いよいよ令和7年度入試本番、志望校決定の時期となった。
12月下旬から1月上旬に開始されるインターネット等を利用した私立高校の出願、1月27日からインターネットでの公立高校への出願から、3月6日の合格発表まで、2か月を超える高校入試が開始される。
5類になったとはいえ新型コロナの脅威が続き、インフルエンザが流行している。健康に留意すること、強い気持ちで志望校を選択すること、本気で勉強に集中できるかなどが、受験期を乗り越えるためのポイントになるだろう。
今月号では、既報もあるが、現時点のチェックポイントをまとめた。
9月末に来春の卒業予定者の進路希望調査が実施されたが、公立高校志望の皆さんの希望校の倍率はどうだったろうか。思いもかけない高倍率に驚いている人がいるかもしれない。※1
しかし、まだ漠然とした時点での調査のため驚く必要はない。
進路希望調査はもう1回、12月第2週に実施される。1月上旬に新聞発表される予定だ。
この時点では多くの私学の個別相談も終盤となり、志望校も固まってくるため、この12月の進路先調査の内容は、受験生の動向を見る重要資料となる。
前年度は、この時点で公立を志望した人が実際に公立を受験した割合は、およそ99%になっていた。
ただし公立高校は1月27日から2月10日までがインターネットでの出願期間のため、冬休み中の学習の成果や、通知書の内容を確認してから受検校の最終決定ができることに留意しておきたい。
■※1 「令和7年3月の中学校卒業予定者の進路希望調査10月1日付」について、詳しくはこちら:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県「進路希望調査結果(10月1日現在)」発表-市立川越3.56倍など
公立高校の入試問題の出題範囲は「中学校の3年間で学習した内容」とされている。また、各学年の内容がまんべんなく出題されることも特徴となる。
これから冬休み期間中に、過去の入試問題(過去問)に挑戦してみよう。
ただし、令和2年に新型コロナの関係で、公・私立高校の入試では、3学年後半の単元の多くが出題範囲から削除された。
令和3年度入試の問題を紐解く場合には、このことに注意が必要となる。
また、皆さんは、新しい学習指導要領の施行にあわせて教科書が改訂され、数学や英語などで、それまでになかった単元を学んでいる。4年度入試以降の入試問題は、少し単元内容や出題方法が変わっていることにも注意が必要だ。
数学では、中1の時に「累積度数・累積相対度数」、中2で「箱ひげ算」「四分位数・四分位範囲」「反例」などが加わった。英語では単語数が増加するとともに「感嘆文」「仮定法」「原形不定詞」「現在完了進行形」、理科では、「ダニエル電池の実験」が加わった。
中学1年次の教科書からこれらの内容を確認しておいてほしい。
各教科の知識・理解は無論だが、それに加えて思考力・判断力・表現力などの力を見る出題があることにも注意が必要だ。
このため「資料文の提示」や「対話形式での出題」「自分の言葉で説明する」といった形式が増えてくるかもしれない。
私立入試でも県の出題範囲に準拠する学校は多いことにも要注意だ。
したがって、中学3年次に学んだ内容の復習は無論だが、教科書中心に中学1・2年生の内容も見直しておきたい。
また、公立・私立ともに過去数年の入試問題を繰り返し解いてみることは参考になる。
同じ問題は出題されないし、新しい分野が加わる可能性はあるが、入試の出題方法や難易度に変化はないはずだ。
11月号でも述べたが、埼玉県の公立中学校の校長先生方の会が進路指導の指針として、
①1・2年生の各教科の評定について、生徒・保護者から希望があれば伝えても良いこと。
②12月の中旬以降、本人からの3年次の調査書の評定の問い合わせには、口頭で伝えても良いこと。
③12月の最終授業日から2月3日の間に、調査書と同じ内容の「成績及び諸活動等の記録通知書」を保護者に通知すること。
などを各中学校に連絡した。受験する高校へ提出される調査書の内容は「通知書」で2月3日まで確認できるようになっているのだ。
公立の志望者は、それを確認した上で最終志願先を決定できる。
調査書の「各教科の評定」は、入試で大きなウエイトを占めるが、各高校の選抜の基準は発表されており、評定による得点のウエイトは学校ごとに異なる。※2
さらに、各教科の評定は入試得点と合算され、特別活動などの得点を加算し、総合得点で合否が決定される。
このため、各教科の評定合計の多少の差は入試得点でカバーすることができることになる。
皆さんがこれから心掛けることは、5教科の実力アップ、得点力の強化だ。
■※2 調査書について、こちらで概要(得点化など)が分かります:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高「各高校の選抜基準」を発表-令和7年度
私立高校の推薦の出願まで6週間、公立の出願までも2か月を切った。
これから、冬休み期間中を含めて皆さんにやってほしいことは、計画を立てて、それを実行することだ。
苦手とする教科を中心としても良いし、得意教科をさらに強めるのも良いと思う。
また、1年生からの教科書やノートを見返すのも良い。
入試までの期間、しっかりと計画して、実行できたなら、それは、これからの自信に繋がるに違いない。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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