
令和9年度(2027年度)入試戦線が幕を開けました。
遠い先のように思われますが、私立入試まではあと約8か月、公立入試まではあと約9か月と1年を切っています。
ここ数年、受験生の動きも、学校側の動きも少しずつ早まっています。
すでに1月から3月にかけて説明会を開いた学校もあり、多くの受験生(その時点では2年生)が集まりました。5月の連休明けにも多くの学校が説明会や授業公開などを開催します。
皆さんも今すぐ行動を起しましょう。
埼玉県の公立高校入試は、現在の中学3年生が受検する令和9年度入試から、大きく姿を変えます。これまでの仕組みが見直される「入試改革」の年となり、受検生に求められる力も、これまで以上に多様になります。まずは、何がどのように変わるのか、その全体像を正しく理解しておくことが重要です。
今回の改革で最も大きなポイントのひとつが「面接」と「自己評価資料」が導入されることです。これまでは一部の学校でのみ実施されていた面接が、すべての受検生に課されることになります。さらに、自分の中学校での活動や努力してきたことを自ら記入する「自己評価資料」の提出も、全員に求められます。これは、単に学力検査の得点だけでなく、「自分の考えを伝える力」や「自分自身をどのように表現できるか」といった力が、合否に関わることを意味しています。
次に、「調査書(内申書)」の形も大きく変わります。
これまで記載されていた部活動や生徒会活動などの「特別活動の記録」、そして出欠の状況などは調査書から削除され、評価の中心は9教科の5段階評定に絞られます。
その代わりに、これらの活動実績は自己評価資料に記入し、面接の場で自分の言葉で伝えることが求められます。いわば「書かれて評価される」から「自分で語って評価される」仕組みへと移行するのです。
選抜方法も整理され、「共通選抜」と「特色選抜」のふたつに分かれます。
共通選抜は、すべての受検生が同じ条件で受ける基本的な選抜であり、従来の学力検査を中心とした枠組みに近いものです。
一方で特色選抜では、各高校が独自に選抜基準を設定することができます。特定の教科の配点を高くする「傾斜配点」や、実技検査、小論文などが実施される可能性があります。
したがって、自分の志望校がどのような選抜を行うのかを事前に把握し、それに応じた対策を講じることが不可欠です。各校の選抜基準は昨年(令和7年)12月に暫定版が発表されていますが、5月中には確定版が公表される予定ですので、必ず確認するようにしてください。
さらに、学力検査の形式も変わります。新制度では、解答方法の中心がマークシート方式となり、全体の約9割がマーク式、約1割が記述式となります。
また、これまで国語で出題されていた作文は、学力検査では出題されなくなります。
マークシート方式では、正確さとスピードが求められます。知識があっても、マークミスをしてしまえば得点にはつながりません。日ごろの学習の中で解答の正確性を高めるとともに、時間内に処理する力を意識していくことが大切です。
このように、令和9年度入試は、制度の面でも評価の観点でも大きな転換点となります。しかしながら、どれほど仕組みが変わっても「日々の授業を大切にし、基礎学力を着実に身につける」という本質は変わりません。むしろ、基礎がしっかりしているからこそ、面接でも自信を持って話すことができ、自己評価資料にも説得力が生まれます。
新しい入試制度に対して、不安や戸惑いを感じることもあるかもしれません。しかし、早い段階で正確な情報を知り、準備を始めることで、その不安は大きく軽減されます。
変化を正しく理解し、自分に必要な対策を一つひとつ積み重ねていくことが、合格への最短ルートとなるのです。
公立入試を目指す受検生にとって、最も重要なのは、埼玉県教育委員会から発表される「公式情報」を正確に把握することです。入試は情報戦とも言われますが、その土台となるのは、誰でも入手できる一次情報です。ここを押さえずに対策を立てることはできません。
まず4月には、前年度入試のまとめである「入試実施状況(確定版)」が発表されます。ここで注目すべきは平均点です。どの教科が難しかったのか、どの程度の得点が求められるのかを知ることで、自分の目標点が見えてきます。
■4月に発表された「入試実施状況(確定版)」についてはこちら:よみうり進学メディア
埼玉県 公立高校「2026年度入学者選抜実施状況(平均点など)」-令和8年度
5月には、「出題の基本方針」と「入学者選抜実施要項・要領」、そして「各学校の選抜基準」が発表されます。
出題の基本方針では、出題範囲などが示されます。令和9年度は入試改革の年ですが、出題方針自体は大きくは変わらないとされています。ただし、マークシート方式の導入など、解き方に関わる変更があるため、必ず確認が必要です。
また、「各学校の選抜基準」は極めて重要です。
学力検査、調査書、面接などの配点比率は学校ごとに異なります。「当日の5教科学力検査点重視」なのか「調査書重視」なのかを知ることで、対策としてどこに力を入れるべきかがはっきりします。
6月には「生徒募集人員一覧」が発表されます。募集人数の増減は倍率に直結するため、志望校選びにも影響します。募集人員の総数はその年度の中学校卒業生数に合わせて調整されています。今年度の中学校卒業予定者数は前年度に比べ少ないので、多くの学校で定員減が実施されることになりそうです。
そして、10月末と1月上旬には「進路希望状況調査」の結果が発表されます。
皆さんはここで初めて各高校の倍率を目にすることになります。1回目の発表は夏休み後の9月調査の結果なので、人気校の倍率は高めに出る傾向がありますが、1月の発表では本番に近い倍率となるのが例年の傾向です。
(注:発表時期は過去実績に基づいているため、実際の発表時期は前後する可能性もあります)
入試に必要な情報は、こうした公式発表だけではありません。むしろ、受検生の差がつくのは「自分で動いて得る情報」です。進学イベントや学校説明会、個別相談会には、ぜひ積極的に参加してください。
説明会では、パンフレットだけでは分からない学校の雰囲気や先生方の考え方を直接知ることができます。また、個別相談では、自分の成績状況を踏まえた具体的なアドバイスを受けられることもあります。こうした情報は、志望校選びや学習方針の決定に大きく役立ちます。
さらに、文化祭や体育祭といった学校行事に足を運ぶことも有効です。在校生の様子や学校の空気感は、実際に見てみなければ分かりません。6月実施の学校もありますが、多くの学校(普通科の場合)は9月上旬に行われ、一般公開されます。
また、一部の高校では土曜授業を公開している場合もあり、普段の授業の様子を知る貴重な機会となります。
インターネットや資料だけでは見えてこない「生の情報」に触れることで、「この学校で3年間過ごしたいかどうか」を具体的にイメージできるようになります。これは、最終的な志望校決定において非常に重要な視点です。
大切なのは、集めた情報をそのままにせず、自分なりに整理することです。公式情報で入試制度や配点を理解し、現地で得た情報で学校の特徴や雰囲気をつかむ。この両方を組み合わせることで、初めて実践的な受検戦略が見えてきます。
情報は、早く知るほど有利になります。受け身で待つのではなく、自ら動いて集める姿勢を大切にしてください。それが、納得のいく進路選択につながっていきます。
(よみうり進学メディア編集部)
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