「学校にコンビニがあったら、もっと便利になる」。そんな在校生の提案から、実際の店舗が誕生した。

西武学園文理高校(埼玉県狭山市)では2026年9月7日、校内に「ファミリーマート西武学園文理中学高等学校/S店」がオープンした。10月7日には開店を記念するセレモニーが行われ、店舗の誘致に取り組んだ高校生5人も出席した。
この取り組みを進めたのは、同校の「ガチ・プロジェクト」のひとつ、『学校生活改善』のメンバーたち。2025年5月に活動を始め、学校生活の中にある不便を見つけ、その改善方法を考えてきた。その中で出てきたのが「コンビニを誘致する」というアイデアだった。
それまで校内には学校売店があったものの、商品の種類や購入できる時間などに限りがあった。コンビニがあれば、より多くの商品を選べることに加え、電子決済にも対応できる。昼食も当日に購入できるため、事前に弁当を注文する保護者の負担も減らせる。こうしたメリットを整理し、実現に向けて動き始めた。
とはいえ、生徒たちにコンビニを誘致した経験はない。まず「何をすれば店が来てもらえるのか」を自分たちで考えるところから始めた。2025年9月には複数のコンビニエンスストアに自ら連絡。さらに学校側に計画を理解してもらうため、理事長や校長に向けたプレゼンテーションにも取り組んだ。
企業への提案では、生徒たちが利用者としての要望を伝えるだけでなく、出店する側にとってのメリットについても考えた。店舗の売上やマーケティング面で期待できる効果などを資料にまとめ、実現の可能性を探りながら交渉を進めていった。
その中で出会ったのがファミリーマートだった。生徒から直接、出店について相談を受けるのは初めてだったといい、同社も、生徒たちの取り組みに関心を持ち協力することになった。高校生の提案から始まった交渉は約1年にわたって続き、ついに店舗の開店へとつながった。
店舗の広さは約40坪。営業時間は午前8時から午後7時を予定している。従来の売店よりも利用時間が長く、来校者も利用しやすくなった。
しかし、生徒たちの活動は「店を開く」ことがゴールではない。今後は、生徒が利用しやすい商品の見せ方を考えたり、棚の一部を生徒目線でレイアウトしたりすることも検討している。学校限定の商品を置くことや、ほかの「ガチ・プロジェクト」とファミリーマートが連携する可能性もあるという。
同校が「ガチ・プロジェクト」を始めたのは2024年4月。授業で身につける専門知識や認知能力に加え、実際の社会で必要となるコミュニケーション、行動力、判断力、協働性などを、リアルなプロジェクトを通して身につけることを目指している。
プロジェクトには学校生活改善のほか、国際交流、制服デザイン、ポッドキャスト、商品開発・起業、スポーツデータ分析、学校広報など、さまざまなテーマがある。社会人がサポーターとして参加し、教員は一方的に答えを教えるのではなく、メンターとして生徒の活動を支える。
今回のコンビニ誘致も、学校生活の「こうだったらいいのに」を出発点に、生徒自身が課題を見つけ、企業に働きかけ、実現まで進めた取り組みだ。
校長のマルケス ペドロ先生は取材に対し「これまで学園でも何度もコンビニを誘致しようとしましたが実現には至りませんでした。それを生徒たちが成し遂げてくれたことを、学園としても大変ありがたく思っています」と話す。
「今は生徒プロジェクトの時代です。生徒たちが自分たちで考えて動いたことが、今回のような良い成果につながったことを大変うれしく思います」と、今回の取り組みを振り返った。
学校生活をより良くしたいという身近な発想が、企業との交渉を経て、実際の店舗という形になった。自分たちで課題を見つけ、考え、行動する。その一連の経験こそが「ガチ・プロジェクト」で生まれた成果といえる。

プロジェクトを主導した5人

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