なかなかお答えするのが難しい質問です。というのは、何をメリット、デメリットと考えるかは人それぞれだからです。
たとえば、部活で全国大会を目指したいと考える人がいたとします。その場合、指導者や練習環境に恵まれていることなどが私立のメリットになるかと思います。ただ、練習も厳しくレギュラーになるのは大変ですから、それを私立のデメリットととらえる人もいるかもしれません。
この一例のように、ある人にとってメリットであることが、別の人にとってはデメリットであり、ある人にとってのデメリットが他の人にとってのメリットになり得るのです。もちろん興味・関心がない人にとってはメリットでもデメリットでもありません。
ですから、皆さんはまず自分自身の夢とか希望とか目標をはっきりさせるよう努力してみてください。途中で変わっても構いませんから、それらを意識してください。そうすると、私立のメリットが大きいか、公立のメリットが大きいかなどが見えてくるでしょう。
何の前提もなく、ただ私立はどうか公立はどうかと尋ねられても、一般的に公立の方が学費負担が少ないとか、私立の方が施設設備面で充実しているケースが多いとか、ごくありきたりの答えしか思い浮かびません。
次の機会に、ご自身の夢や希望を聞かせてください。そうすればもう少し具体的なお答えができると思います。
夏期講習の参加を決めているのであれば、その期間は別の計画はなるべく入れず、講習に集中してください。家での学習は、講習の予習や復習(宿題などあればそれも含めて)を中心にすればいいと思います。講習1時間に対し予習・復習1時間というように考えると、おそらく他の計画を入れる余地はないでしょう。
夏期講習は通常、夏休みの全期間行われることはありません。そうすると、講習のない期間の学習計画については自分自身で立てなければなりません。
1・2年生時の復習を行うのはいい考えです。これに3年生1学期(夏休みまで)を加えてもいいでしょう。いずれにしても夏休みの勉強の中心に復習をおくのは正しい考え方だと思います。
重要なのは、具体的にどのような方法、あるいは手段でこれを実行するかです。教科書やノートを読み返すのも復習にはなりますが、それだけでは受験勉強としてやや弱いと思います。やはり問題を解いてみるのが一番です。それによってどの分野どの単元の理解度が不足しているかが分かります。そのためには入試過去問を解くのもひとつの手ですが、理解度の確認や弱点発見のためには、全範囲をカバーした基礎・基本中心の問題集の方が適していると思います。先生からおすすめ問題集についてアドバイスをもらうのもいいですが、それを参考にしつつも、最終的には自分の気に入った問題集を選んだ方がやる気につながると思います。
「事前にポイントを押さえておきたい」という考え方は素晴らしいですね。そうなんです、ただなんとなく行っても得るものは少ないのです。予習をして行った人と、しなかった人では、得られる情報は数倍違います。
まずホームページを閲覧しましょう。手元にパンフレットがある人はそれも参考にしましょう。ざっと見て、自分が一番知りたいことが載っていないとしたら、それがあなたにとっての「見どころ聞きどころ」です。学校側は学校として一番知らせたいことを載せているのですが、それがあなたの知りたい部分とズレることもあります。
説明や写真・動画などを見て、「これはどうかな?」と思う部分もあるかと思いますが、その点も実際に確かめたほうがいいです。思ったほど悪くない場合もありますし、もっと酷い場合もあるかもしれません。ですから「見どころ聞きどころ」に数えられます。また、「ここは気に入った」という部分もあると思いますが、実はこういうところも「見どころ聞きどころ」なのです。ホームページやパンフレットから受けた印象と、実際に行ってみての印象は違う場合も多いものです。
良いと思った点を一つ二つ、逆にいまいちだと思った点を一つ二つ。これを準備して行きましょう。あまり欲張らない方がいいです。チェック表などを用意するのも一案ですが、それを書くことが目的にならないように注意してください。大事なのは自分の心の中にしっかり記憶してくることです。
そうですね。どれも大切です。順番つけてみろと言われても、簡単にはできそうもありません。時間や力の配分を上手にやったら、というご意見もあろうかと思いますが、口で言うほど易しいことではありません。
この際、時間や力の適度な配分ということは忘れて、ある期間はひとつに絞って、それ以外のことは忘れてしまうというのはどうですか。定期考査の準備期間は会場テストも部活コンクールのことも、とりあえず頭から消してしまいます。ひとつのことをやっている最中に「そう言えば、あれもやらなきゃ」などと考えるから集中をそがれるのです。ですから、お母さんも、お子さんがあることに集中しようとしている時は、「あれはどうなってるの?」などと集中に水を差すようなことは言わないほうがいいと思います。数カ月スパンで考えたら、どれもちゃんとやったね、そうなればいいわけです。
勉強の進め方は塾や学校任せでいいですね。知識も経験も向こうが圧倒的に上ですから。ただし、勉強しようがしまいが本人の勝手というわけではありませんね。勉強の方法を任せるだけであって、勉強の意味や目的を語って聞かせるのは親の務めだと思います。それは生き方にもつながることですから、他人任せではいけないと思います。勉強や受験のことは塾や学校に「丸投げ」というのはよくないですよ。それをやると子供は「うちの親は自分に関心がないんだ」と誤解してしまう恐れがあります。
教科書は年々変わっています。また、その前提となる学習指導要領もほぼ定期的に変わっています。今はちょうど学習指導要領の改訂期に当たっています。
全国どの都道府県の出題方針を見ても「学習指導要領に従い」といった文言が含まれていますから、学習指導要領や教科書の改訂は、入試問題に影響を与えるでしょう。
新しい教科書では、少しだけですが今までは高校で習っていた内容が中学校に下りてきました。その新しく加わった内容が今後、高校入試で問われる可能性があるわけです。しかし、入試問題の構成や内容を根本的に変えてしまうほどの大きな変化ではありません。点数で表すなら、2、3点とか4、5点といった程度です。
そのことが分かれば、過去問を解いても意味がないという結論にはなりませんね。過去問はこれまでと変わらず、弱点発見ツールであり、実力養成ツールであり、出題予想ツールです。
学校の先生はそれほどでもないですが、塾の先生方は、ことさら変化を強調します。受験生に緊張感を与えるためでしょう。ですから、実際の指導場面では過去問の重要性を訴えています。
回答者は40年以上にわたり入試問題を見てきました。その間に何度か学習指導要領の改訂がありましたが、過去問の意味がなくなるほどの劇的な変化は記憶の中にありません。安心して過去問学習を進めてください。
(回答者;教育ジャーナリスト 梅野弘之)