大宮開成高校で1年生「言語文化」の授業を見学しました。この科目は高校国語の必修科目です。中学生の皆さんに分かりやすく説明するなら、主な内容は古文や漢文です。
担当の大友堅詞先生は同校で17年目を迎えるベテランです。もともと教員志望で、「大学・大学院で学んだのも、高校生により高度な学問を教えるため」と明快です。就職の際は「ひとつの学校に長く勤めたい」と考え、私立を選んだそうです。
この日の題材は有名な伊勢物語でした。
授業の冒頭、42歳の先生はオヤジギャグを連発しました。雰囲気を和ませるためでしょうか?
もちろん、それもあるかもしれませんが、実は授業の終わりごろになると、それが単に笑いをとるためではなかったことが分かります。また、この日のテーマとは一見関係なさそうなプリントが配られ、それについて生徒たちが意見を述べ合う場面がありましたが、これもまた最後にその意味が明らかにされます。
囲碁の世界に布石という言葉があります。後々のために一手を打っておくという意味ですが、先生の授業は正にこれです。仕掛けと言い換えてもいいかもしれません。どのタイミングでどんな言葉を発するか、また、どのように板書するか、どんなスライドを見せるかなど、すべてが計算し尽くされているのです。
生徒は決して受け身ではありません。
その証拠に、全員が予習をして授業に臨んでいることです。その時点で授業が始まっています。中には「予習の段階で質問に来る生徒もいる」と大友先生は話しています。授業後の女子生徒へ予習について尋ねると「はい、時間もかかるし大変です。でも、普通だと思います」と、言葉のわりには苦痛とは感じていない様子の答えが返ってきました。
ときどき先生から指名される場面もありますが、予習十分な生徒たちはすらすらと答えを出します。少し難しそうな質問の時は、近くの人との相談タイムが設けられますが、ここでも生徒たちは積極的に発言します。
進学校なので、大学受験を意識した話題も出ますが、1年生ということもあって深入りはしません。大友先生は「文学の面白さを知らせ、教養を身につけることが授業の目的」と話されていました、そのことがよく分かる授業でした。
(よみうり進学メディア編集部)
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