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入試情報
2021.3.11

受験生の疑問に答えるQ&A  「公立と私立、メリット・デメリットを教えてください」ほか

Q1 公立か私立どちらを志望するか迷っています。メリット、デメリットを教えてください。

なかなか難しい質問です。と言うのは、一口にメリット・デメリットと言っても、受け止め方は人それぞれだからです。
たとえば学費の問題です。
公私格差は昔ほどではないにしろ、やはり両者の違いはあるわけです。ですから一般的には学費問題は私立のデメリット、公立のメリットと考えてよろしいかと思いますが、中にはその点はさほど重要ではないという方もいらっしゃるかもしれません。その場合、その方にとって、学費の問題はメリット、デメリットどちらでもないということになります。
教育方針や教育内容についても同じようなことが言えます。公立高校も学校ごとに特色ある教育を目指していますが、やはり個性という点では私立の方が際立っていると言っていいでしょう。しかしこれも、特色や個性を強く求めている方にとっては私立のメリット、公立のデメリットとなりますが、その点をさほど重視してない方にとっては、メリットでもデメリットでもありません。
受験生・保護者の皆さんが公立か私立かで迷うお気持ちはよく分かります。
が、漠然とどちらがいいかと考えていても、なかなか結論が出るものではありません。受験生ご本人が高校生活に何を求めているのか、また、ご家庭としては学校に何を期待しているのか。そのあたりをじっくり考えていただくと、両者の比較がしやすくなり、おのずから結論が出るのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、ある事柄をメリットととらえるかデメリットと受け止めるかは人それぞれです。

Q2 定期考査と受験勉強と両立できるか不安です。どう勉強したら良いでしょうか?

定期考査と受験勉強を両立させたい、あるいは、両立させるべきだという前提での質問ですね。その考えは合っていると思います。
定期考査は、いわゆる「内申点」にも関わってくるわけですから、手を抜いてはいけません。しかし、定期考査の問題と入試学力検査の問題とでは、出題傾向や出題範囲も違いますから、定期考査だけしっかりやっていれば受験が乗り切れるというものではありません。正に両立が必要なのです。
ここではとりあえず、1・2年の内容も含めた問題練習中心の学習を受験勉強と呼ぶことにしましょう。これは本番まで1年間を通してやって行かなければなりません。特に後半は過去問題をできるだけ多くやる必要があります。
定期考査は中学校にもよりますが年間4回か、多くても5回程度でしょう。この間は問題練習中心の受験勉強は一時中止でいいでしょう。定期考査直前の1週間か10日はこちらに集中します。
それで受験勉強が大幅に遅れるかというと、そんなことはありません。その時習っている内容も入試に出るのですから、定期考査対策の勉強はそのまま入試対策にもなるのです。ですから、一時中止と言いましたが、考えようでは一歩前進とも言えるのです。
3年生になるとテストの連続になりますが、その一つひとつがすべて受験につながります。受験勉強というものをあまり狭く考えないほうが良いと思います。学校の授業の予習や復習も広い意味では受験勉強です。

Q3 保護者です。いよいよ受験の年です。しっかり受験に向かい合って欲しいのですが、どのように関わればよいでしょうか。声掛けなどアドバイスをお願いいたします。

親子の関係はそれぞれのご家庭ごとに違うと思います。他のお子さんや他のご家庭を参考になさるのは結構ですが、今まで築き上げてきた親子関係そのままに自然体で臨めばよろしいと思います。
この先、お子さんは大きく二つの課題に取り組みます。一つは入試に必要な学力を向上させること、もう一つは学校を選び、決めることです。
学力向上については、学校や塾の先生方に全面的にお任せしていいと思います。中には入試に精通した親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、例外です。
学校選びについては、基本的には本人次第ですが、こちらは相談に乗ってあげてください。ただし、ご自身の経験の押し付けにならないよう注意して下さい。保護者の皆さんが高校受験を経験したのは20年30年前のことかと思いますが、その頃とは状況は一変しています。お子さんと一緒になって調べるという気持ちをお持ちいただくのがいいと思います。
お子さんの少し後ろから、お子さんが進もうとしている方向にライトを照らしてあげる。大きく道を逸れ危険と判断したときだけは注意を促し、少しずつでも前に進んでいるときは「いいぞ、その調子」と後ろから励ます。そんなイメージです。
それと、お子さんの質問や相談には、どんなにつまらないことでも真正面から受け止め真剣に答えてあげてください。中3にもなって無意味な質問や相談をするわけがありません。そこには必ず意味があるのです。これはとても大事なことです。

(回答者 梅野弘之)

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