6月半ば、英理女子学院高校の各教室では、先生たちがオンライン授業を行なっていた。モニターの画面には、自宅で勉強する生徒たちの顔が見える。
新型コロナの影響について、山崎達雄校長は「生徒が登校して、密な関係をつくるのが学校ですが、休校要請が解除されても、密な状況に戻るのは難しい。学校のあり方が根本から問い直されます」と話す。
休校に伴い、4月20日にオンラインの入学式と始業式を行なった。それ以降、生徒は自宅にいても、時間割通りに学びを止めない体制を作った。元々先生たちも生徒たちもICTを使いこなしていたわけではない。先生たちは休校要請が長期化することが見えてきた段階から一丸になってオンライン授業の工夫に取り組んだ。生徒たちがスマートフォンは持っていたのが幸いした。先生は、ライブ授業や撮影済みの動画を配信する。オンラインでも生徒がわかり易い授業を工夫している。ふだんなら教室の空気を感じながら授業を進められるが、オンラインでは難しい。授業後にアンケートを取り、声は聞こえるか、内容はわかりやすいかを問いながら、次の授業に役立てている。
「オンラインの利用で生徒たちのICTスキルが上がり、時間と空間の壁が低くなりました。先日はアメリカとつないで、現地の大学で学んだ先輩のスピーチを聴きました。この形は今後も継続したい」とICTの可能性に期待する。
一方、来年の受験体制を決める季節がやってきた。同校では、『2021受験生応援入試』と銘打ち、安心して受験できる入試を検討中だ。現在、週に2回、オンライン学校説明会を開催。在校生の率直な生の声も聞くことができるし、個別相談にはZoomで対応する。「自宅にいることが増えたいま、自分の時間を有効に使って欲しい。将来のこと、学校調べなど何でもいい。ネット上のコンテンツを利用して、自分磨きにも挑戦して欲しい」と山崎校長は中学生にエールを贈る。