かりませんでした。どのようなところに注目して高校を選んだら良いのでしょうか。

A
高校というのは私立でも公立でも法律や規則に基づいて作られているので、共通する部分が多いものです。ですから、「あまり違いが分からない」というのも無理はありません。しかし、そんな中でも各校は個性や特色を出そうと努力しているので、まったく違いがないはずはありません。

違いが分からないのは、たまたまあまり違いのない学校ばかり見てきたからかもしれません。ただ「いろいろな高校の説明会に行きました」とあるので、原因はそこではないでしょう。

教育課程とかカリキュラムって聞いたことがありますか。
中学校だと何年生で何の教科を何時間勉強するかは全員同じです。でも高校は、学校ごとに違うし、極端に言えば一人ひとり違ったりするのです。それを示したのが教育課程やカリキュラムと呼ばれるものです。
今まで説明会に行ってもあまり違いが分からなかった学校の、教育課程やカリキュラムをパンフレットやホームページでもう一度見直してみてください。きっと違いが見つかるでしょう。
授業時間も50分が標準的ですが、45分・55分・60分・65分とさまざまです。1日6時間が一般的ですが、7時間目や8時間目まである学校もあります。土曜日も授業をする学校もあれば、土曜日は休みの学校もあります。

施設設備や部活や学校行事にも学校ごとの違いはありますが、実は一番大きな違い、言い換えれば特色は、授業に現れるのです。学校生活の大半は授業です。そこに注目してもらえば学校ごとの違いや特色が見えてくるでしょう。

 

 Q5 子供が中学3年生の保護者です。いよいよ受験勉強に取り組み始め、本人は学校や塾で勉強していますが親は何をすべきですか?この時期から試験までの間の流れを教えていただきたいです。

A
ご家庭の状況や親子の関係はさまざまなので、唯一の正解はありません。そのうえで一般論としてお答えします。

まず勉強についてですが、これは本人まかせ、学校や塾まかせでいいでしょう。学校で学ぶ内容も入試の出題傾向も親世代とは違っていますから、余計な手出しは無用です。
強いて言えば、栄養バランスを考えた食事を作ってあげることです。脳も身体の一部ですから栄養補給しないと働きません。これは親にしかできない強力なサポートです。

次に学校選びですが、これについては一緒に考えてあげてください。もちろん最終的には本人の意志を尊重するわけですが、志望校決定までのプロセスにおいて親の「伴走」は必要でしょう。

保護者の皆さんもすでにご存知かもしれませんが、近年さまざまな場面で「伴走型支援」ということが言われています。もともとは社会的孤立を防ぐため、つながり続けることを目的とした支援の在り方を言いますが、受験においても親の「伴走型支援」は必要であり有効だと思います。

ブラインドランナー(視覚障がい者)のマラソンには伴走者が付きます。ランナーと伴走者は「きずな」と呼ばれるロープでつながっています。伴走者は常にランナーを注意深く観察し、相手に合わせるよう気遣います。ランナーより先に出て引っ張ることはしません。ランナーが何を不自由に思うか、何に不安を感じているかを想像しながら声をかけます。

口ではどう言っていようが受験生はみんな不安なのです。「きずな」が大切です。伴走者としてずっと寄り添ってあげてください。

(回答者 教育ジャーナリスト 梅野弘之)

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