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入試情報
2025.12.5

〈2026年度入試〉受験生Q&A 「志望校の倍率が2倍と聞いて不安です」ほか

Q1
志望している公立高校の倍率が2倍ぐらいと知り、不安で仕方ないです。合格は厳しいでしょうか。この高校で部活を頑張りたいと思っているのですが…。

 

A
志望校の倍率が2倍と知ったら焦りますね。逃げ出したくなります。ですが、まず冷静になってもらいたいのは、倍率は合否を直接決めるものではないということです。

倍率は「募集人数に対する出願者数」を示すデータに過ぎません。合否を決めるのは、当日のあなたの「学力検査得点」と「調査書(内申点)得点」です。

倍率が2倍だろうが3倍だろうが、それによってあなたの当日の戦い方や、それまでの準備の仕方は変わらないはずです。仮に2倍だった倍率が1.8倍に下がったとして、気分的に少し楽になることはあっても、試験問題への取り組み方が変わるわけではありません。倍率より大事なのは、あなたが合格に必要な点数を取れるかどうかなのです。

合否を分けるのは、ほとんどの場合、基礎・基本的な問題でいかに失点を防ぐかです。漢字、計算、基本構文など、「確実に点数を取れる問題」を徹底的に固めましょう。基礎を磐石(ばんじゃく)にすることが、合格への最短ルートです。

過去数年分の入試データから、合格者平均点や最低合格点が分かれば、現在の自分の成績と比較してください。どの教科で何点伸ばす必要があるかを明確にすることで、不安を「やるべきこと」に変えてください。

「この高校で部活を頑張りたい」という強い目標は、受験勉強を乗り切る最高の原動力になります。それはスランプを乗り越える力、辛い勉強を続ける大きな力になります。志望校での未来の高校生活を具体的にイメージし、それを目の前の参考書に向かうエネルギーに変えてください。

 

Q2
入試本番で頭が真っ白になって、実力が発揮できなかったらどうしようと怖いです。今からできる対策を教えてください。

 

A
これは多くの受験生が抱える、最も切実な悩みのひとつです。それだけ真剣に、そして真面目に努力を重ねてきた証拠でしょう。
ただ、人は適度なプレッシャーがかかった状況の方が実力を発揮しやすいという説もありますから、緊張は完全に排除しようとせず、上手く付き合ったほうがいいかもしれません。

本番でのプレッシャーを乗り越えるためのひとつの方法は、本番を再現してみることです。つまりシミュレーションですね。
たとえば、過去問を解く際は、必ず本番と同じ時間帯、同じ休憩時間を設定し、使用する筆記用具も本番と同じものを使ってみる、などです。

さらに「国語では最初にこの大問から取りかかる」とか、「開始3分以内で全問題に一通り目を通してから解き始める」とか、行動ルールを決めておき、普段の問題演習でもその通りにやります。 ルールを決めて、その通りに練習しておくと、もし緊張で思考が停止しても、体が次の行動を覚えていて、無意識に正しい動作を再開することができます。

本番での緊張や焦りをその場でリセットする方法を、今のうちからルーティン化しておくのもいいでしょう。

試験開始直前や問題が解けないと感じたときは、すぐに深呼吸をしてください。ゆっくり吸ってゆっくり吐くと心拍数が落ち着き、脳に酸素が送られて冷静さを取り戻せるといいます。

本番の緊張は、あなたが真剣に、そして努力を積み重ねてきた証です。緊張を敵と見なすのではなく「最高の集中力を発揮するためのスイッチ」だと捉えましょう。

 

Q3
模試の偏差値が横ばいです。基礎の復習に戻るべきか、応用問題の練習を繰り返すか、いま何をすれば効率的に成績を上げられるのでしょうか。

 

A
模試の偏差値が横ばいの時期は、努力が報われていないように感じ、焦りや不安が最も大きくなるタイミングです。しかし、これは「停滞」ではなく、次のステップに進むための「基礎固めの完成期」である可能性が高いです。

成績を効率的に伸ばし、偏差値を一段階引き上げるための鍵は、「基礎の徹底」と「問題のパターン分析」にあります。まずは闇雲(やみくも)に応用問題に手を出す前に、土台を強固にすることが最短ルートです。
偏差値が伸び悩むと応用問題への対応に目が向きがちになります。しかし、実際に入試で出される問題のほとんどは教科書レベルの基礎知識と基本的な計算力や読解力で解ける問題です。

数学であれば、複雑な応用問題に長い時間をかけるより、計算ミスをゼロにする練習に時間をかける方が、はるかに得点アップにつながります。
英語であれば、難しい長文を読むより、頻出単語と基本文法を完璧に暗記し、取りこぼしをなくす方が効率的です。

基礎の復習とは「簡単な問題を繰り返すこと」ではなく、「絶対に落とさない問題」を1問でも増やすための作業だと捉え直してください。

模試や過去問で間違えた問題は「なぜ間違えたのか」をパターンに分けて分析し、今後の学習に活かしましょう。単純に知識が足りなかったのか、理解が不十分だったのか、不注意によるミスだったのか。原因により対策は異なります。

偏差値は基礎を強化することで確実に上がります。そのうえで、応用力をつければ飛躍的に上がります。その時期は必ず訪れます。

 

Q4
私立まで1か月半、公立まで2か月半と迫り、やることが山積みでパニックです。過去問、苦手単元の復習、理・社の一問一答など、どれも手を付けたくなりますが、時間が足りません。残りの期間、何を優先するのが良いでしょうか?

 

A
私立・公立入試が目前に迫り、「やることが山積みでパニックになっている」という状況、受験生にとって最も精神的に追い込まれる時期ですね。しかし、この時期は誰もが同じような不安を感じているものです。

大切なのは、すべてに手を出そうとせず、残りの時間で最も得点に直結する分野に絞り込んで集中することです。残りの期間をいくつかのステージに分けて、具体的な優先順位を明確にしましょう。
一般に私立入試の方が日程的に早いので、それまでは基礎力の総点検と、失点を防ぐ対策に全力を注ぎます。

近年は思考力・判断力等を問う問題が増えていると言われますが、その前提となるのはやはり基礎知識です。
そう考えれば、用語などの知識が求められる理科や社会は「やればやるだけ点になる」得点源です。英語や国語の単語、熟語、漢字なども同様です。
私立入試が迫ったら、時間をかけても急には成果が出にくい国語・英語の長文読解問題や、数学の応用問題に深入りするのはいったんストップしましょう。

私立入試が終わり公立入試までは「得点の高い問題の対策」に力を入れましょう。
過去問や模試の結果を見て、「あと少しで解けたはずの問題」は必ず復習しておきます。この作業は得点アップに直結します。

直前期は「完璧を目指す」よりも「取れる問題を確実に取る」という現実的な戦略が重要です。難問を解くより「失点防止」に努めたほうが合格に近づきます。

 

Q5
高校入試で欠席日数はどれくらい合否に影響があるのでしょうか。実は中学1年生と2年生の時、体調不良で欠席が多くなってしまいました。現在は頑張って皆勤を続けていますが、不利になるのではないかと不安です。

 

A
欠席日数の影響は限定的です。当日の学力検査に全力を注ぎましょう
中学1・2年生の頃に体調不良で欠席が多かったとのこと、大変だったと思いますが、現在、皆勤を続けているのは素晴らしいことです。その努力は必ず報われます。

高校入試において、欠席日数が合否に決定的な影響を及ぼすことは極めて稀(まれ)です。不安に感じる時間を、学力向上に使う方が圧倒的に有効です。

高校入試における合否判定は、主に「学力検査の得点」と「調査書(内申書)の点数」の総合点で決まります。一般的には学力検査の得点が割合として半分以上を占めています。
欠席日数の多さが直接的にマイナス評価に直結し、それが原因で不合格になるケースはほぼ無いと言っていいので心配し過ぎないでください。
現在、中学3年生で皆勤を続けていることは、大きなプラス評価につながる可能性もあります。「過去は体調に不安があったが、現在は自己管理能力が向上し、改善の努力をしている」と判断することができるからです。

この時期に最も大切な「今できること」に集中し、自己管理を徹底することです。規則正しい睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を続けることは、学力向上に直結するだけでなく、皆勤を続けるための土台にもなります。

近年は生徒の多様な活動や意欲を重視する観点から、調査書から出欠状況に関する詳細な記載欄がなくなりつつあります。
もともと出欠の記入欄がない都道府県も存在し、これにより、欠席日数そのものが合否に与える影響は、今後さらに小さくなっていくと考えられます。

 

(回答者 教育ジャーナリスト 梅野弘之)

 

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