A
この時期、こんな質問が来るとは思いませんでした。定期テストと調査書(いわゆる内申書)の関係を知らない受験生がいるとは信じられません。
ただ、知っていたら定期テストに全力集中したかというと、たぶんしなかったでしょう。本当は知っていたのではありませんか。知らなかったことをサボりの言い訳にしているだけなのではありませんか。
こういう態度は今のうちに改めたほうがいいですよ。大人にもいるんです、知らなかったと言い逃れしようとする人が。でも、それは世の中では通りません。知らなかったら自分で調べればいいし、人に聞けばいいのです。
「最近になって焦りを感じています」とありますが、今まで真剣に努力してきた人から見れば自業自得というもので、まったく同情の余地はありません。
あなたに必要なのは、知らないと気づいた時点から、知るための努力をすることです。知らないということ自体は恥でもなければ罪でもありません。それをそのままにしておくことが恥ずかしいことなのです。
ですから、今さらとは言わず、入試の制度や仕組みについて調べてください。
ここで言う制度や仕組みというのは、いわばルールです。ルールを知らないとゲームに参加できません。それによって初めて受験というレースへの参加権が得られます。
「受験をどうすればいいですか」の答は、あなたは客観的に見て、まだ受験生になっていないので、1日も早く、いや1分1秒でも早く受験生となってくださいということになります。
A
不安を感じているなら考え直したほうがいいと思います。
部活を午後7時に終わって家に着くのは午後9時、翌朝5時に起きて6時に家を出て8時に学校に着くとすれば、家にいるのは8時間。ここから睡眠時間や食事・風呂などの生活時間を除くと残りは1時間。普通に考えて家庭での勉強時間は不足します。
一般的に、通学所要時間で多いのは「30分~1時間」または「1時間~1時間半」、次いで「30分以内」といったところで、2時間となるときわめて少数となりますが、まったくいないわけではありません。
比較的近いところに通える高校があるにもかかわらず、あえて遠くの高校を選ぶ人には明確な理由があります。たとえば、どうしても入りたい部活があったりするような場合です。また、学びたい内容がその学校にしかないというような場合もあるかもしれません。そういう人は、ある意味覚悟の上の選択なので長時間通学にくじけず3年間やっていけると思います。ただ、入学したい動機がそこまで強くないと辛い学校生活になりそうです。
冒頭、考え直したほうがいいと述べましたが、やめたほうがいいというわけではありません。あなたが、いま目指している学校にどうしても行きたいのなら可能性を追求してみましょう。
もし機会が得られるなら、その高校の先生に思いをぶつけ、相談してみるのがいいと思います。きっといろいろなケースをご存知なので有益なアドバイスがもらえると思います。
A
毎日勉強しているのに結果が現れないのは、勉強の絶対量が不足しているか、やり方に不適切な点があるからでしょう。そのあたりの見直しが必要です。
そこであなたに提案です。
たとえば定期考査や模試を受けた後、ただ数字(点数や偏差値)だけを見て終わらせていませんか。大事なのは分析です。別の言い方をすれば得点に至らなかった原因の究明です。
多くの問題は、複数の知識があってはじめて正解できるような「仕かけ」になっています。たったひとつの知識が欠けているだけで正解できないこともあります。そこで、「なぜ得点に至らなかったか、自分の知識に何が欠けていたか」を究明し、その知識を補えば、その時点で一歩前進したことになります。
過去問練習にも同じようなことが言えます。よく誤解する人がいますが、過去問をやって答え合わせをした段階は、まだ受験勉強にはなっていません。ここは準備の段階です。スポーツで言えばウォーミングアップしただけなので、ここから本当の練習に入って行かなければなりません。
模試の際と同様、ここでも得点できなった原因を探り当て、必要な知識を補います。そしてもう一度解いてみます。これが受験勉強です。
心強いのは「毎日勉強している」という点です。やる気がないわけでもなく、あきらめているわけでもないので、本番ではいい結果を得られるでしょう。
A
「しっかり事前に練習しておこうと思います」とありますが、この姿勢がもっとも重要であり、この気持ちさえあれば大丈夫です。あなたはきっとうまくいきます。
筆者はその昔、高校教員として面接官の経験があります。中にはうまく答えられない人もいますが、練習して来なかったためなのか、あがってしまったためなのかはすぐに見抜けます。
「あがる」などというのは、高校に入っていろいろ経験していけば克服できることなので、そんなことは気にしません。だから、あがってしまったためにうまく答えられない人に悪い点数をつけることはありません。
面接で聞かれるのは主に次の内容です。(1)なぜこの学校を選んだのか(志望動機)(2)どんな高校生活を送りたいか(3)中学校時代何を頑張ってきたか、などです。
言葉は学校により、また面接官により多少異なるとは思いますが、ほぼこの三つと考えていいので、これらについては事前に回答を用意しておきましょう。
入退室や礼の仕方など形式的なことも、中学校や塾の先生にお願いして練習しておいたほうがいいでしょう。それ自体は評価の対象ではありませんが、しっかり準備して臨んでいることが伝われば、少しばかり手順を誤ったりしても全体としては良い印象になるでしょう。
その学校のパンフレットやホームページは隅々まで読んでおきましょう。それらの内容について細かく質問されることはありませんが、本当に入りたいのなら、その程度の努力を惜しんではいけません。
A
教育学や心理学の専門家の先生によると、子供のやる気を失くさせる最大の言葉が「勉強しなさい」なのだそうです。だとすれば、これまでやる気を奪う言葉を投げ続けてきたわけで、お子さんがますます勉強しなくなるのも無理はありません。
質問者様は、おそらく勉強が好きだったのでしょう。誰にも言われず自主的に勉強に励まれたのですね。そういう方からすれば、勉強したがらない人の気持ちが分からないのかもしれません。でも、誰にも言われず自主的に勉強する人なんてむしろ少数派です。
勉強には動機が必要です。とりあえずここでは「やる気」と考えることにしましょう。
そのためにはまず、家にいるとホッとする、安らぐという状況を作りましょう。気を張らずダラダラできるのはわが家だけです。
次に、親・兄弟は仲良く暮らしましょう。困ったときに最後まで助け合えるのは家族です。そして親は子の良いところを認めましょう。誰から批難されようとも親だけは最後まで認め、守ります。
と、一見勉強とは無関係な話をしているようですが、人はこうした欲求を満たされた後に、目標に向かって頑張ろうという気持ちになるのです。大人だって、不安だらけの中でやる気なんて出ませんね。
勉強しない原因が家庭や保護者にあると言いたいのではありません。これから本番に向けて受験生はますます不安になります。だったら勉強すればいいだろうとなりそうですが、不安があるから勉強に身が入らないということもあるわけです。
(回答者 教育ジャーナリスト 梅野弘之)
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