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東京 高校レポ
2019.10.19

この学校ここに注目  上野学園高等学校 (東京都台東区)

進学と音楽、響き合う2つの力

1世紀を超える名門 進学強化で新たな校風づくり

上野学園高校は、今年創立115年を迎えた。
高校として日本初の音楽科を設置した同校は、今もその伝統を引き継ぎ、普通科・音楽科の2科体制をとっている。系列の上野学園大学は音楽教育の名門として知られ、多くの卒業生が世界に羽ばたいている。
近年は大学進学指導を強化し、普通科・進学校としての側面が注目されるようになってきた。

音楽の上野学園から進学の上野学園へ

中学校に音楽コース、高校に音楽科もつ同校は、当然のことだが「音楽の上野学園」というイメージが強い。系列の上野学園大学(音楽学部)の卒業生に世界的ピアニスト辻井伸行氏がいることも「音楽の上野学園」の印象をより一層強めていると言えるだろう。大学で教える超一流指導者の授業や個人レッスンが受けられるのは、音楽科の大きな魅力となっている。
だが近年はもう一つの顔がある。「進学の上野学園」だ。同校は12年前、女子校から共学校に変わった。同時に、大学進学指導体制の徹底強化を図った。その成果は今、確実に現れつつある。

期待される「上野学園My Project」

普通科は大きく2つのコースから成る。国公立大・難関私大をめざす「特別進学コース」と、幅広い大学進学をめざす「総合進学コース」だ。ただし、「特別進学コース」は、志望大学レベルに応じてさらに「α」と「β」に分かれるので、3コース体制と言ったほうが、より正確かもしれない。
進路指導で注目したいのが「上野学園MY Project」と名付けられたプロジェクト型学習だ。今年度からスタートしたもので「総合的な探究の時間」を用いて行われる。
「自分を知る」(1年)、「社会を知り、社会とつながる」(2年)、「社会の中で自覚する」(3年)をテーマに、チームを編成し、課題の発見、課題の解決に取り組む。この時間は必ずしも進路に限定したものではないが、結果的には自分自身を知り、学ぶ目的や働く意味をはっきり自覚することになり、大学受験への意欲が高まって行くしかけだ。
担任・教科担当・進路指導部が一体となって指導にあたる「プロジェクトAB」、総計120を数える夏期・冬期講座、一日10時間勉強を体験する勉強合宿、夜8時まで開放されている自習室などが、進路実現を後押しする。

甲子園見えてきた野球部

今年夏、野球部が並みいる強豪を撃破し東東京大会ベスト4に進出した。一昨年もベスト8まで進んでいるから実力どおりという見方もできるが激戦区での上位進出は称賛に値するだろう。練習環境は決して恵まれているとは言えない。バスで片道1時間の練習場に毎日通い、帰りは一旦学校に戻って解散。こんな厳しい環境での結果だからなおさら価値がある。

交通の要所 芸術・文化の街に立地

同校が建学の地として選んだ上野は、明治以来鉄道交通の要所である。また、国立博物館を筆頭に西洋美術館、東京都美術館、さらにはクラシック音楽の殿堂・東京文化会館などが並ぶ芸術文化の中心地でもある。
学びの場としてこれ以上ない環境を得て、生徒たちは学業はもとより、部活に、行事に、生き生きとした高校生活を送っている。

校舎は安全・安心・快適

大学入試改革を見据えた試み

比類なき施設のもと本物の教育を追求

安全・安心・快適への配慮が行き届いた地上15階建ての校舎は、学園全体の校舎でもある。高校レベルを超えた、大学レベルの「本物」に日常的に触れられるのは大きな魅力だ。
隣接する石橋メモリアルホールでの定期公演会なども見逃せない。
また、1・2年生の希望者が訪れるオーストラリア3か月短期留学では、都の助成金により非常に安価に海外武者修行を体験できる。音楽科には6泊8日の本場ウィーン研修も用意されている。

最高レベルの進学指導へ先生も研鑽の日々

同校の伝統は「師弟の距離の近い指導」だ。
一人ひとりを伸ばし、その成果をはかりつつ、さらに伸ばしていくために、先生たちは年間6回以上の面接をこなす。6回と口でいうのはたやすいが、教員にすればかなりハードな仕事だ。
この親身な姿勢こそが1世紀にわたり発展させてきた原動力だ。
先生たちには30代の若手が多く、それぞれが創意工夫に溢れた発想で日々の指導案を練る。論理的思考力や言葉による表現力、問題発見能力を重視するアクティブラーニングにも意欲的に取り組んでいる。
加えて「教わる・覚える」から「知る・考える」、さらには「問う・疑う・真理に近づく」力を身につけるクリティカルシンキングについても研究を重ね、来るべき大学入試改革に備えている。
毎年8月末には全教員が集結し、一日がかりで教員研修を行っている。研修では次世代型の教育について活発な報告と議論がなされ、新たな資産となっていく。100年を越える伝統は、若い力によって日々塗り替えられている。

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