令和3年度の高校入試では公立高の志願確定者数が前年度比2,088人減の1.09倍で過去最低倍率を記録。私立高の応募者数は1月に発表された中間応募状況によると前年度比6,064人増で4.16倍となりました。
近年、私立高の学費に対する補助金制度によって、私立志向公立離れが進行していましたが、コロナ禍によりさらに私立高志望者が増加したようです。しかし、私立高入試の中でもさまざま特徴がみられました。どのような特徴があったのでしょうか。
安全志向で難関校は敬遠傾向
第一の特徴が一般入試で難関校の応募減が目立ったことです。慶應義塾志木が161人12.7%減、立教新座208人13.8%減、早稲田大学本庄395人15.7%減になりました。いずれも例年実質倍率が2倍~3倍で不合格者が多い難関校です。
コロナ禍によって移動による感染のリスクを軽減するため、より合格の可能性の高い学校を少ない併願校数で受験する安全志向がみられました。
単願応募者は増加
令和2年度より、国の就学支援金が拡充され、併せて県の「父母負担軽減事業補助金」の対象も拡大され、私立高に向かいやすくなっています。それがコロナ禍の中で3月の公立高入試まで待たず、早く進路先を決めたいという生徒が増えたため、単願入試の応募者が増加したことが第二の特徴です。
上記の慶應義塾志木も自己推薦の応募者が微増となったほか、立教新座も応募増になりました。また浦和学院は単願19.6%増に対し併願は3.0%増、叡明が単願42.1%増で併願2.5%増、細田学園は単願60.3%増で併願9.8%増、本庄第一は単願34.1%増、併願6.0%増と単願の増加率が併願を大幅に上回りました。このほか、川越東、淑徳与野、城西大川越、埼玉栄、武蔵生越、大妻嵐山などでは、併願の応募者は減少したものの単願応募者は増加しています。
選抜方法の変化
コロナ禍の入試対策として、選抜方法を変更する学校がありました。東野は学力検査の出題範囲を2年生までの範囲に縮小、川越東は昼食時間をなくし、単願の面接時間を前倒ししました。
春日部共栄は学力検査の時間割を変更し、休み時間を20分から25分に延長、1限目の開始時間を10分早めました。
もっとも多かった対応は単願入試で実施していた面接の取りやめです。開智、春日部共栄、正智深谷、城西大川越(併願も)、東京成徳大深谷、獨協埼玉、本庄第一などです。この単願入試で面接をなくしたことが第三の特徴といえるでしょう。
令和4年度入試の時にコロナ禍が終息しているとは限らないのですが、これらの対応が今年度だけになることもあり得るため、選抜方法については入試が近づいたら再度学校のホームページや入試要項で確認しておく必要があります。
コース改編、出願基準の変更
例年のようにコース改編や出願基準の変更により、応募者数に変動が起こった学校もありました。
大宮開成はもっとも利用しやすい特選Sコースを募集停止しました。その結果、併願応募者は776人38.4%の大幅減、一方で進学コースの出願基準を緩和した西武台は、他コースの応募者も増加し学校全体の併願応募者は537人55.0%の増でした。
「併願ドットコム」から見た検索校
昨年度11万ユーザーが利用した検索サイト、「併願ドットコム」のデータから県内私立高校の検索ランキングを見てみると、次の様な学校が上位にきています。
浦和実業・浦和学院・叡明・星野・埼玉栄・細田学園・西武台・浦和麗明・武南・春日部共栄
今年は感染症対策に十分留意しながら、可能な限り多くの学校に足を運び、自分に合った志望校選びをしていきましょう。
監修:高校入試活性化委員会(株式会社 リヴィジョン)