読者の皆さんから「大学進学実績の見方を教えてほしい」という質問がよく寄せられます。そこで今回は、そのことについて考えてみることにします。
MARCHって何のこと?
学校案内やホームページを見ると、「東大何名」、「国公立何名」、あるいは「早慶上智何名」、「MARCH何名」といった文字が踊っています。そこでまず、この点から説明して行きます。
東京大学は日本の大学の最高峰ですから、そこに何人の合格者を出したかは各高校のレベルの高さを表す指標になります。東大のほか北海道大・東北大・名古屋大・京都大・大阪大・九州大は戦前は帝国大学と呼ばれており、現在でも旧帝大と称され難関大学の象徴となっています。東京工業大学と一橋大学もこれらに勝るとも劣らない難関です。
国公立大学は、一般的に言って私立より入試科目数が多いので、その意味では難関と言えます。また、入試の仕組み上、一人の受験生が複数の大学や学部を受けることができず、合格件数≒合格人数とみなされることから、各高校は自校のレベルの高さをアピールするため、国公立合格件数をよく用います。
私立の中では早稲田大・慶應義塾大・上智大が最難関と言われています。特に早稲田と慶應は難関中の難関で、入試科目数は少ないですが国公立以上の難関と言えます。この人数が多ければ多いほどレベルの高い高校と言えますが、私立の場合、入試の仕組み上、一人の受験生が複数の大学・学部の合格を勝ち取ることができるので、合格件数と実際の合格者数が一致しないことがあります。たとえば「早稲田1、慶應1、上智1」と発表されていても、実際には一人の受験生の結果ということも有り得るのです。
MARCHは、明治大学(M)、青山学院大学(A)、立教大学(R)、中央大学(C)、法政大学(H)の5大学をまとめた言い方で「マーチ」と言います。これに学習院大学(G)を加え、「G・MARCH(ジー・マーチ)」と言うこともあります。
ここで注意したいのは、あくまでも分かりやすい指標としてMARCHとまとめているだけで、それ以外にも難関と呼ばれる私立はたくさんあります。
たとえば東京理科大学です。ここまで名前を挙げた大学は、文系理系を網羅した総合大学ですが、東京理科大はその名の示すとおり理系だけの大学です。それもあって、ここまでの分類に出てきませんでしたが、「早慶上理」と呼ぶ場合もあるほどの難関です。
できれば現役で受かりたい
合格件数は、高校3年で合格すれば現役、1年間予備校などに通った後に合格すれば浪人とカウントされます。
予備校代など費用を考えれば、当然ながら現役で合格するのがベターなので、受験生本人も学校も現役での合格を第一に考えます。
ただ一方で、たとえ浪人しても第一希望を目指すべきという考え方もあり、いくつかの学校の合格を蹴って、あえて浪人の道を選ぶ人もいます。
どちらがいいかは判断しかねるところですが、一応合格実績を見る場合は、現役と浪人の内訳も見ておくといいでしょう。
卒業生数にも注目
大学合格件数を見る場合、その学校の卒業生数にも目を向けましょう。
規模の大きな学校は、その分だけ合格件数が大きくなる可能性があります。
合格件数を分子、卒業生数を分母とすれば割合が出ます。そういう見方も必要だということです。
それと、中高一貫校の場合、内進生(内部進学者)と高入生(高校からの入学者)の別も見ておいたほうがいいでしょう。
(教育ジャーナリスト梅野弘之)