公立高校 令和7年度入試の結果から8年度入試を臨む①
連休があけて、中学3年生は令和8年度入試に向けて本格的に始動する時節が到来した。
令和8年4月から、県立高校の統合再編により6校の新校が誕生する。
誕生する新校では、グローバルな人材育成を目指す国際系の学科、アニメーションやロボット工学系などの斬新な学科の新設が予定されている。
現在の3年生が受験する8年度入試では、調査書の変更以外は今春とあまり変化がないと見られる。
今号と次号の2回にわたり、7年度の公立入試を振り返りながら、8年度入試への対策を探っていく。
連休が明けて、中学3年生は令和8年度入試に向けて本格的に始動する時節が到来した。
8年度入試は、現在中学2年生が受験する9年度の大きな入試改革の準備期間にあたり、選抜基準に変化がありそうだ。
また、国の就学支援金が見直す論議が国会で進められている。7年度入学生から公私立進学者の世帯上限額が廃止される見込みだ。
令和8年4月には、県立高校の統合再編により6校の新校が誕生する。※1
■※1 「新校6校」の分かりやすい資料はこちら:よみうり進学メディア
埼玉県公立高校「新たな県立高校6校の校名アイデア募集」-2024年6月
令和7年度の公立高校(全日制)入試の大きな変更点は、出願が電子出願システムとなったことだ。合格発表も、これまでの掲示とインターネットを使用したものから、インターネットでの発表になっている。※2
また出願日程は、1月27日から2月10日までと期間が長くなった。
■※2 昨年度(2025年度)の「インターネット出願」資料はこちら:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高校「インターネット出願について」まとめ-令和7年度
7年度の公立高校・全日制の募集人員は、7年3月の卒業予定者が280人程度減少するため、3学級120人減の3万5,001人(転編入枠240人、公立一貫校の内部生を除く)となった。
これに対し、出願は3万8,854人となった。
12月の進路希望調査での公立希望者は3万9558人、98.2%が出願したことになる。出願倍率(出願者÷募集人員)は1.11倍で、前年より0.02低下した。※3
志願先変更では、971人が志願を取り消し、確定倍率は1.10倍となった。出願最終日の2月10日は、都内私学の一般入試開始日にあたるため、都内私立高校合格者が公立志願を取り消したものと見られる。
また、受験当日の欠席者が92人、確定から当日までの志願取り消し者が116人出て、受検倍率は、1.10倍だった。
合格発表では、転編入枠を含め、募集人員を上回る合格者を出す学校もあったが、実質倍率は、1.16倍(実受験者数÷合格者数)となっていた。※4
7年度入試の不合格者は、5,225人だった。前年の5,069人の不合格者より多くなっており、人気校の入試の厳しさは継続している。
■※3 昨年度(2025年度)の「12月進路希望調査」詳しくはこちら:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県「進路希望調査結果(12月15日現在)」発表-川口市立2.43倍など
■※4 昨年度(2025年度)の「合格発表時の倍率」詳しくはこちら:よみうり進学メディア
〈2025年度入試〉埼玉県 公立高校合格おめでとう「合格者数・各校倍率」-令和7年度
令和8年度の入試は、ほぼ前年に準じた日程で実施される。※5
また、9年度入試から調査書様式が大きく変更になり、入試選抜自体が新しい方式に変更される。
8年度入試ではそのための移行措置として、調査書内で「特別活動」の欄に記載されていた部活動の記録が「その他」の欄に移行し、部活動・特技・取得資格・スポーツ活動・文化活動・ボランティア活動等と一緒になる。また、部活動等の実績で与えられていた得点は、部活動が段階的に地域連携・地域移行をすることになったため、各学校の選抜基準で見直される。
記入欄は変わるが、部活動の参加や実績などが軽視されることになったわけではないようだ。※6
例年、募集定員は6月に、各学校の入試選抜基準や選抜要項などは7月中旬頃に発表される。
来春の入試に臨む公立中学校卒業予定者は、およそ5万8,000人で,前年から660人程度減少する見込みだ(令和6年度学校便覧)。
全日制の募集人員はそれに伴い10学級程度減少すると見られる。
埼玉県の「魅力ある県立高校づくり」の第2期計画では、8年4月に、和光国際と和光、岩槻と岩槻北陵、秩父と皆野、越生と鳩山、八潮南と八潮、大宮工業と浦和工業の統合により新校が開校される。
新校では、伝統文化を継承する秩父新校の国際教養科、グローバルな国際人の育成を目指す和光国際新校の国際科、アニメーションと美術の融合を目指す越生翔桜の美術表現科、先端産業分野で大宮科学技術のロボット工学科などの新しい学科が誕生する。
■※5 「令和8年度 埼玉県公立高校入試日程」についてはこちら:よみうり進学メディア
〈2026年度入試〉埼玉県 公立高「入学者選抜の日程」-令和8年度
■※6 「令和8年度 埼玉県公立高校調査書の一部変更」についてはこちら:よみうり進学メディア
<2026年度入試>埼玉県公立「調査書の一部変更」-令和8年度
入試選抜は、調査書の評定と特記事項、学力検査の得点の総合評価(合計得点)で行われる。
7年度入試の学力検査の平均点は(内6年度)
国語63.4(58.1)
数学52.3(51.7)
英語43.6(53.4)
社会65.6(65.7)
理科64.8(51.6)
学校選択問題では
数学44.8(50.2)
英語57.0(54.8)
となっていた。
5教科合計では289.7点、前年より9.2点上昇した。学力検査問題では、英語が前年より9.8点下がり、理科が12.8点上昇した。
学校選択問題では、数学が5.4点下がっていた。学校選択問題だけではなく、平均点の低い教科には難しい問題が含まれていたようだ。それらの難問まで含めて中学校での学習範囲であり、高校での学習は、そこからの積み重ねとなる。※7
令和8年度入試に臨む際のポイントは、得点力を高めるための計画や努力、評定を確保するために定期テストを頑張ること、部活や検定取得、学校行事等への積極的な参加などとなる。
各教科の評定の基となる観点別評価は、全教科「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点となる。
すべての観点がA~Cで評価され、それを基に評定が決まることになる。
定期考査の結果はもちろんだが、日々の授業態度や積極的に授業に臨む姿勢、考えて発表する内容、提出物などが大きなウェィトを占める。
連休が明け、いよいよ受験を意識する時期となった。進学相談会への参加など、早めのスタートで志望する高校と出会ってほしい。
■※7 昨年度(令和7年度)の公立高校「学力検査問題/学校選択問題 平均点」について詳しくはこちら:よみうり進学メディア
埼玉県 公立高校「2025年度入学者選抜実施状況(平均点など)」-令和7年度
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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