花咲徳栄高校で塚本裕紀先生の「化学」の授業を見学しました。
3年生「理数選抜クラス」と「文理選抜クラス」の合同授業でした。国公立大学を目指す生徒も多いということで、非常に意欲的な授業が展開されていました。

塚本先生は教員歴13年と経験豊富。授業の狙いや注意事項を端的に伝え、すぐに実験へ入る導入の構成が見事です。「実験の時間を最大限確保する」が信条で、教室の空気が一瞬で切り替わる様子は圧巻でした。
実験手順は事前にタブレットで配信され、生徒たちは予習済みです。
ICT教育への取り組みが早かった同校は先生も生徒も端末操作に習熟しています。生徒たちは必要な情報を即座に確認しながら実験を進めていました。
ただ一方では、タブレットと手書きの二刀流で記録している生徒もいました。生徒によると「頭に入りやすいのはこちら(手書き)」なのだそうです。
この日のテーマは「系統分析」でした。複数の金属イオンを含む溶液に試薬を加え、沈殿を経てひとつずつ分離するという手順の多い実験です。
4人一組のグループは、先生に頼る前に自分たちで考え、意見を出し合いながら作業を進めていきます。
リーダー役が固定されることなく自然に交代し、全員が主役です。これは1年次から積み重ねてきた訓練の成果であり、協働と自律が見事に融合した姿でした。
塚本先生は同校の卒業生です。
埼玉大学理学部・生体制御学科で遺伝学を学び、母校に戻りました。卒業生教員第一号として、授業への責任感と情熱は並々ならぬものがあります。
実験中は各班を回り、短い言葉で的確に助言します。大声を出すでもなく、ジョークを飛ばすでもなく、落ち着いた語り口で教室全体を統率する姿に熟練の技を感じました。
―生徒が自ら考え、判断し、行動できる―
塚本先生が目指すのは、そんな「自走力」のある学びです。実験という体験を通して、知識の定着を図るだけでなく主体性を育むその姿勢こそ、花咲徳栄高校の授業の真髄であり、見る者にも強い印象を残しました。

(よみうり進学メディア編集部)
☆よみうり進学メディアではX(旧Twitter)で記事更新をお知らせしています☆
X(旧Twitter)のフォローをすると、随時掲載情報が受け取れます。受験情報をお見逃しなく!
■よみうり進学メディアX(旧Twitter)はこちらをクリック
x.com@yag_ysmedia